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ただの映画感想『スオミの話をしよう』

★★★☆☆

長澤まさみ演じるスオミを巡って振り回される男たちのコメディ映画。無理のあるシーンがいくつかあって、映画に没入するのを削がれたのだけれど、それでも修正してくるのが三谷幸喜(脚本・監督)。そして長澤まさみの凄み。スオミは5人の男との結婚と離婚を繰り返しており、夫によって性格を変えて夫婦生活を貫いてきたのだが、その演じ分けが素晴らしかった。同時に三谷幸喜もまた恐ろしい才能の持ち主と改めて認識。これだけハチャメチャな物語なのに、観客をジェットコースター状態に混乱させつつも、最後は伏線回収してきちんと終わらせた。拍手、万雷の拍手。もちろんこのふたりだけの映画ではない。骨が長澤まさみと三谷幸喜だとしたら、夫を演じた遠藤憲一、松坂桃李、小林隆、西島秀俊、板東彌十郎らは肉体だった。その肉体はだらしなく滑稽だが愛おしい。極端に言えば人間って笑えて愛すべき存在だね!と感じた作品。

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