父母ヶ浜(香川県三豊市)のサウンドスケープ雑記
四国の香川県三豊市にある父母ヶ浜(ちちぶがはま)に、縁あって訪問してきた。
引き潮時にできる巨大な水たまりを使った、ウユニ塩湖のような鏡面になる神秘的な写真が撮れると話題になり、いわゆる「映え」スポット化したことで、年間来訪者が5,000人→50万人(100倍!)になったビーチだ。
特別な場所になるに至る2つの画期
サウンドスケープを味わう前に、このビーチが地域にとって特別な場所である理由について触れておく。
約25年前、父母ヶ浜は工場の建設予定地となったのだが、住民の声でその計画を撤回させた画期がある。以来、ずっと続く毎月のビーチクリーンによってこの美しさが継承されている。
そして時を経て、#日本のウユニ塩湖 として映えスポット化する現状が2度目の画期となり、その価値が広く知れ渡ることになった。
サウンドスケープ考察
ビーチでの音に耳を傾けてみる。例によって、録音してきたデータを以下noteに貼り付けたので、疲れたお耳に処方してみてほしい。
瀬戸内海に面しているからか、穏やかで優しい波音が印象的だ。
録音したときは、10mくらい沖に行き足を海に浸かりながら⚫︎RECしたのだが、心落ち着くマインドフルネスなひとときで、気づけば暗くなっていた。
比較対象として、3月に録った鎌倉の七里ヶ浜の波音を貼っておきます。同じビーチの波音でも、驚くほど違うので、興味がある方は比べてみてほしい。
穏やかな波音は、音としても優しく、場所を和やかなものにしているのかもしれない。
他に印象的だった音として、
・遠くから聞こえる笑い声
・撮影するシャッター音
・香川訛りの話し声
というのもあった。
地域では「浜」の愛称で親しまれ、人々の心の拠り所になっているであろうこの場所を特徴づける、和やかな音風景だと感じた。
(次回はそのあたりの「人々の気配」を感じられる音を録りたい)
海水から塩をつくり食する文化
余談ながら、非常に示唆ある文化に触れておく。
父母ヶ浜の近くで「カフェ・フロ」を営む浪越さんは、この父母ヶ浜の海水から塩をつくり食することを実現する、料理人にして塩職人。
偏愛にも近いこの取り組みは、塩を通じて文字通り地域の味を提供し、ありのままの父母ヶ浜に気づかせるアートのようで、大いに共感した。
(ご本人のお話も引き込まれて想像力が加速した)
父母ヶ浜からできている音や塩を通じ、五感から地域を再構築することができたと実感している。私にとって地域を再び訪れる理由は、こういったところにある。
それでは、ごきげんよう。