Q.石川善樹さんの"集大成"とは?
コロナコロナですね。
いま巷では、自転車屋が大繁盛しているらしいですよ。
久しぶりに自転車に乗る人たちで、メンテナンスは予約待ちだとか。
ひと月ほど前まではわりと呑気にしていましたが、
風が吹けば桶屋が儲かる的なうっかり恐慌なのか、予め告げられた疫病という厄災がおきたのか、
混乱したり、ボーっとしたりしてしまいます。
しかし、馴染みのお店が閉まったり、友人と気楽に会えないのは、アレですね。
そんな折、みなさんに満を持してのお知らせがあります。
ご挨拶遅れました。
NewsPicksパブリッシングで編集をしている、中島と言います。
(大方はコンテンツ広告などを作ったりしていて兼務です)
予防医学研究者の石川善樹さんの新刊『フルライフ』が、
早いところでは書店に並びはじめました!
しかし。
みなさん、ご存知か。
自転車屋が潤う一方で、都市部の書店の大半は自粛を余儀なくされています。
特にNewsPicksパブリッシングの頼みの綱である、
駅ビルなどの複合施設に入った、大型書店は軒並みロックダウンなのです(使い方あってますか)。
これは大変な事態です。
リアルな主戦場のマーケットがやっていないのです。
我が編集部では、2周半ほど議論の末、
今だからこそ書籍を出す(延期しない)、意思決定をしました。
(ここらへんは編集長の井上さんが追って、noteなどを書いてくれると思いますが)
決断の要点はこんな感じです。
・発売時点のリアルなマーケットはほぼ壊滅的
・でも、本だからこそできることがあると始めた事業
・(こんな時だからこそ)求めている読者に届けたい
・事態はひと月後に沈静化しているとは限らない
・この本は有事に、長い人生に向き合える、希望の本である
それに伴い、noteとcakesでも本文掲載を開始しました。
こんなに未来が見えないのに、人生100年時代が到来して、75歳頃まで一生懸命に働くだろう私たちに、いま必要な「戦略」はなんなのか?
ということを考えながら編みました。
(作ってるときはコロナが来るとは思ってませんでしたが…)
章立てはこんなです。
はじめに どうしたら一度きりの人生がフルになるのか
1章 仕事人生の重心は、すべて「信頼」にある
2章 生産性の重心をとらえる3つの「時間軸」
3章 創造性の重心は「大局観」にある
4章 人生100年時代の重心は「実りの秋」にある
5章 真のWell-Beingとは「自分らしさ」の先にある
物事をわかりやすく整理するのが、尋常ならざる石川さんの絵解きによって、本書は図版が40点以上の図版が含まれています。
例えば、図版はこんな感じです。
どうも読んでくれた人たちの話によれば、刺さるポイントは人によってだいぶ変わってくるようです。さまざまな時間軸で、具体から抽象まで物事を論じているので、人によって重要なポイントが変わってくるのです。
それだけ、たくさんの問いに答える本になっています。
ちなみに最初の取材は2019年5月21日。そこから半年以上にわたって、数えてみたら7回も取材を重ねていました。
そして取材のたびに論理や発見が、新たにアップデートされていくんです。石川さんの引き出しの多さとたゆまない進化に翻弄され、編集者としては、うれしい悲鳴が止まらないというやつです。
(さらに原稿上での大どんでん返しが、2度3度ほど…!笑)
問いが変われば答えも変わり、テーマは「日本人的幸福論」から「グッドライフ」へ。そして「グッドライフ」から「フルライフ」へ。
最終的には、今までの石川さんの研究活動の軌跡が、この方程式に収斂したのでした。
よって憚りながら、(今のところの)「集大成」と名打たせていただきました。
石川さんにもしぶしぶご了承を頂いています(笑)。
しつこく食い下がる我々にいくらでも応じてくれた石川さんと、快くお付き合いして構成してくださった吉田大助さんに改めて感謝です。
花木飲みで大局観は得られるか?
さて、来週4/23の夜、本書の刊行を記念して、
著者である石川善樹さんと、この本の中で提唱されている、
オンラインで"花木飲み"をしてみます(笑)。
キーワードは1週間の重心と、大局観です。
↓詳細はこちらから
モデレーターというか、飲み友達としては(なにせ飲み会です)、
最所あさみさんをお迎えして、僕も担当編集として合いの手を入れたりさせてもらいます。
こちら最所さんが『フルライフ』について書いてくれたとても素敵なnoteです。
ちなみに最所さんは、NewsPicksに昨年まで所属していて、
石川善樹さんのゼミの担当をしていたご縁なのです。
みなさま、ぜひお待ちしています〜。
書籍、お値段以上と自負します。勢いポチってくだされ。
最後に、担当編集として、NewsPicksアカデミアのみなさんに向けて書いたレターを添えせてもらいます。
編集部からのご挨拶
『問いに願いを』
3月29日、関東地方で雪。桜が満開になった後の積雪って、なんだか不思議ですね。
都がコロナの感染予防のため自粛要請を出した週末に書いています。
コロナが流行りだした当初、日本のオリンピックが延期になることを予見できた人はいたでしょうか。
わたしたちは、3年先は愚か、3ヶ月先も見越せない時代を生きているということを痛感させられます。
本書は、そんなよくわからない時代に、長生きしそう(まだまだ働きそう)で、困ったなという人に向けて書かれた「戦略書」です。
特にNewsPicskアカデミア会員のみなさまのように、ハードワークを厭わない人(質の高い仕事を目指す人)にぴったりです。
著者である石川善樹さんは、予防医学研究の出自でありながら、行動科学、計算創造学からビジネスまでとにかく「いろいろ」な分野に挑んでます。あまりに多彩なので、「よしきさんってなにが専門なのですか?」と尋ねる人もいます。
すると、「自分はまだ何者でもありませんから、ガハハハ」なんて快活に笑われるので、聞いた方も「なんかすごい人だし、おもしろいなあ」ってなもので、納得してないのに、自然と笑ってしまいます。
この本を読むと、「謎」におもしろい石川さんの軌跡が浮き上がってくると思います。
そうやって常に問い続け、答え続けている石川さんの、無数の引き出しをあちらこちら開けながら、表紙(深帯)の方程式に従って、ギュギュッと編まれました。
この本にはたくさんの問いと答えがありますが、その柱には、2つの願いがあります。
「何か大きなことを成し遂げたい」「人生100年をよく生きたい」という願いです。
未来が見えないからこそ、願いが必要だと思います。
そして、未来への願いはいつか志を帯びて、希望に変わると信じます。
どの章も答えがありますが、ぜひ最後まで読んでいただいて、本を閉じた私たちの長く不思議な人生に、問いと答えを超える願いが宿りますように。
2020年3月29日
NewsPicksパブリッシング 編集者
中島洋一