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ブイ

ラッキーオールドサン(ラッキーオールドサンさん)のライブを見に行った。人生で初めて、音楽のライブに行った。

新ネタライブをしっかりやるようになって、諸般の事情からそれまでよりもたくさん音楽を聴くようになって、嗚呼今日の日はさすがに音楽に救われたな、みたいな日もちょこちょこあって、それならばこの足でもって生のライブに参るべきではないかと、ここ最近ぼんやり思っていた。

これまで何個か行ってみたいライブを見つけたが、なかなかスケジュールが合わなかった。音楽ライブに行ったことが無さすぎて、スケジュールが合わないことにホッとしたりもしていた。


タイムラインに流れてきたライブを見つけ、スケジュールとか諸々噛み合って、北千住のライブを予約した。残り枚数僅かなのを見て、慌てつつも、ビビって、「いっそ次の瞬間に売り切れてたりしないかな」とか思ったりもした。もたもたしたものの無事予約でき、予約できちゃったので観念した。


ほんの数年前にたまたま知って稲妻が落ちてから、念願叶っての機会だった。


予約の仕方もよく分からないし、会場の感じもよく分からない。マナーがあるのか、ないのか、たぶんそんなにない気がする(なんか、曲の優しさ的に、めっちゃ勝手ながら、なんか)けど高を括っているとバチが当たるのか、その辺の塩梅がマジで分からなかった。30歳を超えてでもバリバリ初めてのことに出会えた、それ自体がもう素晴らしいことじゃないか、失敗したって良いじゃないか、恥をかいたって損をしたってそれら全部素敵な経験じゃないか、みたくむやみに発破をかけて、ようやっと予約した。



早めに北千住に着いて、会場周りをめちゃめちゃうろうろした。めちゃめちゃ緊張した。そんなに緊張するものでもないかもしれないけども、怒られないか、恥をかかないか、ともかく緊張した。

もしお笑いビギナーに僕と同じくらい緊張しいの人がいて、めちゃめちゃビビりながらなんとかナルゲキに辿り着いてくれて、ヒリヒリしながら開演を待ってくれていたとしたらば、そんな人はもうともかく慈しんでいかねばなと思った。
ビビりかどうかに関係なく、すっかり慣れっこになってたくさんライブに足を運んでくださる方も、それはそれで改めて深々頭を下げねばと思った。


会場は思っていたより暗くて、思っていたより広かった。浅学過ぎてもう「なるほど、オシャレでアートだ」みたいな感想しか出て来なかったけれども、素晴らしい創作とか表現はなるほどこういう場所から生み出されるのだ、というエネルギーが感じられないでもなかった。エネルギーを受け取り切る前にめちゃめちゃビビっていた。


えんじ色のニットで揃いのお二人が現れて、あれよあれよという間に始まった。知っている曲も、知らない曲も、うっとりした。たまに挟まれるトーク(めちゃめちゃ旅に行かれているようだった。エピソード一個一個がめっちゃ面白かった)も、途中で現れた知らない楽器(恥ずかしい)のチューニングにちょっと時間が掛かってる感じも、どれもこれもが初めてでうっとりした。素敵な歌と素敵な二人だなあと、ずっと思っていた。生まれて初めてアンコールの拍手も経験した。かっこよくて素敵だった。

帰り道、聴いた曲をすぐサブスクで聴き返したいような、録音されたものではなく耳に残った音を反芻したいような、なんか不思議な感じだった。

北千住の街までなんか良かった。

不動産のバイト時代、管理物件を見に行く名目でいろんな駅に降り立つのが好きだった。大抵人通りが少なくて穏やかな駅だった。なんか、それを思い出して、なんか思い出がくすぐったくて、結局その日好きだった曲を聴き返しながら帰った。




うっとりさせていかないとなあと、やっぱりうっとりさせていかないとなあと思ったのだった。

これから一生いろんな声にビビっていく日々だとはおもうけど、やっぱり舞台上の自分でもって「ほら!価値があるでしょう!」と、「チケット代に見合うか、それ以上でしょう!」と、オラオラしていかねばならないと思った。プライドと責任と持って、かっこつけていかねばならないなあと、思ったのだった。

アーティストでもなく、アイドルでもなく、クリエイターでもビジネスマンでもないんだけど、でもまあそれぞれにうっすらかすってる所もあって、ガチガチなルールがないからこそ自分たちの位置取りをしっかり決めて、とことんやっていかねばならないと思った。

良いものを見せたい、笑ってもらいたい。笑うついでに唸って欲しい。エンディングでぶひぶひダジャレを言うところもまるっと価値を感じて(許して)欲しい。足取りは軽い。軽やかなユーモアを重たく繰り出す。また明日。

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さすらいラビー中田
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