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ある陸上競技選手の足跡:1995-98:高校生時:メンバー選考

「西脇工業」が有名である話の一つに「オーダー」を選手たちで決めるというのがあります。これがそんなに強くないチーム、指導者が居ないならば「普通」かもしれませんが、なんせ日本一を何度も取るようなチーム。

一体どういう感じでやっているのか!?そう思われる方も多く居られたと思います。

これは過去に「選考風景」に取材が入り、公開されたことでご存知の方もおられると思います。あの時は全国高校駅伝前かな?


当時はとにかく戦力が分厚く、自己記録だけで見ても数秒の中に何人もひしめいている状態でした。実績もインターハイ何位、国体何位と充分持っていますし、過去の経験も充分な選手が居ます。

正直話し合いは強烈なアピール合戦となりますし、何時間にも及ぶ話し合いが行われます。

そもそも駅伝だけではなく、日頃から代表選手選考は選手同士で話し合います。故障や不調を先生には隠せる可能性があっても(すぐ見抜かれると思いますが)チームメイトの目は誤魔化せません。容赦なく指摘されます。

本当の意味でコンディションを常に良好に保つようにしないとダメなんですよね。ある意味めちゃくちゃ厳しい・・・

その普段から代表の選考も自分たちでということでその実績も過去に選ばれたからこそ作られていくんですよね。学内選考が最も厳しくて、インターハイに出る方がまだ簡単だったようなくらいでした。

実際に選ばれた選手は絶対みんなが納得する結果を残さないと申し訳ないんですよね。以前にも書いた「全国高校駅伝」を制覇した時に感じた「ホッとする気持ち」というのはこういう部分からも由来しているんでしょうね。


もちろん最終的には先生が決定しているとは思います。それは権力とか最終決定権というものではなく、あくまで「責任」を負ってくださっている感じです。選手の中には納得のいく人、そうでない人は当然発生します。

それがチーム内にわだかまりになると戦っていけない。だから最終的に先生が決定する。

ただ自分が知っている限り、一度だけ。自分たちが3年時の全国高校駅伝でどうにも決まらなくて先生にご意見と裁定を頂きに行ったことがあります。(もちろん日頃から主将、主務は相談・裁定は受けてたでしょうけど)

そうやって苦心の末、あのオーダーが完成しました。

新チームになってから1年間、何度も話し合い、色々な試合で試し、駅伝も何度も出てオーダーやメンバー、レース展開も試し続けた中での最終決定でした。

★★

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★★★

選手が主役と言えど、やはりそこでみなが納得いく内容に落ち着くかというと「理想通り」とは中々行きません。そういう部分でも先生という存在は大きいです。

大学駅伝でも実業団駅伝でもそうですが、選手が納得することが大事なのと、その裁定が権力に基づくものではなく、日頃から選手のことを考えた上で「最終責任」と「裁定者」として立場を全うする、責任を負う意味での監督としての役割があると思います。

もちろん、戦略戦術、情報収集、経営運営はまた別で、あくまで「指揮官としての監督」としてですが。

参考に、このお話を楽しんで頂けていれば幸いです。



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神屋伸行/加古川優考塾/走遊Lab代表
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