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ボリビアで出会った謎のユニクロ製品

 暖かい上着を買おう。チリとアルゼンチンの国境を歩いている時に、バックパックの横に入れていたダウンジャケットを落とした。これから肌寒い地域に行く時に、必要になりそうなので新しく上着を買うことにした。ボリビアのある街に滞在しており、衣類がたくさん売っている市場に行くことに。入り組んだ多くの細い道で形成された市場を歩き回る。小さなスペースに人々が衣類を積み上げて、それぞれの露店を出していた。つたないスペイン語とジェスチャーで自分の意思を伝えつつ、いくつかのお店を回った。
 ある一軒のお店で、暖かい上着が欲しいことを伝えると、お店の人がいくつか衣類を持ってきてくれた。そのうちの1つの衣類に俺の目は釘付けになった。この衣類はどこかで見覚えがある。ULTRA LIGHT DOWNと書かれたダウンの入れ物、どこかで触ったことがあるような衣類の手触り。
 そう、日本人なら多くの人が知っている有名ブランド、ユニクロのウルトラライトダウンだった。確かにそうだ。そして、タグにはYOUNG DESIGNというよくわからない中国人の名前が刻まれていた。
下の画像は実物のダウン。↓


 自分は一つの仮説を思いついた。まず、ユニクロの製品は海外のどこかの国の工場で作られる。そして、型落ちしたり、余ったりしたユニクロ製品を中国かどこかの国の業者が購入して、それらを他の国で売っているのではないか。企業は常に新しい製品を作り続けて、消費者の需要を喚起しようとする。そのため、どうしても売れずに余った製品が出てくる。企業にとってはごみのように不要な製品だ。それらの製品は海を渡って、他の国へ売り飛ばされる。先進国の人々と企業は新しいものを生み出し、それらを買い、利益を生み出し続ける。一方、それ以外の国々へは余った製品が輸出される。それは一種の格差ではないのか。あくまでも、自分の推測の域を出ないが、実際にボリビアの街でユニクロの現物を見たので、ある程度この推測は当たっていると思う。
 また、インドでiPhoneの液晶保護シートを路上の露店で買った。日本円に換算するとわずかに200円だった。日本で購入すると、1000円はくだらないだろう。200円でもインドでは利益が出ているのだから、その保護シートの原価はもっと安いはずだ。その保護シートは、日本では日本の消費者が納得がいく物価に合わせて売られているだろう。物とお金なんてそんなものだ。     
 その国に合わせた物価に合わせて同じ製品を売る。そして企業は利益を得る。海外の貧しい国に工場を移して、人件費や材料費を抑えて、他の国に高く売る。それが企業の利益を最大化する方法の一つだ。グローバルにつながった世界に私たちはがっちりと組み込まれている。この構造はしばらく続くだろうと思うと同時に、この構造の中に黙って組み込まれてていいのかという疑問が自分のなかで湧き上がった。

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