見出し画像

閃き💡劇場30

俺の名前は樫村海斗。パティシエをしている。
今でこそ安定した収入を得ているが昔は貧乏な家族と生活していて、クリスマスケーキなんて食べられなかった。だからいつか自分で作って食べてやると心に決めていた。
そんなあるクリスマスシーズンの時母親から電話が来た。
なんでも、俺の作ったケーキが食べたいとのこと。急に食べたくなったと言うがなんとなくしどろもどろ。しかし、俺の悲願でもある俺の作ったケーキを家族で食べるが叶うので、二つ返事で引き受けた。 

ある週末、俺は実家に行くと、以前とは違う雰囲気に気付く。
話を聞くと、親父が寝たきりになり、あと2日3日の命だという。
『なんで俺に知らせなかったんだ、俺にもできることはある!』
『あんたの夢を邪魔をしたくなかったのよ…』と母も肩を落として言う。
これ以上母を責めても仕方がない、俺は父にケーキを食べて貰うため準備をした。
あらかじめ作ったケーキを用意し親父のベッドテーブルの上に置く。 『親父、クリスマスケーキだぞ』、俺がそう言うと親父はパチッと目を開け、起き上がり、嬉しそうにケーキを見た。
『写真でも撮るか』俺はよろこんでる父とケーキの写真を撮った。
それから、ケーキを食べたが、父も母も泣きながら美味しいと言って食べていた。
俺もその様子を見ながら自分の夢が叶ったと、目頭が熱くなった。 

そして、夜。親父は皆に囲まれて幸せな顔をして光の橋を渡った。

俺はギリギリで親父に親孝行ができたのだ。これからはケーキを通して人を幸せにするパティシエになると決めたのだった。

いいなと思ったら応援しよう!