閃き💡劇場28

「おはようございます！」
今日も明るく挨拶をする。すると元気がなさそうな人も、自然と挨拶を返してくれる。

数年前から私は通りすがりの人に挨拶をしている。慣れた人とはちょっとした立ち話もしてしまう。
「あなたのおかげで毎朝楽しくて仕方がない」そんなことを言われる時もある。
今では朝の声かけも楽しくできるが、数年前は本当に暗い人生を送っていた。毎朝朝が来るのが嫌だった。居心地の悪い職場に行くのが本当に嫌でたまらなかった。
そんなある日、毎朝ある女性から明るく「おはようございます！」と声をかけられるようになった。
初めのうちはびっくりして声もだせなかったが、だんだん慣れてきて、そのうち挨拶されるのが待ち遠しくなっていた。優しさに飢えていたのだと思う。
そんなある日いつものように挨拶されたので、思いきって話をした。
「あの！ちょっとお時間いいですか？」
女性はちょっとポカンとしていたが、すぐに「いいですよ！」と笑顔で応えてくれた。

近くの公園でベンチに座った私達。
私は切り出した
「あの、なんで見ず知らずの人達に挨拶をしているんですか？」
「あぁ、それはね、私もあなたと同じようにされたことがあったからなの」
女性は昔自分も私と同じように朝が来るのが嫌だった時期があったようだ、しかし、毎朝ある家の前を通ると１人の老婆が明るくみんなにおはようと声をかけていたのだ、女性にも同じように声をかけていた。
そして女性も私と同じようにある時老婆に質問すると老婆は
「皆朝なのに暗い顔をしている人が多いでしょ、少しでも明るくなって貰いたくて挨拶してるのよ」
と答えたそうだ。
「怪しまれたりされないですか？」と女性が聞くと
「初めのうちはそうだったけど、慣れてくると皆笑顔になってね、それを見るのが嬉しいの」と答えたそうだ。
あなたもやってみるといい。きっと楽しくなる。そう老婆に言われ、半信半疑で始めたら、老婆の言う通りだんだん声をかけるのが楽しくなってきたし、色々な人と顔見知りになり朝の時間が楽しくなってきたと言う。

「あなたもやってみる？朝の挨拶。本当に変わるわよ」
と女性は笑顔で言った。
「やってみます。」
そう答えた私は朝の挨拶を始めた。
初めのうちは皆無視をしていたが、徐々に返事をしてくれる人が増え初め、今では軽く会話する人もいる。
不思議と自分も心が温かくなり、そのまま職場に行くと優しい気分で仕事ができ、いつの間にか朝が来るのが楽しみになっている自分がいた。
ある時はいつもありがとうと言って、お菓子を頂くこともあった。

辛い時こそ、自分を奮い立たせ優しさを振りまくとそれは倍になって自分に返ってくる。さらにその優しさを周りに振りまくとさらに自分も周りも幸せになる。
これからも私はこの習慣を続けようと思う。