閃き💡劇場⑯

昔々あるところに木彫り職人の男が村の山奥に住んでいました。
その男は毎日小さな仏像を彫っては山にある祠にお供えをしていました。

そのためか、男の妻には不思議な力があり未来をみてしまう力がありました。

そんなある日
「ねぇあなた」
と妻が唐突に声をかけてきたので「どうした？」と男が返事をすると
「もしかしたら私達近い内にこの山を出なければならないかも」
「何か見えたのか？」
「うん、ぼんやりなんだけど荷造りしているの」
「そうか、気になるな」
「でも嫌な感じではなかったから大丈夫だと思う」
「そうか、教えてくれてありがとう」
男はそういうといつものように木彫りの仏像を祠に供えに山へ向かった。

祠に着くと先客がいた。
何やら男が作った仏像を眺めてうーんと唸っている
「どうかされましたか？」
男がその先客に声をかけると
「あ、申し訳ない。この仏像達が素晴らしいのでついじっくりと見ていました。」
「そうなんですか？じつはそれは私が作ったものです。今日も作りました」と、男は今朝作った仏像を見せた。
「本当だ！凄い！なんて私は幸運なんだ！作者に会えるなんて！」
「あの？」

「あぁ、申し遅れました。私は都からきたのです。実は今都で仏像を作る計画があって、仏像を彫れる人間を探していたのです。」
「そうなんですか。」と
「ここにある仏像は本当に素晴らしい！細部にわたるまで美しい！ぜひ都の仏像作りに参加してもらえないだろうか？」
彼は男の手を握りそう言った
「いや、すぐには返事できない。妻と相談させてほしい」
「ではあなたの家で詳しい話をさせてください！」
「…わかりました。」
男は都から来た男の熱意に負けそれを承諾した。

都から来た男の話を要約すると
帝の命令で都のある場所に巨大な仏像を作ってほしいと言われ、帝が納得するような仏像を作れる職人を探しているそうだ。私が作った仏像を見て感動したらしく、是非仏像を作って欲しい

ということのようだ。
(これは妻が言っていた事を言うのかな…)
と考えていると
「あなたこれよ」と妻がささやいた。
「そうか…。」
男は意を決すると
「その仕事やらせてください」
と都から来た男に言った
「おぉ、ありがとう！よろしくお願いします。」
と都から来た男は喜んで言った。

それから３年が経ち、紆余曲折もあったが無事に仏像ができた。
その姿はとても神々しく、帝もとても感動したと男に様々な礼を与えた

仏像職人として名実共に出世した男出会ったが、仏像を作り上げると元にいた祠に戻り再び小さな仏像を彫っては祠に供える日々を送った。
いつしかその祠は信心深く、出世を願う者にご利益があると言われ、男の話が後世にまで伝わったそうだ。
めでたしめでたし。

何か１つだけ得意なことを皆のために神様のためにし続けたら、いいことがある
そんな物語です。