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わたしの街

 私は今の街に住むようになり、1年半が経った。あまり長いわけではないが、テレワークになり街にいる時間が長くなった分、その街のことを以前よりも知るようになった。そんな街とももうじきおさらばとなってしまうのだが、この街には私の中で名物ともいえる人物たちが3人ほどいる。それを三大名物人間と名付けた。たまにお目にかかれるのだが、そんな日はなんかラッキーな気がしてならなかった。
 1人目は胸突っ張りおばさん。夕方の時間帯になると出没する。胸を突っ張りながら走る独特のフォームからそう名付けた。在宅が増えたからなのか、以前からなのか分からないが、夕方のある時間帯になると彼女はランニングをしに出没する。家周辺でよく会うため、その周辺をよく走っているのかと思っていたが、以前駅前でも見かけた。必死にエクササイズする彼女の姿に私もよくパワーをもらった。
 2人目は斜めおじさん。斜めになりながらゆっくりと歩いている。彼は比較的、早い時間に出没し、どこを目指しているのか分からないが、ゆっくりとゆっくりと斜めの態勢で歩き続けている。彼がなにを考えているのかは誰にもわからない。ただそのひたむきな姿に心打たれるのは間違いない。
 3人目は、ムキムキおばさん。ある日、買い物を終え商店街を歩いていると、向こうからこんがり焼けた素晴らしい筋肉を持つノースリーブの人物が歩いてくるではないか。それがムキムキおばさんとの出会いだった。この私でも彼女は一度しかお目にかかれなかった3人の中でもレアキャラである。スタイリッシュで、そのたくましく、クールな彼女の姿に私はただただ見とれていた。
 以上が私の街の三大名物人間(私の中限定)である。彼ら彼女らの姿をしばらく見れなくなるのはなんとも名残惜しいが、別れのない出会いはない。そう前を向き、わたしは進んでいこうと思う。

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