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負け続ける男・ぜぶらのトレード日誌 #2「今日も庄やのランチすら頼めない」

【この連載は】衝撃的な妻の一言により、まったく興味のなかったトレードの世界に放り込まれた男(40歳)のセキララ日誌。いつ終わるとも知れぬ自虐連載にお付き合いください。

タフな上司に人間の執念を見た

みなさん、こんにちは。サラリーマントレーダーのぜぶらです。

ぶせな氏の著作『最強のFX 1分足スキャルピング』『最強のFX 15分足デイトレード』を参考に、日々トレードに励んでいます。

なんと前回の記事が一部の読者から大変好評だったということで、調子に乗ってもう一丁投稿させていただく次第です。

今回、懇意にしているW部長から、原稿の催促をいただいてしまいました。まるでいっぱしの著述家になった気分で鼻が高いのですが、単なる筆不精なだけで、関係各所にご迷惑をおかけしています。

いろいろと書くことを思い巡らせていると脳内カオス状態になり、家でぼーっとしては妻にドヤされる、という日々を繰り返していたところ、前回からかなり時間が経過してしまったというのが本当のところです。

前回の記事を読んでいただい方、ありがとうございます。

初めての方、こちらが前回の記事です。

■負け続ける男・ぜぶらのトレード日誌 #1 「今日も発泡酒すら飲めない」
https://note.mu/njg_note/n/nf3052202f0a4

前回お話した株塾に参加してからというもの、私は日夜、株の研究に時間を費やすことになってしまいました。

入塾にあたり、25万円という高額なお金を支払ったこともお伝えしました。ところがなんと、入塾のきっかけになった「ザ・80年代」の私の上司は、特例というか強引に、著者の株先生に頼み込んで、無料でその株塾に参加していることがわかりました。

つまり、私よりも25万円トクしていたということなのです。

実はその後も、株先生が、あの手この手で有料有益情報の購入を提案してくることが続いていました。

この手の話はうまくできているもので、払えるか払えないか、ギリギリの額を提案してくるため、大いに悩むことしばしばでしたが、私は、すでに支払った25万円で確実に億万長者になれるものと思い込んでいる妻の手前、それらの有料有益情報の購入はさすがにシャットアウトしていました。

しかし、例の上司はそれらの有料有益情報も、「仕事(本の制作)で必要なことだから」という理由でタダで著者に開示させていたのです。

電話口で交渉する上司の姿を見るにつけ、そのタフネゴシエーターぶりを見せつけられました。まさに、1円でも払いたくないというこの執念、この厚かましさこそが、仕事には絶対に必要なんだなと、とても強く勉強になった出来事でした。

決して元上司をクサしているわけではなく、とても良い方です。

突如冷酷になった上司、その理由とは

それからというもの、毎朝私が出社すると、上司との間で、お互いの銘柄がどうだこうだと、5分間ミーティングが行なわれるようになりました。まさに「1on1ミーティング」の先駆けだったのだなと、今思えば懐かしい思い出です。

■1on1ミーティングとは?必要とされている背景や具体的なアジェンダの例
https://www.hito-link.jp/media/column/about_1on1

ただ、その後に事態が急転します。ある時から、上司の態度が急激に冷たくなったのです。

もちろん、恒例の1on1ミーティングも開催されなくなりました。

・私の仕事ぶりがマズイのではないか
・上司を怒らせる言動をしてしまったのかも
・私が上司よりも株で儲かっていると思い込んでいるのではないか(実際は違います)

そんな邪念が頭の中を巡り、仕事どころではないといった期間を過ごすことになりました。

疲れ果てて帰宅し、妻に「また転職するかも……」と軽く相談をしたこともありましたが、妻からは「はぁぁぁぁぁああ!!??」と一蹴される始末。まさに追い込まれる毎日だったのです。

ついでにお話しすると、私たちの結婚式当日に、私はこの会社のエントリーシートを作成しているなどの過去があり、妻は私の転職について良い思い出がありません。この辺のお話は、また機会があればじゃんじゃんお話できるかと思います。

そんな日々をなんとかやり過ごしていたところ、ある日、神妙な顔つきをした上司に、ランチに呼び出されました。

「もしかすると、クビを言い渡されるのか?」

そう覚悟しながら会社近くの「庄や」に行ったことが思い出されます。庄やのランチは格安なので、上司の行きつけ店なのです。「すべからく、金はシンプルに使え!」という上司の姿勢も勉強になっています(何度も言いますが、決してクサしていません)。

庄やで豚キムチ定食を頼んだあと、上司から衝撃の事実を告げられました。

「ここ数ヶ月、株の損失がヤバくて、毎日生きた心地がしなかった。でも、ようやく株価が戻ってきて、それどころか、なんと、俺が株を始めてからずっと損失の連続だったのが、すべて取り返すくらいの含み益になったんだよ!」

目をキラキラとさせ、まるで少年のように輝く表情で話す姿を見て、私はすべてを悟りました。ずっと冷たかった上司の態度は、仕事ではなく、株が原因だったということを。

原因がわかったことで、私もようやく落ち着くことができました。

もちろん、その時のランチも割り勘だったことは、言うまでもありません。

トレードに大事なのは「メンタル」

今回はまったくトレードと関係がない話に終始してしまいましたが、トレードにはメンタルがとても大事ということをお伝えしたかったのです(強引な締めと思われないことを願います)。

とかく「勝てる手法」を求め続け、手法マニアになってしまい、本来の目的である「お金を増やすこと」を忘れ、いつの間にか資産を失っていく……そんな人は、全トレーダー人口の9割を占めるそうです。

そして、私の上司のように仕事にまで支障をきたす展開に……。あの厚かましい上司でさえ、です(繰り返しますがとてもいい人です)。

前職で私が上司から教わった一番大きなことは、投資において大事なのは、手法ではなくメンタルだ、ということなのです。

メンタルに関連した相場の名著もたくさん出ており、歴史がそれを証明しています。

■ゾーン — 相場心理学入門
https://www.amazon.co.jp/dp/4939103579

■デイトレード
https://www.amazon.co.jp/dp/4822242978

私は半ば偶然に相場の世界に引き込まれましたが、そのおかげでいろいろなことを学ぶ有意義な毎日を過ごしています。

「いつになったら、ラクをさせてくれるのか」という妻からのプレッシャーが弱まることはありませんが、それでも充実しています。きっと、私のメンタルは日々強化されているのでしょう。

次回もチャンスがあれば、いろいろと書かせていただきます。メンタルコントロールのために。


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