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【新刊先出し!】9月29日発売『思いつきって、どうしたら「自分の考え」になるの?』の「はじめに」を特別大公開
9月29日に発売の『思いつきって、どうしたら「自分の考え」になるの? 直感を論理的な意見にする授業』(深沢真太郎著)の中身を、一足お先に公開します!
仕事で「根拠は?」と聞かれて困ったことがある人、思っていることを言葉にすることが苦手な人にぜひ読んでほしい1冊です。
ご購入前に、書籍の概要がわかる「はじめに」をお読みください。
※内容は変更になる可能性があります
はじめに ─ あなたは職場で「自分の意見」を言えていますか? ─
言いたいことはあるのにそれを表現できない
自分の意見が言えない。
言いたいことはあるのにそれをどう形にして伝えたら良いかわからない。
きっとあなたもこのようなことで悩んだ経験があるはずです。自分の思っていることを表現できない。相手にわかってもらえない。これほど悲しいことはないと私は思います。
例えば、こんなシチュエーションを想像してみましょう。あるビジネスパーソンが直属の上司から「あなたの意見は?」と尋ねられる場面です。
上 司「A社とB社、どちらと契約したほうがいいと思う?」
部 下「そうですね……すみません、ちょっとうまくまとまっていなくて」
上 司「おいおい、自分の意見くらいはっきり言えなくてどうするんだよ」
部 下「はい……何となく思っていることでも良いですか?」
上 司「ああ、いいよ。言ってごらん」
部 下「今回の取引はA社ではなくB社のほうがいい気がします」
上 司「ほう。何で?」
部 下「あ、えっと……私としてはB社のほうが魅力的でして……」
上 司「その根拠は?」
部 下「……」
いかがでしょうか。うまくまとまっていない。何となく思っていることでも良い。そう前置きがあるにもかかわらず、上司は根拠を求めてきました。この部下もちょっと可哀想な気がしますが、一方でこのような対話はおそらく今日も日本のどこかで、いいえ世界中で生まれているのではないでしょうか。
ここで重要なことは、この部下は「自分が言いたいこと」はあるということです。しかし、それをどう伝えたら良いかがわからない。中途半端に何かを言っても、「何で?」「どういうこと?」「根拠は?」と突っ込まれ、それに答えることができず恥ずかしい思いをする。だから、自分の意見を言うことに躊躇してしまう。自分の意見が言えないという悩みには、そんなメカニズムがあるように思います。
「自分の意見が言えない」ことの本質
繰り返しですが、自分の意見が言えないという悩みは自分の主張がないからではなく、何となく思っていることや直感的に感じたことを自分の意見として表現するスキルが足りないからです。そのスキルとは具体的に何か説明します。
「根拠をつくるスキル」です。
一般論ですが、自分の意見があることと自分の意見が言えることは違います。例えば「今回の取引はA社ではなくB社のほうがいい」と思っていたとします。しかし、その内容に対して自分自身が納得できる根拠がないと、それを実際に意見として言うことにためらいが生まれます。一方、もし根拠があればためらうことなく自信を持って第三者にも意見として言えるのではないでしょうか。
主張Aがある ⇨ 自分自身が納得できる根拠Bがある ⇨ Bを拠り所として、Aを自
分の意見として言える
ここで重要なのは、Bは自分自身が納得できる根拠であることです。なぜなら、あなた自身が「なるほど」「確かに」「これは正しそうだ」と思えない主張は、自信を持って相手に伝えることができません。その自信のなさが相手に伝わってしまい、あなたが期待する結果から遠ざかってしまいます。根拠とは相手が納得できるかどうか以前に、まずはあなた自身が納得できるものでないと意味がありません。
つまり、冒頭のような悩みを持つ人が身につけるべきスキルは、たった1つしかありません。自分自身が納得できる根拠をつくるスキルです。
ビジネス数学教育家が提案できること
著者の深沢真太郎です。数字に強く論理的な人を育成する「ビジネス数学」を提唱する教育者であり、企業の人材育成やビジネスパーソンのスキルアップに役立つコンテンツを開発しています。
「どうすれば人は根拠を自分で用意することができるようになるか」という問いを自分自身に投げかけてみました。なかなかの難問です。一方で、難問ほど解き明かそうと魂が燃えるのもこの分野の人間の特徴です。このテーマを深く深く思考することにより、ある結論を得ることができました。
「根拠のつくる」とは、数学とほぼ同じ行為である。
ちょっと何を言っているかわからないですよね。あなたがかつて学校で学んだ数学とはおそらく問題が与えられ、計算などを駆使して(教えてもらった解き方で)正解を導くことで評価される教科だったはずです。
•因数分解しなさい
•方程式を解きなさい
•図形の面積を求めなさい
これらすべて、教えてもらった解き方で正解を導く行為と言えます。しかし(驚かないでくださいね)、実はこれは数学をしているとは言えません。はっきり申し上げますと、それは数学ではないのです。
数学とは、ある主張をし、それを分析し、その主張が正しいと根拠を揃えて説明する学問です。あなたにも馴染みある例を挙げるなら、「◯◯であることを証明せよ」といった類の問題がまさに数学です。ですから、数学において唯一の成功とは、根拠を揃えて誰もが納得する証明ができたときなのです。
つまり、私がビジネスパーソンに指導しているビジネス数学とは、日々の生活や仕事のさまざまな場面において役立つ、根拠のつくり方を身につけるためのものでもあります。そしてそれは、多くのビジネスパーソンが持つ「自分の意見が言えない」という悩みの解決に直結するのです。
「根拠のつくり方」を身につけたある人物の物語
あなたは本書を読んでいただくことで、自信を持って自分の意見を言うための「根拠のつくり方」が身につきます。それはとても数学的な動作であり、そしてあなたを次のように変えてくれるでしょう。
•なんとなく思っていることを自分の意見という形に変えることができる
•自分が言いたいことを整理してわかりやすく伝えることができる
•直感的に思ったことでも、根拠を揃えて論理的かつ正しそうに説明できる
いかがでしょう。もし本当にそれが叶うなら、あなたのいま抱えている悲しみや苦しみを消し去ることができるかもしれない。そうは思いませんか。
実はこの「根拠のつくり方」を身につけたことで、これまでは見えなかった新しい景色を見ることができた人物がいます。本書はまさにその人物が登場し、そのビフォーとアフターを余すところなく描いた物語になっています。
その人物は「職場で自分の意見がうまく言えない」と悩んでいる若きビジネスパーソン。さまざまな人たちと言葉を交わしていくことで大切なことを学んでいきます。
この物語は、あなたの物語です。そして著者である私からあなたへのラブレターでもあります。ぜひ受け取ってください。
2023年初夏 深沢真太郎
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