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雪降る夜に歩いた話

家の一番近くの図書館は、自宅の最寄り駅の一つ向こうにある。でも歩いていけなくもない距離なので、いつも図書館に行く際には歩いていくようにしている。大体徒歩で40分から50分くらいの距離である。
今日は仕事の帰り、図書館の最寄り駅で降りて図書館に行き、そこから自宅まで歩いて帰る予定にしていた。
図書館の最寄り駅に降り立ち、改札をくぐってからその選択肢を後悔した。雨が降っていたのだ。

でも降りてしまったのはしょうがないので図書館へ行き、もしかしたら図書館の閉館時間まで待っていれば雨が止んでいるかもしれないと、希望をもって暖かい図書館で待つことにした。
こうして閉館時間となって外に出てみれば、確かに雨は降っていなかった。
代わりに雪が降っていたのだ。

今日は寒くなると予報で言っていたので、マフラーと手袋の他に帽子も持って来ていたので、完全防備して外に出る。
図書館を出て、自宅のある方へと坂を登っていく。
すると閑静な住宅地にたどりつくのだが、立派な家が建ち並ぶなか、街灯があまりない割と暗い道を歩くことになる。
雪が降っているためか人も歩いていなかった。

風も強く吹いていて、住宅の背後にやる木々が激しくその身を揺らし、ざわざわと大きな音を出していた。
それよりも驚いたのが、それよりずっと向こうから、おそらく山がある方からドーーーンと地鳴りのような音がしてきたことだ。
風が強い日に、山からゴーーーーーと音がする時があるが、それよりも低い音で迫力がある。
暗闇の向こうから響いてくるその音は、自然の力を畏怖したくなるような音だった。

少し恐ろしくもなったが、それと同時に、日本昔話の世界のようで、もしくは『モチモチの木』のような絵本の世界みたいでもあり、まさにそうしたところで語られている世界にいるんだなと思うと、ちょっとわくわくしてしまった。
暗いなか自然の音を聞いていると、不思議なことに自然と自分が一体化したような気分になり、自分の深いところまでもぐりこめるような気がして、それと同時にそうしてしまったら戻ってこれなさそうな、ちょっと怖い気分にもなった。
そんな気持ちで上を見上げると、雪が降っているのに雲の隙間からなのか、星が時々見えた。空気が澄んでいるせいか、はっきりと見えた。

このちょっと非日常な体験は、また日常生活を送っているうちに埋没してしまいそうなので、忘れないうちにnoteに記しておこうと思ったのだった。

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