見出し画像

「ファッション写真が語るモード」展@神戸ファッション美術館など

招待券をいただいたので神戸ファッション美術館で開催されている「ファッション写真が語るモード」展に行ってきた。

せっかくだからということで、お隣の神戸ゆかりの美術館で開催されている「響きあう絵画」展にも。

まずは神戸ファッション美術館から。

写真という媒体が世に出てきて、ポートレートのために撮られた写真から始まり、現代のファッションフォトまでが展示されていた。そして写真が展示されている壁で作られた空間には、その写真と同時代で、写されている服装とよく似たドレスなどの美術館コレクションが展示されていた。
ファッション写真のキャプションはそこまでなく、むしろドレスなどの横にある、ファッションデザイナーの解説の方が力入っている気がした。
そのため写真は少々副次的なものに見えてしまって、ついついドレスの方ばかり見てしまった。そちらの方が実物のものなので、存在感が大きいというのもあると思うが。

まったくもってファッショナブルな人間ではないので、ファッションへの感想がうまく書けないのだが、オートクチュールの最盛期までは夢見心地なドレスたちだった。
個人的にはキャロ姉妹のドレスに感動した。形の美しさと、細かくビーズを使った手仕事の美しさが見事で、息をつめて魅入ってしまった。
それが現代に近づくにつれて、「なんだこれ」みたいなドレスが増える(失礼!)。前衛的だろうけれども、着たいかと言われると着たくないし、着ている人を見て素敵かと言われると肯定しにくい感じ。

こうして一通り見終わったら、疲労困憊状態であった。
この展覧会の後に「ガラスの祈り」という、阪神淡路大震災30年と、能登半島地震復興支援を兼ねた特別企画展があったのだが、正直なところ、あまり集中して見ることができなかった。
それでも印象的だったのは、能登半島の地震によって割れてしまったガラス作品。
この展覧会では能登島ガラス美術館の作品が展示されていたのだが、震災のためにいくつか割れてしまったとのこと。その内の1つが展示されていたのだ。
作品の特性上、見た目を鑑みた結果、作家と協議の上、あまり補強せずに展示していたらしい。それが災いして割れてしまった作品を見ると、作家や美術館関係者の後悔も感じられるし、展示の仕方の難しさも考えさせられた。

こうして展示室から出た途端、歩くのがやっとというくらいの疲労感。
同じ建物の中に「B-COFFEE Roastery」というカフェがあったので迷いもなくそこに向かった。
なんと美術館のチケットを見せれば10%オフ、しかもドリンクおかわりのサービスもあった。
タルトを食べ、紅茶を2杯いただいて、ようやく元気が少し出てきたのだった。

一緒に来た友人の推測では、この疲労の原因は、我々はこうしたファッションを見るのには慣れていないため、観るコツも分からず、ただやみくもに見ているからでは、とのこと。それも一理ある。あと作品の量も結構あったというのもあるだろう。

次の神戸ゆかりの美術館の展覧会は、その説にいえば、慣れている絵画の展示となるため、そんなに疲れないだろう。ということでさっそく向かったのであった。

「響きあう絵画」展は、宮城県美術館が改修工事に入っているため、そのコレクションがこちらに出張している、というもの。
明治期からの日本人による西洋画のコレクションがあるようで、西洋画の変遷が見れたのは面白かった。
また、松本竣介の作品を初めて見て、作品の手触りのようなものにすっかり虜になってしまった。大山崎山荘美術館で展覧会中なので、こちらも見てみたくなった。
カンディンスキーの作品も、可愛らしいものも何点かあり、ショップでポストカードを買おうと思いつつも、写真撮影できたしなと買わずに帰ってきてしまった。今はやっぱり買えばよかったとちょっと後悔。

何はともあれ、閉館間際まで堪能し、美術館を後にしたのだった。
へとへとなりに、良いものをたくさん見れたなと大満足なのだが、非常に残念なことに、帰り道、友人と話していたのがファッション美術館の方の内容をあまり覚えていないこと……
ドレスのぼんやりとした雰囲気は覚えているし、アイコニックな写真は覚えているし(というか見たことあるなと思っていたもの)、レースやビーズがすごかったのは確かだけれども、ほとんど覚えていない。
メモも取りようがなくてメモもほぼ無し。
やはり自分の興味のないところだと、とらえどころがなくてぼんやりと、でもまんべんなく見ようする結果、とても疲れている割に記憶に残っていないということになるのだろうか。

そこでハッと思ったのだが、美術にあまり興味ない人が展覧会に行っても、疲れるだけであまり覚えていないというのは、こういうことなのかなと思ったのであった。
そういう人たちに「気楽に見ればいいんだよ」と思っていたけれども、そもそも気楽に見方が分からないんだな。

新たな気付きを得つつ、今日見た美しいものは潜在意識にはちゃんと残っているはず!と信じているのだった。

いいなと思ったら応援しよう!