マグロは泳いでないと死にます

「お前、マグロだな」
初めての彼氏が私に言った。
マグロ?意味が分からなくてググった。
泣いた。
それから私はいろんな人とヤリまくった。
だけど全然感じない。
うんともすんとも感じない。
痛くも無いし、気持ち良くも無い。
私には感覚がないのかも知れないと思って、腕を切ってみた。
痛かった。
痛いことが嬉しくて、沢山切ってみた。結構血が出た。
ある時、セックス依存症のイケメンに出会った。
ヤリチンでパチンカスで、ヤニカスだったけど、優しかった。
この人だけは、私を見放さないでいてくれたから、私がこの人を好きになるのに時間はかからなかった。
恋ってあら不思議。まるで魔法でもかけたみたいに、不感症が治ってしまった。
演技しなくていいんだって思うと、自然とセックス中に涙が出てきた。
腕を切ることも少なくなって、でもだんだん、彼も私の家に来なくなって、私はまた腕を切り始めた。
そうすると彼はやって来て「自分の体は大切にしなよ。ほら、痛いでしょ?」と言って、私の腕を優しく撫でる。頭も撫でてくれる。
私は都合のいい女なんて事は当に承知の上で、私は腕を切り、メンヘラ好きのヤリチン、パチンカス、ヤニカスの彼を繋ぎ止める。

でも、そろそろ限界かも知れない。
とりあえず、高い包丁と縄は引き出しにいつも入っている。

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