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消しゴムはんこ展『楽園脱走』作品紹介
こんにちは、消しゴムはんこ作家のにわぞのです。
いよいよ明日に迫った個展『楽園脱走』。
9点の額作品と、雑貨を納品いたしました。
5日間の展示でお見せするのは、これから紹介する作品たちです。
それぞれに込めた『楽園からの脱走の瞬間』を、感じていただけたらと思います。
◆テーマ『楽園脱走』について
私のwebサイトのほうで、このように説明していました
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今回の展示のタイトルは『楽園脱走』です。
この楽園というのは、何のことはない「幸せな場所」のことです。
けれど、その「幸せ」というものに疑問を持ち、それが「他人が決めた幸せ」にすぎないと気付いてしまった人の次の一手。
それこそが、今回の展示でのテーマである「脱走」なのです。
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「幸せな場所」というのは、例えば家庭であったり仕事環境であったり、
人との関係であったり。
それが本当に自分が満ち足りて、納得して維持しているのであれば、
確かに「幸せな場所」です。
けれど。
ここは「幸せな場所」だという判断が、
「こうであるべき」
「これを幸せでないと思うのはおかしい」
という他人の目から自由でいられているでしょうか。
これは自分勝手で強欲になれ、という意味ではないです。
「幸せ」の定義は人それぞれだし、求めるものも変わってきます。
ですが、そもそも「幸せ」というのは他人にお仕着せされるものではないはずです。
自分で考え、時には考え直してもよいものだと思います。
今回の個展では、そのことに気付いて、
「ここではないどこかへ」と思い始めた瞬間の女の子たちを描いています。
ある女の子は迷いながらも前に進み、
また、ある女の子はこれまで幸せだと信じていたものを失ったことで、涙します。
それでも生きていく彼女たちを、個展『楽園脱走』にてお目に掛けます。
◆作品について
1:キク「葬式ごっこ」(15,600円)
この作品は2021年の秋に、大阪のGalleryIYNの企画展に出した作品です。
その時の作品づくりがベースとなり、今回の『楽園脱走』につながりました。
葬式ごっこは海外児童文学でおなじみの、怒られる遊びです。
親に連れられて来たガーデンパーティを抜け出して、
植えられていたキクを切ってお葬式を始めます。
けれど頭のむこうから、芝生を踏む音が聞こえます。
女の子の父親です。
立ち止まった父親に、これから何と言われるのか。
女の子は分かってはいるのですが、まずい状況だなあと思うだけで言い訳が出てきません。
このキクの女の子は「たとえ」の物語の世界にはいません。
「現実」に生きている少女ですが、このあとに続く物語の導入部として、
退屈や生きづらさを嫌というほど抱えている人間の象徴として、
金色の額に入れて前回一緒に展示した2点の作品と差別化を図りました。
2:スミレ「逃走劇」(15,600円)
「幸せ」のお仕着せから逃げる女の子たち。
隠れていた穴から半身を出して、追っ手がこないか双眼鏡で見張り、
その様子を後方にいるはずの、同胞たちに大声で様子を伝えているシーンです。
スミレはそんな彼女たちを隠すように、その姿を晒しています。
3:アネモネ「迷子」(15,600円)
逃げたはいいものの、どこに行けばいいか分からない女の子。
巨大なアネモネが行く手を阻みます。
色とりどりのアネモネは、かわいいはずなのに大きすぎて不気味です。
画面手前のこちら側に、掻き分けて進めるルートがあるのですが、
まだそのことに気付いていません。
ぐるぐると同じところを彷徨っています。
4:チューリップ「退屈」 (18000円)
チューリップの花の中で、うとうとと眠っていた女の子。
目を覚まし、ふと見上げた空に、飛行機が飛んでいるのを見つけます。
伸びてゆく飛行機雲が少しずつ風に消えていくのを見ながら、
女の子は漠然と、どこか遠くへ行きたいと思い始めます。
5:沈丁花「導き」 (18000円)
「幸せ」な楽園から逃げ出す姉妹を、沈丁花は香りで導きます。その先は迷宮の出口なのか、最奥なのか。
それはまだ誰にもわかりません。
ふたりの固くつないだ手は、互いを励まし、勇気づけ、震えそうな脚を前へ進めます。
6:アジサイ「滂沱」(ぼうだ)18000円
今まで信じていたものは何だったのだろう。そう自問して泣く女の子に、
アジサイはただ耳を傾けます。
雨粒が葉を打つ音が、嗚咽を隠してしまうほど静かに。
ただそこに居てくれる花の優しさに、まだ幼い女の子は気付いていません。
7:シロツメクサ OP.2 (9600円)
花と共生している、強い女の子を描きたいと思い、以前作った図案を描き直して制作しました。
誇り高く、堂々とした女の子です。
8:ダリア OP.2 (9600円)
シロツメクサと同様、過去に制作した図案を描き直して彫りました。
凜々しい女の子です。
髪に挿したダリアと共に、力強く咲き誇ります。
9:バラ「一思案」 (21600円)
今回のDMなどの告知に使った作品です。
冬虫夏草のイメージで作りました。
女の子の背中から咲くバラはたしかに美しいです。
けれどもそのバラを美しく咲かせようとするうちに、バラは女の子を養分にするようになりました。
初めはバラと女の子はよい関係だったはずなのに。
そのことにふと気付いた女の子は、どうすればいいか考え始めます。
◆今回販売する雑貨について
・シカもようのメガネ拭き (1800円)
ご好評いただいている、シカのはんこがプリントされたマルチクロスです。
メガネの他にスマホやタブレットの画面拭きにも。
厚手で使いやすいです
・アオアシカツオドリのスマホリング(1800円)
NHKの動物番組を見て知ったアオアシカツオドリ。
金具はゴールドとシルバーがあります。
・青バラはんこのクッション(4,000円)
定番はんこのバラをクッションにしました。
(タテ37cm×ヨコ25cm)
「洗濯は可、乾燥機は不可。干すときは陰干し」でお願いいたします。
・ぽち袋(3枚セット)(360円)
ツバキ、女の子の横顔、バラの三種のぽち袋がセットになっています。
このツバキは、私が消しゴムはんこを始めてから3度目くらいに彫ったツバキの図案を、サイズを変えて作り直したものです。
(むかしははがきサイズギリギリの大きさでした)
・ポストカード(660円)
印刷したポストカードです。
4種類のはがきがセットになっています。
(左上の1枚は、イラストです)
・[受注生産]置き時計「一思案」(11,880円)
手作りの時計屋であるDEDEGUMO KYOTOさんの「カスタムオーダー置き時計」
https://dedegumo.shop-pro.jp/?pid=161546621
で作った小さい置き時計です。
写真を見ていただくとわかるのですが、手のひらにすっぽり収まります。
このサイズ感と、ずっしりとした重み。そして金色のすこし古びたような渋い色合いが相まって、文字盤にした「一思案」の絵に深さを与えてくれました。
*オーダーをいただき会期が終わってからの発注となります。
◆以上、額作品9点、雑貨6点です!
今年度の、私の集大成です。
明日からの5日間、どんなことがあるのかなあと、今は楽しみしかないです!
会場のお店はこちら
*cafe&gallery LUPOPO*
https://lupopocafe.net/access/
(↑最寄りの三軒茶屋駅からの道順が動画であります)
東京都世田谷区三軒茶屋1-35-20 平原ビル1F
03-6228-1097
OPEN 12:00~18:30
それでは明日から、LUPOPOさんにてお待ちしております。