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スギ花粉アレルギーの舌下免疫療法を5年間やった記録

2023年春。
全国各地で花粉の大量飛散が報じられており、私の住む地域では昨年の約5倍の飛散量とも言われていました。

ずっと記録しておきたいと思いつつ実行に移していなかったのですが、なんとなくいいタイミングのように感じられたので、私の約5年に及ぶスギ花粉舌下免疫療法の経過についてまとめてみます。

はじめに:効果はあったのか


いきなりですが、結果発表です。

効果テキメンでした。私の場合は。


スギ花粉舌下免疫療法を検討するにあたって大きな懸念となるのは、費用・時間・手間といったコストに見合う効果が得られる保証がないことだと思います。

毎日の服薬と月一回の通院をまずは約2年続けて様子を見るわけですが、私が通った耳鼻科の先生によれば、この時点でおよそ8割の人にはアレルギー症状の軽減がみられる、とのことでした。

2年経過時点で効果がみられる場合はさらなる治療の継続が推奨され、最終的に4~5年の治療期間を経て、

  • 約2割の人で「治癒(症状がなくなる)」

  • 約6割の人で「かなり軽減(アレルギー薬がほとんど必要なくなる)」あるいは「軽減(症状はあるけど以前より楽)」

という結果になるそうです。
治療の効果は人によってかなりムラがあるわけですね。

そして、8割の人に効果あり、ということは、2割の人には効果がないということでもあります。
8割と聞くと高い確率のように思いますが、80%つったらハイドロポンプの命中率ですからね。外れるんだよな。
私の場合は運よくドロポンが当たって、体感で言えば上でいうところの「かなり軽減」に当たるかなあ、という感じです。

それでは以下で、治療のながれとか費用とか、やってよかったのかどうか、など思いつくことを書いていきます。

スギ花粉舌下免疫療法のながれ

1.舌下をやってくれる医院をみつけよう

舌下免疫療法を受けたい!となったらまずは耳鼻科探しです。
耳鼻科ならどこでもいいわけではなく、対応できる医療機関は限られています。私の場合はたまたま、かかりつけのクリニックが対応していたためスムーズでした。

舌下免疫療法を受けられる医療機関であるかどうかは、各医療機関のHPなどに書いてある場合もあるでしょうし、以下のようなウェブサイトで検索することもできます。

私は治療期間中に仕事の都合で引っ越しをしたのですが、その際も↑のトリーさんを使って転居先の近くで舌下免疫療法をやっているクリニックを探し、元のかかりつけ医に紹介状を書いてもらって転院しました。

2.よい時期に相談へ行こう

舌下ができるクリニックを見つけたら、いざ診療です。

が、いつ行ってもOKというわけではなく、1年のうち治療を始められない時期というのがあります。
私のかかりつけ医の場合はスギ花粉の飛散シーズンとその前後1月くらいがNG期間となっており、6月~12月ならスタート可能とのことでした。
各医療機関によって取り扱いが違うかもしれないので、初診の際に先生と相談するのがいいと思います。
ちなみに私は9月ごろから治療を始めました。

3.覚悟をきめよう

クリニックへ行って受付で舌下をやりたいですと伝えると、説明書とか同意書みたいのを渡されて、これ読んで同意書に記入してね~と言われます。
正直内容はほとんど覚えていないので具体的なことは書けないのですが、印象に残っているのは、

  • 最低2年、通常4~5年を要する治療です

  • 服薬は毎日、通院は月に1回必要です

  • 治療開始直後は2週間に1回の通院です

  • 2年の服薬と通院を経ても残念ながら効果があらわれない場合もあります

  • 上記を理解して、根気強く治療ができますか?

という念押しがあったことです。同時に、

  • 舌下免疫療法はまだ始まって間もない新しい治療法で、患者さん一人ひとりの長期的な経過が貴重なデータになるため、最後まで治療を続けてくださることを期待します

というようなことも記載されていました。

私は元々のかかりつけだったので通院もまあ大丈夫だろうと考えていましたし、研究中の治療法であることなどにも「医療の進歩にも貢献できるし実験体みたいでワクワクするからOKOK~!」というアホアホ思考で同意しました。
これが治療を始めるにあたって正しい姿勢なのかは知りません。

その後、診療室で先生からも詳しく説明していただいた上で、改めて意志を確認。
「先は長いですけど頑張りましょう」ということで、治療をスタートする運びとなりました。
治療前後の数値的な推移をみるためにアレルギー検査を受けて治療薬の処方箋をもらい、服用はじめは体調の様子を見てね、次は2週間後に来てねと言われて、その日の診療は終了です。

(もしかしたら薬の処方は2回目の診療からだったかも……ちょっとあいまいです)

4.治療をはじめよう

いよいよ服薬開始です。
当時、スギ花粉舌下免疫療法の薬は「シダトレン」と「シダキュア」の2種類が存在しており、私は最初の半年間はシダトレン、その後はシダキュアを服用しました。

どちらの薬も服用の仕方はほぼ一緒で、舌の裏に薬を置いて1分あるいは2分保持した後に飲み込みます。これを毎日。

かかりつけの先生曰く、

  • 服用の時間は特に気にしなくても大丈夫。夜飲んで、次の日は朝飲んでもOK

  • 服用後5分程度は飲食や歯磨きを控えてね

とのことでした。
時間を気にしなくていいことはズボラな私には非常にありがたく、またシダトレン、シダキュアともにほぼ無味無臭だったため、毎日飲む必要があるとはいえ生活への負担はほぼありませんでした。

服用し始めは副作用が出る可能性もあるとのことで、2週間に1回通院して体調に影響がないかを確認します。
その後は月に一度の通院となり、1ヵ月分の薬の処方箋をもらいます。
また、年に一回ほど血液検査を行ってアレルギーの数値の変化をみたりもしていました。

それからは前述のとおり、服薬と通院を続けて2年の時点で(厳密にいうと初診から2年経過時点ではなく、スギ花粉シーズンが2回経過した時点です)アレルギー症状に改善がみられたかを確認。
効果が現れているようなら、更に治療を継続します。

なお、治療薬はシダトレンとシダキュアの2種類あったと書きましたが、このうちシダトレンは2019年ごろに販売を終了したようです。
そのため、おそらく今から舌下を始める場合はシダキュアが処方されるのではないかと思います。

シダキュアは無味無臭のラムネみたいな薬。
舌の裏に置くと溶けていきます


治療の経過とかかった費用について

アレルギー症状改善の経過

治療の経過は本当に人それぞれだと思うので、あくまで私の場合は……という話です。

9月から薬を飲み始めて約半年が過ぎたころの、3月。
治療開始後初めてのスギ花粉シーズンが訪れた時、正直この時点で症状はかなり楽になっていたと記憶しています。

さすがに無症状ではなかったものの、マスクをして、クリニックでシダキュアと一緒に処方してもらったアレグラのジェネリック薬を飲んでおけば、かなり楽な生活を送ることができていました。
それまでの春のような
「マスクなんか何の役にも立たん、薬を飲んでも鼻水くしゃみ目のかゆみで夜も寝付けないし仕事もままならん!あああああ!!
……という状態に陥らなかっただけでも、かなり感動しました。

2年目以降もスギ花粉についてはほとんど苦にならない春を過ごし、5年目の今年、2023年春。
世間では今年のスギ花粉はマジのヤバヤバだと言われたりしていて身構えていましたが、実際にシーズンを迎えてみると、もうクソ余裕
朝のお天気番組で映される「今日の花粉予想」が真っ赤っかになるような時期でも、時々鼻がムズムズするかな〜?くらいのもんです。
鼻炎薬も点鼻薬もほとんど使いませんでした(ここ数年は花粉関係なくマスク着用生活だったのもあるかもしれませんが……)。

かかった費用について

費用に関しても、私が通ったクリニックの場合&覚えている範囲での計上&めちゃくちゃざっくり計算になるので、あくまで参考程度とお考えください。

  • 診療費
    だいたい660円×月1回(最初の1か月は2回)×4年8か月
    =660×57
    =37,620円

  • 薬代
    だいたい1ヵ月分で1900円×4年8か月
    =1900×57
    =106,400円

  • 検査費用(血液検査とか)
    だいたい1回につき5000円くらい×年1回×5回
    =5000×5
    =25,000円

  • 合計
    37620+106400+25000=169,020円

その他、通院にかかる交通費や紹介状の作成費用なんかも含めると、ざっくり20万円弱……ということになるでしょうか。

治療終了後のこと

舌下をやっている間は効果テキメンだったわけですが、治療終了後はどうなるのでしょうか。

私のかかりつけ医が言うには、

  • これから数年間は効果が続くと思われる

  • 時間が経つと、再びアレルギー症状が出てくる可能性はある。それが5年後か、10年後か、もしかすると数年後ということもあるかもしれない

  • もし再び症状が出てきたら、また舌下免疫療法を行うことができる。その時は数ヶ月〜半年くらいの治療期間で十分に効果があらわれるのではないかと思う

とのことでした。
私は完治した訳ではないので、まあいずれ再び症状が出る時は来るだろうな……とは思っています。10年持ってくれたら嬉しいですね。

おわりに:舌下免疫療法をやってよかったのか

ということで、舌下免疫療法を受けた話でした。
こうして振り返ると、費用も時間もまあまあかかったなあと改めて感じます。
コストとリターンを踏まえて、いま「舌下をやってよかったか?」と聞かれると…………まあ悪くはなかったかな……と思います。

薬の効き目を絶賛しておきながら歯切れが悪い理由は主に3つあり、

  • そもそもこの3年間は花粉関係なくマスク生活だったため、スギ花粉飛散シーズンに「マジの無防備状態」での効果検証ができてないこと

  • この治療の真価である服薬期間終了後の効果継続についてまだ未知数であること

  • ヒノキ花粉アレルギーには効果が出なかったこと

が挙げられます。
3つ目については、この舌下免疫療法はそもそもスギ花粉アレルギーがターゲットなので当然のことですし、デメリットとして挙げるのは的外れだろうと思います。
思います、とは言いつつも、元々スギ花粉もヒノキ花粉もバチクソ症状が出ていた私からすると、「いやスギはめちゃくちゃ楽になったけどヒノキは結局死ぬわ」になっちゃうんですね。その時期は結局鼻炎薬も飲みましたし……。

一応、治療を始める際に先生から「もしかするとヒノキ花粉アレルギーにもある程度の改善がみられるかもしれない」と聞いていたので期待はしていたのですが、あまり効果は出なかったように思います。

来年以降の花粉シーズンにはマスクなしで過ごしてみようと思っています。それでスギ花粉の時期だけでも快適に過ごせると嬉しいですね。

何年か後に再びアレルギー症状が出てきたら……多分また舌下やるだろうなあ。
なんだかもう服薬も通院も習慣になって、めんどくさいとかも感じないし……。

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