個人事業主の「商号登記」は自宅住所が公開されるのか?
こたえ:使用人住所として公開される。
個人で開発しているアプリを課金ありでAppStoreに公開したいが、課金がある場合、特定商取引法に基づいて、アプリ等に販売者の住所を記載することが求められる。個人なら自宅住所になるだろう。
万一、「お前の作ったアプリで大事なデータを失ったぞ」などと言って家に押しかけてこられると困る(迷惑をかけたことについては大変申し訳無いことではあるのだが、物理的に不満を伝えに来られた場合には、暴力的な手段に訴える意図がある可能性を考慮して対応しなければならない)。
条件を満たせば氏名や住所は省略できるようであるが、結局、相手に求められたら「遅滞なく」答えることを宣言し、また実際にそうしなければならない。
住所については、現に活動している住所について、省略せずに(たとえば部屋番号まで)表示することが必要です。個人事業者についても、事業所の所在地を住所として表示する必要があります。個人が自宅で事業活動を行っているのであれば、自宅の住所を表示する必要があります。ただし、ただし、消費者からの請求によって、広告表示事項を記載した書面又は電子メール等を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、かつ、実際に請求があった場合に「遅滞なく」提供できるような措置を講じている場合には、事業者の住所の表示を省略することも可能です。
特定商取引法での「住所」とは、会社の場合には本店の所在地等、営業上の活動の拠点となる場所を指すものです。私書箱を表示しても、このような場所を表示したことにはならないので、「住所」の表示をしたことにはなりません。
セキュリティのためには自宅以外の住所を表示・提供したい。
では個人ではなく法人だとどうか。法人であれば本店住所等で良いだろう。しかし、法人を作る際の登記に代表取締役の住所が必要で、登記はだれでも閲覧可能である。結局、調べようと思ったら自宅住所が調べられてしまう。
(ネットで簡単に見られてしまうのは問題だということで、ネットで登記を閲覧しても代表取締役住所は表示されないようにする方針?すでにそうなった?ようである)
個人もだめ。法人もだめ。他に方法はないのか。
そんなときに、App Storeの販売者名を個人ではなく屋号名にした話というのを見かけた。個人事業主であるが、商号登記をしてDUNSNumberを取得すればApple Developerの企業アカウントを取得することが許されたということだった(Appleとして基本はたしか個人事業主は個人で登録せよという方針だと思われるが、すでにアプリ販売実績があり、商号を使う正当な理由があるように見えるので、特例かもしれない)。
さて、なるほど、この商号登記とやらで営業所住所をシェアオフィスなどにして、企業アカウントとして登録に成功すれば、自宅住所は公開されずに済むのだろうか?
ということで、商号登記について調べた。
個人事業主が行う商号登記について | マネーフォワード クラウド
商号登記をする際には、以下のものが必要になります。
・個人の実印
・個人実印の印鑑証明
・印鑑届出書
・商号登記申請書
・登録免許税3万円
・あれば屋号印、商号印
上記商号登記に必要なものの中で、自宅住所がわかりそうなものは印鑑証明である。印鑑証明の用途はなんだろうか。届出人の印鑑を証明するためだけだろうか、印鑑に加えて住所も記録されるのだろうか。
商号登記というものに何が記載されるのか、色々調べてもいまいちよくわからなかったので、法務局に電話して聞いてみた。
・登記・法定相続情報証明に関する一般的なご案内,電話での登記手続案内の予約
【登記電話案内室】(03)5318-0261
「会社の登記は代表取締役の住所が記載されるが、個人事業主が自宅とは異なる住所を営業所として商号登記を行った場合、自宅の住所は記載されるか?」
> 商号の使用人住所として、自宅住所も記載されることになる
「自宅住所がわからない形で商号登記する方法はあるか?」
> 現状、ない。
ということであった。
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