庭の人格を形作った100冊(50/100)

part2です。(2/4)

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26. 方法序説 (岩波文庫)
デカルト
“我思う、ゆえに我あり”はしばらくの間自身の存在の基盤となったが、「俺は思ってないから意識ないよ」と友人に言われてからは揺らいでしまった。

27. イェルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告
ハンナ・アーレント
人間本性についてこのころからある種のあきらめを得始めていた。多分、アーレントの意図とは食い違っている。

 28. ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
伊藤 計劃
友人にこれを進められたことがSFを読むようになったきっかけ。以降、去っていった天才ファムファタルを追いかける話しか書けなくなってしまった。

 29. 方法への挑戦―科学的創造と知のアナーキズム
ポール・K. ファイヤアーベント
科学の方法論の厳密性に疑いを持つようになったときに読んだ。(確かヒュームの議論の引用で)天王星の軌道予測と万有引力の法則の個人的信念の話は、自分の科学観を大きく変えた。

 30. ファンタジスタドール イヴ (ハヤカワ文庫JA)
野崎まど
知性、性欲、ミソジニー、少女趣味などを結び付けて自身を考えるようになったきっかけ。今読めばさすがに女性に対する考えへの感想が変わってそう。

 31. 鼻行類 (平凡社ライブラリー)
ハラルト シュテュンプケ
このタイプのフィクションに初めて触れたときの衝撃。ラストに検証不可能になるオチもよい。

32. Self-Reference ENGINE (ハヤカワ文庫JA)
円城 塔
因果律・言語・自己参照性などを考え始めるようになったきっかけ。この内容で情緒的な文体なの本当にすごいと思っている。

33. グノーシスの神話 (講談社学術文庫)
大貫 隆
一時期は仏教を含めこの世界の不完全性から抜け出す思想を探していた。偽の神の仮定は便利。

34. 天才と分裂病の進化論
デイヴィッド ホロビン
ファーブル昆虫記の進化によって形作られた物質である神経系と精神の関係性が原体験であったが、それを科学的に人間に適用している本に初めて出合った体験だった気がする。人類学と医学を結び付けて理解するきっかけにもなった。

35. 生物から見た世界 (岩波文庫)
ユクスキュル,クリサート
我々ヒトと全く違う知覚世界について思いをはせるようになったきっかけ。それは動物の理解にも、SF的アイディアにも通底している。

 36. NOVA+ バベル: 書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)
宮部 みゆき,月村 了衛,藤井 太洋,宮内 悠介,野崎 まど,酉島 伝法,長谷 敏司,円城 塔
厨パ。機龍警察の短編で科学によって暴力の世界と自分の日常が結びつく感覚を味わった時の戦慄、野崎まどの短編の最後の一文、長谷敏司の短編の科学的合理性と伝統の衝突が特に忘れられない。

37. ユリイカ 2014年12月号 特集=百合文化の現在
今野 緒雪,天野 しゅにんた,月子,綾奈 ゆにこ
自己嫌悪的な男性嫌悪の延長でしかなかった自分の百合観を、ようやくこの辺りでまともにすることができた気がする。

38. 精神病者はなにを創造したのか: アウトサイダー・アート/アール・ブリュットの原点
Till Daniel Fangohr (原著), Hans Prinzhorn (原著), 林 晶 (翻訳)
精神病者の生み出した芸術作品を通じた精神病理学的な分析。精神医学と哲学が別れがたい関係であることをはっきりと意識し始めたきっかけ。

39.文庫 思考する機械コンピュータ (草思社文庫)
ダニエル ヒリス
このころから計算機と生物の認知の違いについて考えるようになった。いまだに何もわかっていないが。

40. ターミナル・エクスペリメント (ハヤカワSF)
ロバート・J. ソウヤー
今思えば科学的には雑な気もするが、身体・魂・死の思想への役割について考えるとき常に参考になっている。

41. 花物語
吉屋 信子
過ぎ去った在りし日への感傷にとどまらない、神への帰依によって決して手折られない存在、『花々は世界に抗する。』への憧れ。

42. 逆行の夏 ジョン・ヴァーリイ傑作集 (ハヤカワ文庫SF)
ジョン・ヴァーリイ
私が失ったものは何だったのだろうか。

43. ロビンス基礎病理学 原書9版
Vinay Kumar,Abul K. Abbas,Jon C. Aster
生物学は網羅の快楽。まさに知識が網となって人体への顕微鏡的視点を授かった。教科書はとりあえず通読した方がいい。

44. 行動遺伝学入門―動物とヒトの“こころ”の科学
小出 剛,山元 大輔
何度も原体験として出てくる進化と精神に関して遺伝子という実態からの知見を得た本。直接利用しているわけではないがこの視点がなければ今の自分はない。

 45. 沈黙 (新潮文庫)
遠藤 周作
神の沈黙という信仰の根源にかかわる問題について、日本人がここまでの答えに行きつけることに感銘を受けた本。神の存在が常に自分にとって中心的な問題になった。

46. 〔少女庭国〕 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)
矢部 嵩
無限の少女を用いた思考実験。ただ先へひた走る少女。女王を作り上げた少女。間違っているのに固定され破壊することがもうかなわなくなった楽園。そしてあっけなく滅びる楽園。あまりにも静謐なラスト。こんな話を書きたい。 

47. 戦闘妖精・雪風シリーズ
神林 長平
人間が人間としての意味のために戦うという観点に、人間としての人生の意味を考えるうえでいたく影響を受けている。アグレッサーズはまだ読んでないです。

48. デジタル・ナルシス―情報科学パイオニアたちの欲望
西垣 通
徹頭徹尾科学についての思想であっても、それが神秘思想になりうることを初めて知った本。頭おかしいのか?

49. オービタル・クラウド
藤井太洋
科学の勝利であると同時に、それに置いて行かれた人生の残酷さを垣間見た。個人的にSFとしてはオールタイムベスト級。

50. パターン認識と機械学習
C.M. ビショップ
ハチャメチャに苦しみながらもこれを輪講で全部追ったことで何とか今生きている。教科書の通読で引き出しを作っておくのは本当に大事。

続く

↓次回
https://note.com/niwa_yukichi/n/n3fd5d814aa99


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