なすびさんのドキュメンタリーに救われた話
アメリカにいるので、日本より一足遅く年明けしました。明けましておめでとうございます。
先日、夫となすびさんのドキュメンタリー映画を見て、すごく触発されました。
30代以上なら知ってますかね、なすびさん。「進ぬ、電波少年」という90年代の人気テレビ番組で、「懸賞だけで人は生きていけるのか」という企画にチャレンジした人です。
裸のままアパートで暮らし、毎日懸賞ハガキを書いては送り、食料がなくてドッグフードを食べるなすびさんを、わたしは子どもの時めーっちゃ面白がって観ていました。
でも実際は、1年3ヶ月間一歩も外に出られず、人とも話せず、なんとか死なないギリギリの食料だけで生きていたそうです。本当は自殺を考えるほど孤独で辛かったと、このドキュメンタリーで語られています。
この懸賞生活の企画は、今でこそ欧米中心に「クレイジージャパニーズ」や「人権侵害だ!」と言われてますが、当時の日本でそんな声を挙げる人はいなかったし、わたし自身もただ消費する側のひとりでした。
なすびさんとご家族のテレビに映っていなかった本音や苦痛を知り、それを知らずに笑っていたことが申し訳なく、胸が傷みました。今こうやってドキュメンタリーを見れてよかったです。
なすびさん、テレビスタッフを恨んだり訴えても当然なのに、そっちにエネルギーを注がなかったのがすごいなぁと思います。辛い経験と向き合って、むしろその経験から得られたことに焦点を当てて、「なすびさんだからこそできること」を見つけて行動されている姿がとても素敵でした。
そして改めて、懸賞だけで100万円分の商品を当てたのも、本当にすごいことだなぁと。
「そんなん無理だろ」ということも、小さく一つひとつ積み重ねれば、達成できるんだよなぁ…という、ごくごく当たり前、だけどやるのは超難しいことを再認識しました。
もちろんなすびさんの場合、懸賞ハガキを書く以外何もできない生活で、心身蝕まれて「逃げる気力すらなかった」から続けていたそうなので、その環境は決して肯定できません。
死にたくなるほど辛いことからは逃げ出していいし、苦痛なことを頑張る必要はない、というのは大前提で、できることを小さく積み重ねるのが確実に前に進める方法なんだろうなって思いました。
SNSとかネット見てると、「〇〇するだけで変われる」とか「〇〇してるあなた、今すぐやめてこれやって」とか、そういう文言で溢れてて。わたしは自分に自信がないから、そういう情報に飛びついては振り回されてきた気がします。
実際「成功してる人のマネをしろ」とはよく聞くし、努力の方向性が間違っていることもあるので、「同じ轍を踏まない」「遠回りをしない」ために、人の経験談が役に立つのは確かです。
でもどんなに有益なことをインプットしても、思うようにコトが進まないとすぐ投げ出して、「他にもっといい方法があるはず」って、また別の何かを探してたらキリがなくて。
ずっと「何もない自分」から抜け出せないのは、自分で考えて、トライアンドエラーしながら進むことを、放棄してきたからなのかもしれません。
自分は何を目指したいのか、どう生きたいのか、そのためには何が必要か。改めて考えたいです。焦って不安になったら、なすびさんを思い出そう。