大人になれたよ
「大人になったと感じる瞬間は?」
「無人島に一つだけ持っていけるとしたら?」と同じぐらい聞かれるこの質問。
コーヒーを飲めた時だろうか。自分で自由に使えるお金ができた時だろうか。交友関係が広がった時だろうか。門限がなくなったときだろうか。きのこが食べられた時だろうか。
多分正解のないこの問いに自分なりの答えがでた。
近代文学が読めるようになったことだ。
そんなこと?と呆れるかもしれない。正直いって小学生でも三島由紀夫やら遠藤周作やら川端康成は読める。しかし私は大学生になるまで読むことができなかった。中学生の時に読もうと努力はした。しかし内容が分からない。結局一ページも読まず断念した。
高校生の時に読書感想文の課題で遠藤周作の『沈黙』を読んだ。読んだと言っても半分も読まずに別の本に変えた。遠藤周作にした〜と言ったらかっこいいんじゃないか。そんな気持ちで読み始めたが無理だった。正直高校生で遠藤周作やら三島由紀夫を読んでいる同級生が羨ましかった。
大学生になり何の気無しに三島由紀夫の『金閣寺』を読んでみることにした。面白いと思えた。ページを夢中でめくった。嬉しかった。内容が分かったことが。風景・人物の心情が分かった時が。本当に嬉しく面白かった。ありがとう三島由紀夫!
なぜ読めるようになったかは分からない。成長なのか語彙が少しは増えたからなのか。大人になれた。
きっといつのまにか、きのこが食べられた時と同じだろう。そうだこれから『沈黙』も読もう。
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