[ 19,17,15,13,11,9,7,5,3,1 ]
[ 19,17,15,13,11,9,7,5,3,1 ]は、2019年12月から2020年1月までポーラ美術館の彫刻「しあわせな犬」のまわりに干支飾りを兼ね「ねずみ」100匹制作し、配置したインスタレーション作品のタイトルです。
ねずみの最も美しい並べ方を考えたときに、学生時代に習った等差数列を思い出しました。ねずみは三角形を描きながら、1匹から2匹ずつ増えて10列目で100匹になっています。
以下は、この作品に添えたメッセージボードから。
砂は、一粒は小さくてもたくさん集まれば砂浜となり、景色となります。 私たち生き物の体もまた、小さなたくさんの細胞がより集まり、一つの「存在」となっています。
ところで、私たちの「魂」と呼ばれるものは、どこにあるのでしょうか。 子どものころから、不思議でした。
魂が体に宿るのだとしたら、それは細胞のどの部分にどんなふうにくっついて、あるいはぶらさがっているのだろうか、と。
その答えは、カメラのファインダーを覗いている時にヒントを見つけました。 砂を見た時に、景色として見るのと、そのうちの一粒をもっと知りたい、近づきたいと思って見るのでは違って見えるはずです。 ありとあらゆるもの=無機物、生き物、人の場合も、これと同じことが言えるような気がします。
目には見えないものとものの非物理的な距離、関係性の中に、魂が宿っているのだとしたら...? 魂とは、単体で存在するのではなく、化学反応のように別の存在と存在の間に生まれる物なのかもしれません。
このインスタレーションの中には、100匹のねずみが配置されています。 ねずみは1匹ずつは別の個体なのに、離れてみると白い三角形であり、景色の一部のように見えます。
見る人が、近くに寄って見たい、と思った時に初めてねずみが無個性な100匹のねずみではなく、 各々個性を持っているような気がしてくるかもしれません。つまり、魂が宿っている、というふうに見えてくるかもしれません。
(niŭ)
写真:[ 19,17,15,13,11,9,7,5,3,1 ]
ポーラ美術館で2019年12月から2020年1月中旬まで彫刻「しあわせな犬」のまわりに展示された屋外インスタレーション。この展示に合わせ、前年秋の台風で甚大な被害を被った箱根登山鉄道復興支援のチャリティを主催。2020年の干支でもあるねずみ100匹は、福ねずみとして来館して賛同し寄付を申し出てくださった方へ展示後1匹ずつ贈られた。※年末年始のデコレーションとして2匹の犬の彫刻はクリスマス期間中のみリボンとサンタ帽を着用。
(niŭ 2019/Pola Museum of Art)