忘れ去られた昭和レトロ事項・ホームドラマ
現在、空前の昭和ブームである。
ネットを見ても、テレビやラジオでも、昭和ノスタルジーで溢れている。
しかしその中でも当然、完全に忘れ去られてしまっていることもある。
同じ昭和と言っても戦後すぐとかの話ならともかく、70年代のことでも忘れ去られてしまっていること、もの、人がある。
たとえば「お母さん女優」として70年代にものすごく有名だった京塚昌子。
70年代に「ホームドラマのお母さん役」と言えばこの人、というイメージがあった。CMにもよく出演していたが、大正製薬のものに何度も出ているのでその印象が強いかもしれない。
京塚昌子が、現在の「昭和ノスタルジー」企画でとりこぼされがちになる(という印象)のには理由がある。
彼女がめちゃくちゃ大活躍したのが、70年代だからだ。
それ以降も活動しているが、80年代半ば以降は、体調不良のために休業状態となっている。
なお、70年代に「テレビを付けたらやっていた」という印象のある「ホームドラマ」だが、リアルタイムでは新聞や週刊誌などで、
「いつも食事のシーンばかりで中身がない」
という定番の批判を何度も書かれていた。
70年代のホームドラマは核家族ではなく、祖父、祖母と同居する家族の設定がメインだった。だから大きなテーブルを囲んで大勢で食事をするシーンが多かったが、実際に「食事のシーンばかりで中身がなかった」かは記憶にない。個々のドラマを検証しないとわからんだろう。
まあ70年代の新聞や週刊誌のテレビ批評なんて、テキトーに決まってますからね(断言)。
なお、余談だがアニメ映画「サマー・ウォーズ」(2009年)で、「入り婿だった曾祖父の隠し子」として親戚全体から嫌われている「陣内侘助」という男が出てきて物語のキーマンになるが、70年代の大家族ものでは、だれかの隠し子とか愛人の子とか、いったん嫁に行ったが離婚して帰ってきた娘、というのが「家族内でのはみ出し者」として定番で出てきた。
「サマー・ウォーズ」も、そういう意味では70年代ホームドラマの「ありがち設定」を一部、踏襲しているとも言える。
なお急にひらめいたのだが、70年代の「金田一耕助シリーズ」ブームは同時代の「平和なホームドラマ」の裏返しかもしれない。「金田一もの」も一種の「家族もの」である場合が多かったから。
おしまい