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タピオカすいこみ人間256号

とある還暦近い男性タレントが、現代の価値観の変化に対して、

「昔はよかれと思って慰労会を主催したこともあったが、もうそういうのも今はやらない方がいいのかな、と思っている」

と言っていた。
別にそのことが趣旨のシチュエーションじゃなかったのだが、言外に、
「慰労会も、こっちはある程度、金と手間をかけてやってたんだけど、パワハラだとかアルハラだとか言われるんならもうやらねえよ!!」
というニュアンスがあったように思う。
たぶんこの人は本当に「慰労」の意味でそういう会を主宰していたのだろう。

まあ、私もそういう会はただ迷惑なだけで、まったく行きたくもなかったのだが、何らかのボスとして、そういう会を主宰したいという人の気持ちはわかるつもりだ。

この場合、「やるかやらないか」ではなく「本来の慰労会がイヤだと思っている人の『イヤさ』をクリアする『慰労会』は現代に成立するのか」ということが問題になるんではなかろうか。

何らかのボスが「慰労会」をやりたいと思った際、いちばん苦労するのは「事前準備をする人」と「会が始まってからさまざまなことをフォローする人」だろう。
いわゆる「幹事」。そして事前準備と当日のサポートは同じ人間がやるケースが多い。

だから結論は、
「何らかの施設を貸し切って、事前準備から当日のサポートまで、すべて金を払ってプロにやってもらう」
のがいちばんいいんじゃないですかね。

でもむずかしいんだよなー。
ボスが「慰労会やりたいんだけど、今の時代、下っ端が酒や料理を注文したりして苦労するだけだから、やめようかなー」
とか言った場合、そういうこまごまとした準備とか、居酒屋で料理を頼んだりとかが得意そうなスタッフの一人が手を上げて、

「何言ってるんスか〇〇さん。そんなのおれがぜんぶやりますって!!」

って言ってくれたので「んじゃまかせるわ」ってなって。

当日、指定された場所に行くと、そこは居酒屋だったはずが廃墟になっていて、

「もしかして……怪談!?」

と思っていたら、小便小僧が空中を旋回して、地上に向かってなまぬるいションベンを発射。
逃げ惑うプレスリーのそっくりさんの中に、空に向かって銃を構えている男がいて。
そいつが引き金を言いたら、

すべてが、

夢だったとわかる。

夢だったと……。

(おしまい)

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