ドラえもん古代ギリシャ語起源説
今年のドラえもん誕生日スペシャルはなんと古代ギリシャが舞台らしいですね。これは古代ギリシャファンなら見るっきゃない!
https://www.tv-asahi.co.jp/doraemon/news/0620/
…でもなんでドラえもんなのに古代ギリシャなんでしょう?上記リンクあらすじによると誕生日ケーキの起源が古代ギリシャだということですが、単にそれだけではないはず。政府は何かをひた隠しにしているし月の裏側にはUFOの発着基地があるしイルミナティーはいまだに存続している!俺は詳しいんだ!
とかなんとか考えつつ、どらえもん、ドラエモン、doraemon、δοραεμον…と色々思いを巡らせていたところ、霊験灼かなるヘリコーン山より詩神ムーサたちからのスピリチュアルな電波を受信しました。
「ドラえもん」という名称の起源は古代ギリシャであると…!!
悪いなのび太、この二重母音はラテン語用なんだ
しかしここで困ったことが。ドラえもん(Doraemon)という名前の中にはaeという母音の連続が含まれているわけですが(日本語の母音連続は二重母音であるのか?という問題は複雑すぎるのでここではあえて無視して話を進めます)、古代ギリシャ語にはaeという連続はほとんど見られないんですよね。早くも説に陰りが見え始めた!
でもここで思い出されるのはラテン語です。ローマ人はギリシャ語から多くの単語を取り入れましたのですが、その際、ギリシャ語の二重母音αιはaeという綴りに変えて取り入れたのでした。
なぜこういうことが起きたのかというと、ラテン語の二重母音aeが若干「アイ」寄りの「アエ」だったためである、という説がありますが、本当のところはそれこそドラえもんにタイムマシンでも出してもらわないとどうしようもないので深入りはやめておきます。
それはそうと、こうは考えられないでしょうか。「ドラえもん」はラテン語化された形であって、本来は「ドラいもん」であった、と。
パラえもぉん!
さらに指摘しておかなければならないのは、「なんとかオン」もしくは「なんとかオーン」という名称はギリシャ語としては珍しくはない、という点です。
まあ、「なんとかオン」のほうは主に中性の語尾なので人名には用いられないのですが、「なんとかオーン」の方は人名、特に男性名によく用いられるんです(たとえば神様のアポッローンとか哲学者のプラトーンとか)。のび太くんの「ドラえもぉん!」という言い方を聞いたギリシャ人なら自然に男性名を連想することでしょう。
さらにさらに言えば、ギリシャ神話の登場人物にはパライモーン(Παλαίμων、ラテン語形ならばPalaemōnパラエモーン)という、極めてなんかドラえもんのパチモンみたいな人もいることですし、古代ギリシャ人も「ああこの青くて丸い人、男性だからこういう名前なんだな…」と納得してくれることでしょう。
とっても大好きアンドライモーン
パライモーン(パラエモーン)でも十分それっぽいのですが、そういえばギリシャ神話にはもっとドラえもんっぽい名前の人がいました。それがアンドライモーン(Ἀνδραίμων)です。もちろんラテン語化されればアンドラエモーン(Andraemōn)。
な、なんか、大山のぶ代さん時代のドラえもんのオープニングテーマを彷彿とさせまくる名前…ッ!
ちなみにこのアンドライモーンという名前、ἀνήρ (「人間」または「男」の意) と αἵμων(δαήμωνという単語の同義語として「熟練した」、またはαἷμα(血)の派生語として「血の」の意)を合成した名前です。ただしそのネーミングの意図は定かではなく、「熟練の男」とか「男らしい血筋の者」とか「血に飢えた男」とか色々に解釈されうるそうです。
アンドライモーンの名前の意味は一旦置いておくとして、注目すべきはαἵμωνの方。これに何か他の単語を付けて「ドラえもん」っぽい名詞にできないものか。つまり、「ドラえもん」という名前はどうにかして古代ギリシャ語で解釈できるのでは…?
DoooooRaeMooooooooooooN!!!!(That's All I Want)
というわけで辞書を引いてみたところ、δορά(主に動物の「皮」の意)という単語を見付けました。なのでαἵμωνとくっつけてドライモーンδοραίμωνとすればどうでしょ?
でもここで躊躇します。「皮」と「血まみれの」の合成語が名前って!「ぼくドラえもんです」が古代ギリシャ人には「ぼく”血に塗れし膚を持てる者”です」って聞こえたら嫌すぎるだろ!国民的キャラクターに何言わせてんだ!
というわけで、δῶρον(「贈り物」の意)とくっつけてδωραίμωνとすることを提案したいです。そうすれば「贈り物をすることについて熟達した者」という意味になって、ひみつ道具を出しまくってくれるドラえもんのキャラクターにもぴったりじゃないでしょうか。
まあ、発音は「ドーライモーン」と伸びてしまうんですが。でもそもそも上述のように「モーン」と勝手に伸ばしてしまっているし、毒を喰らわば皿までよ!
それがどうしたぼくダイモーン
…とまあ色々考えてはみたんですが、もしかしたらそんなこじつけを行わなくても「ダイモーン=ドラえもん」説でもいいかもしれませんね。
δαίμων(ダイモーン)とはよく「神霊」と訳され、ざっくりいえば「神的な存在」ぐらいの意味で、神様そのものも含めることもあり、個人の守護霊みたいなもう少しパワーの弱いすこしふしぎ存在までも包括する概念です。
ちなみに、ギリシャ語で「幸運な」という意味のエウダイモーンεὐδαίμωνという言葉は「良きダイモーンを持った」という意味が原義で、つまり「良いダイモーンが守護霊として取り憑いてくれてるから、幸運を引き寄せている」というわけなんです。
ところでこのダイモーンはdemon(悪魔)の語源にもなっています。古代ギリシャでもダイモーンには良いものもいれば人を惑わす悪いものもいるとされていたのですが、キリスト教で悪魔を表すためにそれと似ている存在「ダイモーン(※ただし悪い方の)」という言葉を使ったのがその由来です。
話がズレましたが、つまり、ふしぎなポッケであんなこともこんなことも叶えてくれて、のび太くんを幸せな未来へと導くドラえもんは、古代ギリシャ人から見ればダイモーンにほかならないでしょう。
そしてアニオリ設定へ…!
以上、「ドラえもん」という名称はギリシャ語としてもどうにか解釈可能という話でしたが、ここから以下のようなストーリーが考えられないでしょうか?
ドラえもんたち、古代ギリシャへ。→ドラえもんを見た古代ギリシャ人たち、この謎の青くて丸い存在の名前を「δωραίμων(贈与において熟達せる者)」あるいは「δαίμων(運命を導く神霊)」として伝承。→なんやかんやあってこの出来事が未来の世界にまで影響を及ぼし、ある猫型ロボットの個体識別名となる。
…といったストーリーはどうでしょう。もちろん「ほんやくコンニャク」の使用による古代ギリシャ人との接触の結果については考慮しないものとします(ズルい)。
なお古代ギリシャでは猫は極めて珍しかったそうで、さらに狸もヨーロッパには全く生息していない動物なので、古代ギリシャ人がドラえもんを見ても猫や狸とはそもそも認識できず(ただし、ギリシャ神話にはヘーパイストスの作った青銅製の人造人間タロースがいるので、「ロボット」の概念は認識可能であったとは思われます)、したがって「青い猫型の人造生物」のような呼び方で伝承することは不可能であったと考えるのが妥当でしょう。
さらに、実はドラえもんの名付け親というのは原作では誰なのか決まっていない、確定されていない設定なんですよね。
つまり!今回の誕生日スペシャルによりその間隙を埋めるようにして「ドラえもんという名称は古代ギリシャ語由来説」というアニメオリジナル設定が追加されるに違いないんだよ!!!!!!!!
…すべては2024年9月7日18:56から放送の「ドラえもん 誕生日スペシャル」にて明らかになろう。今はただ…備えよう…。
b(*´∀`)dうそです
…いやネタ記事であることは聡明なる読者諸氏の皆様にはバレバレであるとは思いますが、念のためネタ記事であることは明言しておきますね。うそはうそであると見抜ける人でないと(ry
とはいえジャイアンの名前の由来が英語giantだとすると、これは究極的にはギリシャ神話に登場する神々と戦争を起こした巨人族ギガースに遡れるので、その辺がもしかしたらドラえもんスペシャルで触れられる可能性もなきにしもあらずだなあ、と思ってこんな記事を書いてみた次第であります。
…ところで「骨川スネ夫」というネーミングは、骨の川、つまり死者の世界に流れる川ステュクスの流れに浸されて不死を得た英雄アキッレウスが、脛(正確には踝)にだけ弱点を持っていたという故事にちなむことを知っているな?