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日本で唯一の夜間理学部から外部大学院へ進学して

はじめに

はじめまして。こういう記事を書くのは初めてなので拙い文章になってしまうと思いますが、読んでいただけると幸いです。

題名に”唯一の”と書きましたが、少子化の影響や「働きながら学ぶ」という需要の減少により夜間学部は縮小化傾向にあり、2021年4月現在で残っている夜間の理学部は東京理科大学理学部第二部のみです。(参考:理学部第二部HP)

私は東京理科大学理学部第二部物理学科を今年の3月に卒業しました。現在は、大阪市立大学大学院に在籍しています。この記事では、外部の大学院へ進学した体験を記すとともに夜間学生の生活にも触れられたらと思います。

夜間学部での生活

私の体感ですが、「授業の時間が夜であること」と「私立大学なのに学費が国立大学並みであること」以外は昼間部とほとんど変わりません。友人を見る限り、就活で不利になることもないように感じます。院試で不利になることもありませんでした。

夜間学部のメリット・デメリットに関しては、主要なものをまとめてあるサイトがあるので紹介しておきます。

2部の新入生が一番気になるところではあると思うので、私の経験を基に、もう少し言及しておきましょう。

まず、「授業内容が昼間部と同じこと」に関してですが、入試の難易度が低い分授業内容についていけない生徒が多いため、教員側のサポートが手厚いように感じます。教え方が丁寧であったり、質問を快く受け付けてくれる先生が多い印象です。自分から積極的に動きましょう。

次に、「日中の時間を自由に使える」点です。これに関しては、本当に人それぞれです。アルバイトの時間に充てるのでも、勉強の時間に費やすのでも、遊びまくるのでも。大学生なので個人の意思で決められます。昼間部と変わりませんね。私は、別の大学で実験助手をしたり、塾講師をしたりしていました。

また、「世代を超えた交流」もあります。夜間学部の性質上、学び直しや資格取得のために通っている社会人の方も一定数在籍されています。社会人の方の理学への志は熱く、見習うべきところであり、何度も刺激を受けました。就活に関して相談させていただいたりして、”社会”について広く見るきっかけにもなりました。

夜間学部に関してはこのくらいで留めておき、本題の院試について述べていきます。

大学院進学のきっかけ

本題に入る前に。大学院へ進学する理由は様々だと思いますが、大学名だけで研究室を選ぶことはしない方が良いと思います。後で詳しく述べます。

さて、大学院進学のきっかけは、小さいころから研究者に憧れがあったこともありますが、1番は「この分野の研究がおもしろそうだったから」です。学部2年次には就活も考えており、企業説明会などにも参加していました。しかし、2年次に受講した熱力学で「マクスウェルの悪魔」というトピックに触れたことで物理学にのめりこみました。(詳しくは、予備校のノリで学ぶ「大学の物理・数学」https://youtu.be/AFx6CqYtbwQ )情報と物理学の融合、そして実験系での再現など。本筋とはそれてしまうので、日本語で読めるプレスリリースを参考で載せておきます。
・Maxwell's demonの再現(情報熱機関)
https://news.mynavi.jp/article/20101119-a113/
・大腸菌とMaxwell's demon
https://www.titech.ac.jp/news/2015/031645.html
・Maxwell's demon による発電https://www.ntt.co.jp/news2017/1705/170516a.html
etc...

より良い研究生活を送るためには、学問への興味・熱意があることが大切だと思います。特別に高尚なものではなく、なんとなくの好奇心で良いんです。「この単語かっこいいな」とか、「研究の話してる先生が楽しそうだからちょっと調べてみるか」とか。研究室に所属したら最低でも2年間は没頭しないといけないことなので、自分の好奇心にゆだねた方が良いです。

冒頭で大学名”だけ”と強調しましたが、これは「まったく興味ないけど東大の研究室だから受ける」とかは悪手と考えているからです。博打です。研究室に入ってから興味が出ることもなくはないですが、少しでも関心がある研究室を受験することを勧めます。(俗にいう学歴ロンダリングを否定している訳ではありません。前述した実験助手の仕事の中で、後悔した先輩を見た経験があるため言及しました。)

以上がきっかけです。次は院試を受けるまでを振り返ってみます。

大学院進学の流れ

大学院進学(一般入試)の主な流れは以下のようになります。
1.研究室選びのための情報収集(自分の興味の把握)
2.研究科の入試説明会への参加、研究室見学
3.院試対策(入試科目の勉強、面接や研究計画書など)
4.受験(書類審査、外国語および専門科目)
5.合格発表
6.入学
詳しくは、「大学院進学 スケジュール」とでも調べてください。外国語や専門科目の具体的な対策方法に関してもここでは述べません。

私の「1.情報収集」は、学部3年次(2019年)の5月に京都大学のローレンツ祭および入試説明会に参加したあたりから始まりました。自分の興味はなんとなく物性だなと思い、興味のある研究室をいくつか見学させていただきました。友達と2人で京都まで夜行バスで往復して、満身創痍になって東京に帰ってきた思い出が懐かしいです。(今はオンラインで開催しているので参加しやすいと思います。)

量子力学や統計力学に手を付け始めたくらいの当時の私は研究内容を説明されてもチンプンカンプンでしたが、素人質問にも丁寧に答えてくださった研究室の先生の対応はとてもありがたかったです。一緒に研究室見学した大阪大4回生の方には、オススメの参考書なども教えていただき、その後の勉強の道しるべになりました。
その後、他の大学の研究室も見学してみて興味のある研究分野を絞っていきつつ、専門科目の勉強を行っていました。

4年次の5月に入ってから、気になった研究室の教授へメールを送って研究室見学をさせてもらいました。(コロナ禍だったのでZoomで行いました。)指針を持って専門科目を勉強していたので、前回よりかは研究の内容がわかるようにはなっていました。
4年次になってから研究室探しを行うと、院試の対策も始めながらの情報収集になるので忙しくなり、研究室見学の時間が十分に取れないことが多いです。

そうすると、研究室に入ってからのミスマッチが起こりやすくなります。自分と研究室の雰囲気が合うかは、実際に教授や研究室メンバーと交流してみて体感しないとわからないので、研究室見学は必ずしましょう。少なくとも2年間苦楽を共にするメンバーであり、場所なのでこのマッチングは最重要です。

研究室訪問に関しての補足[2022/03/26]

興味のある分野と研究室を絞り込んだら、その研究室に所属している学生に連絡を取ってみましょう。研究室のホームページにアドレスが載っていることが多いです。

研究室内部の話しづらいこと(実際に学生が行える研究内容や研究室の人間関係など)は、所属している学生の方が話してくれる確率が高いです。なので、「今やっている研究について教えてください」と聞いてみると、学部で学んだことからギャップが少ない内容の話が聞けると思います。

大学院に進学して1年が経ったので、補足でした。

長くなってしまうので、「3.院試対策」は機会があれば別の記事でかきたいと思います。

受験本番

さて、いよいよ「4.受験」です。私が出願したのは、東京理科大学大学院と今在籍している大阪の某国公立大学院(以下、大阪某大学院)です。この当時はコロナ禍で入試日程がどの大学院も変動しており、正直気が気ではなかったです。東京理科大学以外に、京都大学と大阪某大学院に併願しようと考えていましたが、入試日程が被ってしまったためどちらか選ばないといけませんでした。受験勉強が思うように進んでいなかったことでメンタル的にかなりキツかったため、絶対に受かるであろう大阪某大学院に出願しました。

東京理科大学は7月後半、大阪の国公立大学は9月前半に試験がありました。結果は
東京理科大学大学院理学研究科 ✖
大阪某国公立大学院理学研究科 〇
でした。そのあとは卒業研究発表を行い、卒業論文を書き、「6.入学」を経て現在に至ります。

理論分野が難しいとは聞いていたけれど、まさか自分が当時所属していた研究室に落ちると思わなかったので、合格発表後は絶望の底でした。内部でも舐めてかかると落ちます。気をつけてください。私の成績が悪かったわけではないので、一応最後にGPAを貼っておきます。

京都大学に出願していたら、、(受かってたかも、全落ちだったかも)と考えることもありますが、今は研究室が楽しいのでオールオッケーかなと思っています。研究分野がほぼ同じなので、ローレンツ祭でお話しした京都大学の先生とも関わりが今後あれば良いなと思っています。
(1年後追記)京都大学基礎物理学研究所で勉強会が行われて参加しました。ホーキング輻射とエンタングルメントに関して、理解を深められ、良かったです。

外部大学院入試を終えて

私の院試はかなり運に恵まれた方ではあると思いますが、計画的に動けていたからうまくいったのかなと振り返ってみて感じます。実験助手のバイト先で研究者の方々と交流でき、アドバイスを得れたのも大きいとは思います。本当に関わったすべての方々に感謝しかないです。

あと、参考までに私の成績(GPA)も載せておきます。院試は学部の成績がすべてではない(大学によって基準が異なるため指標にしずらい)ですが、コロナ禍で書類選考が増えたところもあるので自分の受ける院試はよく調べましょう。ともかく、院試当日の筆記と面接の試験が一番重要なので頑張ってください。

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個人特定を避けるため、あまり詳しいことは述べていません。私のtwitter(@torino_ph)のDMやマシュマロは相談ウェルカムです。(就職のため、現在はtwitterアカウントは削除おります)外部大学院入試の情報は少ないので、なるべく情報は提供したいと思っています。

ルノワールの絵が好きなのでなんとなく画像いれてみました、、、笑

大学院を修了しました

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。今でもこの記事に反応があり、うれしい限りです。2023年3月31日に無事、前期博士課程を修了しました。
修了してこの記事を振り返ると、私は理科大二部が好きだったんだなと改めて感じます。大学院では電子回路やプログラミングに触れ、そちらの方に興味を持ったため、就職を選択しました。基礎物理に関する興味は未だ尽きないので、これからも論文や研究は追っていきたいと思います。
大学院進学に興味がある方がこの記事を読んでいるのだと予想しますが、より良い選択になることを願っています。


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