見出し画像

不確かな自由


止めを刺すのは不確かな自由

PPVV3観劇してきました。過去作は映像で何度も見返していて、待ちに待った最終章。やっと現地で観劇できる!と発表された時はとても嬉しかったです。

 開演前、ステージ上にはテーブルと椅子が1つずつあるだけ。そこに現れるひろきくん演じる九泉晴人。ゆったりと椅子に座ってタバコを吸い始める。まだスタッフが客席にいて照明もついたまま、いわゆる開演前なのにステージ上に役者がいる光景が異様すぎる。でもそこでグッとサイコパスの世界に引き込まれた。なんというか九泉晴人がそこで“生きている”ということを肌で感じた。演出は過去作と結構違う印象だった。リアルタイムでスマホやカメラで撮影している映像が映されたり、血糊を使ったり、拳銃で実際に発砲したり。ステージングも凝っていて、流石たわちゃんだなと。

 相変わらずストーリーは終わりのない地獄。コパステのどこまでも救われない展開が本当に大好きなので観終わった後は、どうしようもない苦しさと鬱展開サイコー!という矛盾した感情でいっぱいでした。Xで検索すると色んな考察が飛び交っていて私も自分用に軽くまとめてはあるんだけれど、それは自分の中で留めておきます。タイトルにした「不確かな自由」は今回のテーマ曲の歌詞から取りました。凛として時雨の曲は毎回最高値を叩き出してくれて作品のシメとして強烈な印象を残してくれる。個人的には今回のテーマ曲が今までで1番好きです。ラストシーンで血塗れの海堂がステージから飛び降りる同時にかかるTrrrrrrrrrrrrrrrrrrrue Lies、未だに脳裏にこびりついて離れません。あとイリュージオの歌う恒星。観に行く度に毎回ボロボロ泣いていました。人類を天界に導く女神のような神々しさと美しい歌声、一方その足下では仲間も自分自身も失った海堂が深く深く絶望していく。悲しくて苦しくて久しぶりに心臓を殴られるような感覚がしました。全公演が終了した後に女優さんのインスタのdmに感想送りつけてしまうくらいにはイリュージオに心を奪われていました(返信頂いてしまって余計に泣いた)。そして仁木役の高橋くん。ヒプステでめちゃくちゃ動けることは知っていましたが、今回も圧巻のアクロバットでした。命を削るような殺陣で痺れた。仁木はどこまでも救われない人だったな。シビュラに母を奪われ妹には毎日忘れられてしまう。本能を呼び覚ます妹の歌声は妹自身には届かない。海堂と同じくらい存在感がありました。

 最期まで自分自身であろうと、自分の信念を貫こうとして死んでいった、神宮寺、嘉納、そして九泉。今までの自分が自身ではないと知り、「お前はお前だ」と九泉に言い残された海堂は、何を思ったのだろう。ラストシーンで客席を走り抜けていった彼の目には何が映っていたのだろうか。

いいなと思ったら応援しよう!