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古刀の原点でもある蕨手刀の復元

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以下本文。

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剣術に非常に密接に関わる記事がありましたのでシェアします。


こちらの記事ですが、福島県飯館村で、古代蝦夷(えみし)の蕨手刀を復元する試みがなされているそうです。


日本刀は古刀が最上の質を誇っており、美的価値はもちろんながら、我々にとって欠かせない要素である武器としての優秀さも新刀以降の刀とは比べ物になりません。


その古刀は現在まで製法が不明で完全な再現には至っていませんが、古刀の原点の一つでもある蕨手刀を再現することで非常に多くの知見が得られているそうです。


特に、蕨手刀は鋼ではなく炭素を多く含む銑鉄を原材料として、それを秋田県で発掘された製鉄遺跡の炉の構造を模した炉で精錬したところ、炭素含有量を下げることが出来たという実験結果が得られたそうです。


北日本の製鉄は、沿海州方面との交易によって匈奴の製鉄が入って来たのではないかと私は考えており(実際、交易がおこなわれていました)、そしてその匈奴は秦漢とは別系統の独自の製鉄技術を持っていたことが近年の発掘調査で明らかになっています。

(秦漢の製鉄は炒鋼法という銑鉄と赤さびを混ぜて脱炭する間接製鉄法でしたが、匈奴の製鉄は銑鉄に直接酸素を吹き込む直接製鉄法であったとのこと)


匈奴の製鉄はステップの道を通って、西アジア・アナトリア近傍にあった初めて国家的に製鉄を行ったヒッタイトの製鉄法をかなりそのままの形で受け継いだものではないか?と目されています。


他にも、電気精錬したスウェーデン鋼を用いて丸鍛えした素延べの製法で刀を作ると古刀とほぼ遜色ないものが出来たという話もあり、古刀は銑鉄のような粗末な材料と粗野な製法であったが故に高い質の刀ができたのではないか?という極めて逆説的なことも言えるかもしれません。


木刀の自給自足ももちろんですが、いずれ古刀の再現にも関わって、二天一流にふさわしい真剣を自らで生産することのできるような試みも将来的にはしていきたいと考えています。


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