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前後の歪み・左右の歪み〜カラダの歪みの二重性〜
人間のカラダの歪みには二重性がある。それは、前後の歪みと左右の歪みである。
そのように説くと、「何を当たり前のことを!」と思われる方も多いかもしれない。
しかしながら、(お恥ずかしながらというべきか?)、自身では永らく左右のカラダの歪みのみに着目し、施術してきた。
これには2つの理由がある。1つは、自身の指圧・整体の施術というものが、ベッドに寝てもらってのであったので、その状態・姿勢では、左右の歪みというものはよくわかるものの、前後の歪みというものが分かり難いという面があった。
とはいえ、それを全く感じなかったかといえば、そうではなく、背中が丸まっているとか、お尻が痩せているとか、肩が前に出ているとか...…ということはそれなりに気付かされており、それに対しての施術も行わないではなかった。
しかしながらそれとて、左右の差に主に着目してのものであったし、凹凸のあるものをフラット方向に整えるものであった、でしかなかった。
それは何よりも、自身の学んだ施術手技自体が、左右の差に着目し、そのバランスを取るという理念でのものであったから、というのが前後の歪みに着目し得なかった理由であろう、と現在で思えている。
また、それで十分に治っていった、治せていけたのであるから、それ以上、前後の歪みということに着目して、どうこうしてみようとすることもなかった。(去年の春、二月までは)
そうではあったのだが、自身の問題としての「左膝痛」が、治療しても治療しても治らず、治ったと思ってもそれは一時的なものであり、しっかりと使うと(ムエタイや山を走る等を行うと)、またすぐに痛みが出て、それが傷みへとなっていって、結果的にまた数ヶ月は、一からのリハビリをして、という状態が7年近くも続いており、(右腰の古傷、ひどい打撲で直後の2年近くは、跛を引いて歩いていたのもあったので)、もう限界か(年齢も年齢であるし)と思っていた時に、「股関節重心+骨盤前傾」体ということに出会った。
そこで、「膝重心+骨盤後傾」体から「股関節重心+骨盤前傾」体へと前後の歪みを整えてやることを知り、それを実践することで、それまでどうしても治ることのなかった、再発を繰り返していた「左膝痛」が嘘のようにピタリと止まり、やがては「右腰痛」も止まり、「肩こり」「耳鳴り」も止まり、「喘息」も止まり、細くなっていた左大腿の太さも戻り...…と、自身の(主に運動体の)病・不調が次々と解消されていったという事実を持てた。
そこから、「膝重心+骨盤後傾」体から「股関節重心+骨盤前傾」体へと、カラダの前後の歪みを整えることの有効性に気づき、また、「生命の歴史」の繰り返しの問題として、運動体の歴史性の問題として、「股関節重心+骨盤前傾」体ということを捉え返すことで、その必然性・必須性にも思い至った。
また、そのような観点から、街行く人や駅で立っている人の姿勢を眺めると、日本人のほとんどが、「膝重心+骨盤後傾」体になっているということにも驚かされ、「だから、膝痛、腰痛、肩こりが日本人の国民病にまでなっていってしまっているのか!?」との思いともなった。
以上要するに、人間のカラダの歪み(とそれに対しての施術)ということをカラダの歪みの二重性として捉え返してみると、カラダの歪みの、前後方向と左右方向の二つの歪みは、前後方向の歪みが根本的なものであるということ。
そして、左右方向の歪みは、多くの場合、前後方向の歪みを持っての、持ったまま使い続けることの結果として、量質転化的に(弁証法)起こってくるものであるから、前後方向の歪みを整えることを本治とし、左右方向の歪みを整えることを標治としての、姿勢を整えるの二重性としてカラダの歪みを捉え、施術していくべきであると、現在、自身では捉えている。
それが自身のイメージするカラダの歪みの二重性であり、それに対する施術の二重性の問題である。