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治り難かった五十肩の回復過程の事例〜重層構造を持っての一重ということ〜

 五十肩への施術。人間の身体というものは重層構造を持っての現在(の一重)であるのだということ痛感された。

 施術を受け始めて2ヶ月余、なかなかに変わっていかなかった40代女性の五十肩。昨日は肩のハリ・コリもほぐれ、一昨日までは90° ぐらいまでしか上がらず、であったものが、160〜170 °cくらいまでの挙上が、痛むことなく可能となってきている。

 当初から、五十肩以前の問題として、肩首のこりが強く、姿勢も「膝重心+骨盤後傾」体であったので、「股関節重+骨盤前傾」体へを指導してであったのだが、そのことで肩こり・頭痛は、ほぼ起こらなくなったということであったのだが、五十肩に関しては、挙上範囲が90° くらいまでというままであった。

 肩こり・頭痛の改善ということがあり、姿勢矯正ということも、その意義をある程度理解し意欲的に取り組んでもらえていたので(これは肩こり・頭痛の軽減を実感できたからのと思える)、そのうちに五十肩も、とは思っていたのだが...…肝心の五十肩の変化がほとんどないことから、かつ全身レベルの運動体の硬さというか、循環の悪さというか...…を感じていたので、五十肩を治す(もちろん、クリニックでの施術はそうなのだが)、よりも五十肩が治るような体へと変えていく、ということ(本治)を主に考えた。

 具体的には、湯船に使っての入浴をしっかりすること、鎖骨からの上肢の運動(肩関節ではない)、それに加えて、腹筋・背筋(魚類段階の運動体のイメージ)を行うように年明けに指導した。

 一昨日の施術時に「背筋運動が当初全くできなかったものが少しずつだができるようになってきた」と言われていたのだが、昨日は一気に上肢の挙上範囲が広がった。

 昨日は、新たな試みとして、上腕神経と星状神経節への指圧を行ったので、その効果ということも考えられないではないけれども(何度か試せばそこもわかっていけるとは思うのだが、残念ながら自身の転職で......)何よりも、身体自体が、実体としての身体が、当初からの姿勢矯正と、そこに加えての腹筋・背筋運動によって変わっていった、五十肩が治っていくような実体へと変わっていったから、と思える。(実際にガチガチに固まっていた肩がほぐれてきていることからも......)

 これは要するに、人間の運動体というものは、誕生からの重層構造を持って(寝た状態からはいはい、掴まり立ち、おんぶに抱っこ、よちよち歩き...…)の現在、(もっと言えば...…魚→四足体→猿→二足体という「生命の歴史」としての過程を繰り返すという二重の意味での)であるから、一重に見えるそれは、決して単なる一重ではなしに、二重の過程的構造、重層性を持ったところの一重なのであるから、そのどの段階が欠けても、弱くても、まともには機能しないということであると思える。

 これは、「生命の鎖」(ウィリアムス)をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれない。その鎖の輪のどれか1つが弱くても、鎖全体としては弱いものとなってしまう(仮に他の鎖の輪がどんなに強くても)のと、全く同じことが、人間の運動体の重層的構造にも言えるのである。と思える。

 もしかしたら、「股関節重心+骨盤前傾」体への姿勢矯正が、劇的な効果を生む場合もあれば、それほどでもないということの分かれ目も、ここにあるのかもしれないと思える。(ここは改めて説きたい)

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