残念ながら日本も世界も共産主義にはなりそうもないのである
原始共産制
古代や近世までの小規模な漁村であれば鯨一頭捕まえれば村中の人にその肉が分け与えられたわけである。もちろん、肉だけでなくてその骨や鯨の髭まで余すところなく日本の人は利用したし、今の捕鯨ではなくそりゃ人独自の真剣勝負であったから、若者が捕鯨のために命を落としたかもしれないわけである。
それでも人は命をかけて鯨を取ってその肉を食べて命を繋いだわけである。単に鯨油を取るために乱獲したわけではなかった。
まあ、それでも捕鯨反対とかの人は「鯨を食べるくらいならば豚とか牛を食べればいいのよ!」というかもしれないが、それは西洋の風習であり、明治以前には日本には入っていなかったのである。
まあ、これが原始共産制である。小規模な集落であれば資源は十分に行き渡るので、そこに貨幣の必要はなかった。
けれども、海のそばの漁村が山のものが欲しいときには最初は鯨や魚を持って行って山の作物や鹿の肉と交換していたであろうが、その媒介に貨幣が便利だということで用いられることになったということであろう。
それが時代を下ると人口がどんどん増えてきて、社会が複雑になったわけである。あの中国も後漢末の三国時代に戦争でお互いに殺し合った結果7〜800万人まで人口が減ったそうであるが、今や10億人を超えているわけである。
資源の豊富な供給がないと奪い合いになる
政府や科学技術はそういう人口を少なくとも飢えさせないだけの食糧生産を達成したということでもある。けれども、それは到底十分と言える量ではなく、例えば、北朝鮮では一時期不作のため餓死者が出て国連が食糧支援をしたし、内戦を起こしたスーダンの難民も例えばガザの難民たちも飢えに苦しんでいる訳である。封鎖されたガザ地区には食料を配送することができないため、貨幣を持つものも食料を買えないということが起こる訳である。
日本だって今は飽食だが、江戸期には何度も飢饉を経験したし、明治になっても日韓併合した韓国の経営のために資金を投入する必要があり、東北地方の飢饉に対応できず、貧困に苦しんだ農村で娘を売る羽目になった家族も多数出た訳である。
そういう状況の近代から現代の世界では古代の原始共産制などは望むべくもなかった。食料は不十分であるため奪い合うものになった訳である。他の資源だって同じである。例えば、スマホや電子機器に使うレアアースにしても中国がその産地を独占していきなり値段を釣り上げたことがある。日本もこれには困って、電子機器を作る部品にレアアースを使わないで済むような回避策を開発せざるを得なかった訳である。
共産国ともあろうものがそんなことをする世界である。もうどうしようもないのである。資本主義はそりゃモノポリー(独占)されば勝利ということであるが、そのときには共産国中国がその独占を試みた訳である。それを悲劇というべきか喜劇というべきかは私にはわからない。
マルクスの考えた共産制はアンパンマンの世界
もちろん、マルクスは高度な資本主義の先に共産主義があると書いたそうなので共産主義国が資本主義の真似をして悪いということではない。けれどもそれは高度な資本主義は生産を無限大に増大することで交換するのに貨幣など要らなくなって自由に好き勝手に取っていけるようになるのでそこからが共産主義の出番だということだそうである。
これはアンパンマンの世界ではみんな、困った人にアンパンマンが「僕の顔をお食べ」というシーンしか印象にないかもしれないが、実はその前後でみんなにパンを配り歩いているのである。もちろんそれは売っているのではなくタダで配っているわけである。
ストーリーはそれを独り占めしたくて陰謀を巡らすバイキンマンやドキンちゃんの悪事をアンパンマンがアンパーンチ!と殴りつけて山の向こうに吹っ飛ばすことで解決して、また元のようにみんなに平和に配り歩くということになるわけである。
当然ながら現実世界にはアンパンマンはいないのでソヴィエトのように有力な共産党員が物資を独り占めすることになり、おばあちゃんにはいくら待っても配給のスープが当たらないということになったわけである。その結果、ソヴィエト連邦は内部の自己矛盾を修正できずに崩壊して共産主義の実験は哀れ失敗に終わってしまったわけである。
おそらくはそういう失敗を見たためかもしれない。中共では汚職追放運動が盛んに行われているようである。けれどもこれは肉でハエを追い払うようなものなのでどれだけの実効性があるのかはわからないのである。
上記は昨年10月の中共の国防相解任騒動のニュースである。
根本的な原因は生産手段が需要に追いついていないから独占に利益があるので資本主義の段階からはどうしても共産主義には進めないということであろう。先のレアアースの問題も、生産が限られているのでダンピングで競争相手を潰して独占が図られたわけである。
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