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神奈備山(カムナビヤマ)と前期古墳群~稲荷山と伏見稲荷大社~

 秋晴れの一日、未踏だった伏見稲荷大社(京都市伏見区)を訪れることにした。但し、一般の方々とは違い参拝目的ではなく、伏見稲荷が信仰される以前の状況はどうであったのかを歩いて(山歩きと同義)地形や空気感を確かめたかったのだ。この場所は稲荷信仰になる以前にも、何らかの信仰場所であった可能性があること、それが京都市内では稀有な前期古墳が分布する地域であること、この二点を中心に歩いてみることにした。いわゆる「お山巡り」と重複する。約2時間半の山歩きである。

JR京都線稲荷駅前の様子(外国人観光客でごった返している。)
伏見稲荷大社の標柱と大鳥居

 JR京都線稲荷駅を降りると眼前には伏見稲荷大社の朱色の大鳥居と巨大な標柱が現れる。ご覧の通り外国人観光客で溢れかえっており、ここが日本であることすら忘れそうだ。
 伏見稲荷大社は稲荷信仰の中心的存在として、全国三万余の稲荷神社の総本社として、また初詣参拝者が多い神社としても著名な神社である。東山三十六峰の最南端に位置し、稲荷山(標高232m)の西麓に鎮座する。本来は現在の場所ではなく、和同4年(711)に稲荷山の三ヶ所の峰にそれぞれの神が鎮座したと伝える。

稲荷神社の標柱(伏見稲荷大社よりも古い名称か?)

稲荷神社の祭神は、
①宇迦之御魂大神(ウカノミタマオオカミ)下之社:三ノ峰
②佐田彦大神(サタヒコオオカミ)中之社:二ノ峰
③大宮能売大神(オオミヤノメオオカミ)上之社:一ノ峰
⓸田中大神(タナカノオオカミ)田中社:最北座
⑤四大神(シノオオカミ)四大神:最南座
の五座で、総称して稲荷大神と呼称するそうだ。

稲荷神社周辺の古墳分布図
桜門(境内入口)
神社内説明板
千本鳥居へ向かう(人込みで前へ進めない)
千本鳥居の入口付近
朱色の巨大な鳥居が続々と…

いよいよ千本鳥居だ!

 千本鳥居は途中で左右に分かれて一方通行となる。さらに鳥居自体が低くなる。背の高い外国人観光客には圧迫感があるだろうが、日本の霊域という体験は充分できそうだ。とにかく山頂に急ぎたいのだが、ヒト、ひと、人である。どこかのテーマパークに紛れ込んだかのようだ。考えようによれば古来から人の集まる場所はテーマパークなのだ。遺跡、古墳、寺院、神社等、あれこれ考えながら先を進んだ。

三ツ辻にある案内板
三ツ辻を登る道
朱色の鳥居周辺の状況

 千本鳥居を歩くと三ツ辻までは登り道が続く。途中、冷気が漂い、一層聖域に入った感覚となる。訪問者は鳥居をくぐりながら山頂を目指しているのだが、私は違う。周辺の地形を観察しながら、盛土を探している。そう古墳の有無である。残念?ながらこの場所は無かった。

朱色の鳥居が続々と

 四ツ辻より登り道を歩くこと約20分で、三ノ峰(下之社)に着いた。地図を見ると稲荷山の稜線を歩いている。行き交う観光客は激減したものの、相変わらず多い。いよいよ「お山巡り」の始まりである。

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