クィア・アイで「見える」もの

クィア・アイ(Queer Eye)はNetflixで配信されているリアリティ番組シリーズだ。
ファブ5(Fab 5・ファビュラスな5人組という意味)と呼ばれる5人の専門家が、依頼人の外見と内面をステキに改造していく。
料理担当アントニ、ファッション担当タン、カルチャー担当カラモ、インテリア担当ボビー、そして美容担当のジョナサン。
5人の天井知らずなテンションと、その繊細な優しさで、誰もが笑顔になってしまう番組だ。

ただ、ちょっと特徴的なことがある。

タイトルでもある「クィア」という単語は「不思議な」「風変わりな」「奇妙な」という意味合いで、同性愛者への侮蔑語だった。
ただし1990年代以降は「性的少数者全体を包括する用語」として、主に肯定的な意味で使われているらしい。

そう、ファブ5は「ゲイ」や「ノンバイナリー」と呼ばれる、ちょっと個性的な面々なのだ。

なんかもう、ファブ5はとにかく天井知らずで、底抜けに明るい。
正直私は俗に言うBL好き百合好きでもあり、そういう差異はあまり気にならない。
だから、とにかく元気で楽しいファブ5が大好きだ。
5人全員がカッコいいし渋いし、可愛いしセクシーだ。
ジョナサン可愛いよジョナサン。

私は「星野源のオールナイトニッポン」でこの番組を知った。
ただ、その時には「ゲイ」という話は一切語られなかった。
だから自身でクィア・アイを調べるまで、そこに気が付かなかった。
今思えば、このおかげで「改造」という視点が際立っていた気がするのだ。
とにかく面白そうだった。
ただメチャクチャ可愛い方もいるなあ(今思えばジョナサンだった)と思った、その程度だった。

星野源『クィア・アイ』を語る 

実際、番組を見始めるとセクシャリティについては特に気にならない。
時折会話の中に「ん?」と思う話が出てくるが、かえって色々な世界を知ることができて、ちょっと嬉しい。

セクシャリティについて違和感がない。
それはきっと、ファブ5が依頼人に対していつも「真剣」だからじゃないだろうか。

ふと会話の中で、依頼人とファブ5のメンバーが語る場面に遭遇する。
改造を望む人はどこかに悩みや不安を抱え、人生に迷う問題児が多い。
けど5人の言葉を聞くと、純粋に依頼人を「人」として見ているのではないかと思う。

日々、生きていると様々なフィルターを通される。
それは性別であったり、貧富だったり、出自であったり。
誰もが人と接する時、その誰かのフィルターを通されてしまう。
時にそれは自分自身をもフィルタリングしてしまう。
自ら作ったフィルターなのに思い込みが強すぎて、真も偽もなかったりする。

そんな息苦しいフィルターを、ファブ5はそっと外してくれる。

その人の存在を、生き様を、その思いを。
ファブ5はそれを見据えて、真芯から向かい合って、そっと寄り添ってくれる。

まさに「クィア(不思議)」な番組だと思う。

実はまだシーズン1の途中なのだが、もう思い出しただけでちょっと嬉しくて泣ける。
5人の言葉が本当に沁みるのだ。
知らずに背負っている「生きるための鎧」が、依頼人を見ているだけでホロリと崩れていく。
自分まで勇気づけられたようで、ちょっと笑顔になる。

とにかく、Netflixを見られる環境の人は、ぜひぜひ見てみて欲しい。
きっとファブ5のことが大好きになるし、色々なものに対する「見え方」が変わると思う。
あとジョナサンは可愛い。

いや、アントニの料理と励ましセンスは抜群だし、タンの洋服のセンスはピカイチだし、カラモの寄り添い方はもはや神だし、ボビーの時折見せる豪胆さは必見だし、そしてジョナサンは本当に可愛い。
要はジョナサン推しである。
もちろんジョナサンの美容知識と「依頼人に合った美容」をがっちりカスタマイズしてくる腕は唯一無二だと思う。

まだまだ先だが、どうやらファブ5は日本にも来ていたらしい。
しかも渡辺直美ちゃんが出演しているとか。
もしかしたら、そっちから見ても面白いのかも知れない。

早く見たい

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