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【龍が如く】良いところも……あった!【喰う寝るドラマ】

 今日の話は、先週、3話までしか配信されていない段階でもう書いちまおうかと思ったんですけど……やっぱ完結してからだよな、と思いなおし、ずっと心に思いを秘めてました!
 ようやく、ようやく書けます。
 ドラマ「龍が如く Beyond the game」の感想です!

煽り文句が微妙にダジャレになっているのが、すべてを物語っている気がする。

■軽く前提

 僕はこれまでいろんなゲームをしてきまして、龍が如くファンでもあります。
 ……と、言いつつ、プレイしたのは7,7外伝、8のみで、1,2は実況プレイでストーリーを把握、3はプレイ途中、4~6は未履修って感じです。
 にわかではありますけど、公式YouTubeチャンネルの「龍スタTV」は見逃さない程度には、龍が如くが好きですね!8外伝は当然、発売日に買います。

 僕が好きなタイトルである、龍が如くが実写ドラマ化。もちろん、ゲーム原作の実写ドラマという、地雷キーワードが気になりつつも、最近作られている国内ドラマの質の良さから、「例え別物になってたとしても、面白い龍が如くが見られるのでは!」と期待を膨らませて、配信日を待つ毎日でした。

 ……と、本当に軽くですが、これが前提。ではここから、感想を書いていきます!
 具体的なネタバレは避けますが、先入観なく見たいんだ!という方は……すみませんが、また来てください。

■良かったところを先に!

 「良かったところを先に」という時点で……まぁ、そういうことなんですけど、良かったところもたくさんあったので!

 桐生※の地下闘技場での場面をはじめ……とにかくフィジカルに訴えてくる場面が多い!女性も啖呵を切ったり、叫んだり。画面から気迫を感じました。それとアイコと由美が入っていく沼とか……絶対汚いでしょ。イヤだよあんなところ入って演技するの。
 真島の兄さんも良かったですね~。そもそも完全再現は実質不可能なキャラクターなんですけど、ちゃんと頭がおかしそうに見えたし(笑)、なにより「真島の兄貴が出て来た!さぁ、何が起こるんだ!?」というワクワク感が、ゲームと同様に感じられたのは素晴らしかったと思います……!
 全編通して、役者さんが本気で戦ってくれているのを感じられて、緊張感がありました。

 ※この記事では、断りはつけますがドラマの桐生一馬を桐生、ゲームの桐生一馬を桐生さんと表記します。

 役者さんの話で言うと……アイコはマジでムカつきますよね(笑)あんなに人生舐め切った演技が出来るの、すげえよw 由美に「もうこれ以上遥を傷つけないと約束して」ってバンの前で話した時の、ガム噛みながら由美を見上げる顔。僕の怒りが頂点に達した瞬間ですw
 誰だろこの役者さん、と思って調べたら、全裸監督の黒木香さんじゃねぇか!マジか!あの……ええと、詳細は控えますが、何度も見ました。。。というか、話題の朝の連ドラ「虎に翼」も出てたのね。みればよかった。

 それともちろん、どこでも言われていることですが、美術。神室町の再現度はすごかったですねー。あの頃(1995年・2005年)の歌舞伎町には行ったことがないんですが……行ってみたかった(怖いもの見たさ)という気持ちがあります。

 ……よかったのは……これくらいかな……。
 はい、皆様すでにお察しのとおり、僕個人の感想としてはこの作品……面白く……は、なか……った、かな……。
 なんで面白くなかったのかな、と、ちょっといろいろ考えてみました。

■「こんなの龍が如くじゃない!」について

 最初にこれに触れておく必要はありますよね。

 ネット上の如くファンから「こんなの龍が如くじゃない!」「ここまで変えるなら龍が如くである必要はない!」という気持ちをたくさん見ました。
 特に桐生の「俺は堂島の龍になりたい」というセリフ。ゲームの桐生さんだったら。絶対これだけは言わない、ってセリフなんですよね。
かくいう僕も「随分原作の設定から変えたもんだなぁ」と思いました。

 個人的に、原作と違う分には、全然いいんです。アリなんです。ただ、ゲームと異なる設定が出てくるたびに「え!?……ああ、でもこれはドラマ版だから」という脳内変換を行う必要が出てきて、それが凄くノイズになっちゃうんですよね。
 だから、サービスのつもりなのかドラマの脇役に、原作に出て来た名前がたくさん出て来たんですけど、その度に変換処理を行う必要があって、逆にサービスになってなかった、というのがあります。。。

 ……でもこういう不満って、ドラマが面白ければ賛辞にかき消される程度の小さいものなんですよね。ドラマ龍が如くが面白くなかったことと、ドラマと原作の設定が違うことは、ほとんど関係ない、って思います。

 じゃあ、何がまずかったか、僕がどう思ったのか、なのですが……

■ヤクザが怖くない!

 僕、「動じない男」ってかっこいいと思うんです。
 何があっても繭1つ動かさず、ただ一点を睨み、必要な事だけを口にする。男の子なら一度は憧れる「男像」なんじゃないかな。街中をキャンキャン吠えて走り回る犬より、崖の上でただジッとそこにいる犬の方が、カッコいいじゃないですか。
 話を戻して今作。役者さんの演技が悪いんじゃなくて、演技指導がまずかったんだと思うんですけど……ヤクザが怖くない、結果、ヤクザがかっこよくない、って思いました。

 特にがっかりだったのは、風間の親父。1話目で初登場時、ひまわりを襲う堂島組のヤクザを一掃するところ。ここはホントかっこよかった。
 なのに……その直後、堂島組の事務所に行ってから「桐生たちを見逃してくれねぇか」と言うシーン。もう、体はソワソワ、目はキョドキョド。「あ、こいつ頼りになんねぇな……」感がすごかったです。もっと堂々としていてくれよ!風間が「頼りにならない男」って設定なら、それならばっちりなんだけど、そういうわけでもないし……。
 その後「ヤクザにしてくれ」と言い出した桐生に説教をする風間。この時も「家族だろうが!」と怒鳴り散らす始末。セリフもベタで、響くセリフを言うわけでもない……。挽回のチャンスがどこかで来るのかと思って待ってましたが、最後までなかったですね……。

 風間の親父だけでなく、ヤクザがどいつもこいつもみんなキレてわめき散らしてばっかり!かっこ悪い!そこらのチンピラと変わりないじゃないか!怒鳴ったことが無いのは近江連合の会長くらいじゃないのか?
 で、やっとドシッとした大物が出て来たと思ったら、高田純次だしさぁ……(笑) 笑っちゃうって。ふざけてるのか!
 東城会の幹部連中も悪魔だ悪魔だってビビり散らかしてるしさぁ……。情けないよ、天下の東城会が。

 僕が思う怖くてかっこいいヤクザってさ……。

  1. まず、街中でキャンキャン騒ぐチンピラがいて、見てる側が「嫌だなぁ」と感じる

  2. それに動じることなく、威嚇だけで、あるいはワンパンでチンピラを黙らせるヤクザがいて「おお……ヤクザ怖ぇ」と(またはスカッと)感じる。

  3. さらにそのヤクザが何も言わない親分にひれ伏しているのを見て「ひぇぇ……」と思わせてくれる

 これが見たかったんですよ。
 でも親分たちまでキャンキャン吠えてるんだから。チンピラ集団じゃねえか。

 一応、登場場面が多くて吠える場面が少ない堂島についても触れますが……あの人は逆に物語の役割上、ダサくても全然いいんですよ。だからもっと騒いでもよかったのに……。ただ動きひとつひとつが大きかったり、視線や頭がチラチラしたり、セリフの間ですぐ「あ?」とか「お?」とか無駄に威嚇を入れててちゃんとダサかったので、それは別にいいです。
 龍スタ代表の横山さんは「堂島は所作がキレイで怖い」って言ってましたけど……僕はそうは思わなかったなぁ。

 そう考えると……ちょっとゲームの話になりますが、もともと龍が如くはPS2のゲームで、グラフィックの限界により感情を表すモーションが、あまりできなかったと思うんですよ。要はハードの制約のおかげで意図せず「動じない男たち」になっていたわけで。
 その辺りを考えると、如くのような任侠モノのお話と、CGキャラクターのみで構成されるゲームは、相性が良かったのかもしれませんね。
 だからこそ、感情豊かな真島吾朗って男がカウンターで魅力的に感じたわけだし。

 ……では、ドラマの話に戻します。

■こいつら何を考えて行動してんだ?

 とにかく、登場キャラクターの行動に共感できない!「こいつなんでこんなことしてるんだ?」っていうのが多すぎる!

 まずは冒頭でも書きました「俺は堂島の龍になりたい」発言。ドラマを見たところ、「幼少期に地下闘技場で一度だけ見た、龍の刺青を入れた格闘チャンピオンである、"堂島の龍"に憧れている」っていうことらしいんです。なるほど。原作ゲームでも、桐生さんは育ちの親である風間の親父(こっちはかっこいい)に憧れていたわけですし。ここまでは、まぁいいじゃないですか。
 ……で、堂島の龍に憧れた結果、桐生は大切な人たちである、錦山、由美、ミホを巻き込んでヤクザの大金を強奪するに至った、と。
 ……???
 ……なんでそうなる?

 そもそも「堂島の龍になりたい」って言いますけど、堂島の龍の何に憧れたのかがわからない。

  • 強さや闘う姿に憧れた ⇒ 格闘技をすれば良いのでは……

  • 生き様に憧れた ⇒ 一度しか見ていないのに生き様なんてわかるか?

  • 龍の刺青に憧れた ⇒ 刺青を入れればいいのでは……

  • ヤクザに憧れた ⇒ 一人でヤクザになればいいのでは……

  • ???? ⇒ 幼馴染を巻き込んでヤクザの金を奪うしかなかった

 この「????」がわからない。わからないから、桐生が一人で幼馴染をヤクザの世界に巻き込んだだけにしか見えないですよね。龍が如くスタジオ代表の横山さんですら「桐生ひどいヤツだよね」って言ってましたからね。やっぱりそうですよね。

 桐生だけではないです。
 ヤクザに震えあがっていた錦山は、なんで急に堂島組長に憧れたの?……まぁ、あの短い時間で、堂島組長の行動に衝撃を受けた……のかもしれないから、まぁ……まぁいいでしょう。納得いかんけど。
 でも由美はわからん。
 由美は何年も前に生き別れた姉、アイコを大切に思う描写がたくさんあるんですけど、このアイコっていうのがまぁとんでもない人で、金は盗むわ人は平気で殺すわ妹の勤め先を警察沙汰にするわ……もう、アイコは出てくるだけで胸糞悪いキャラクターなんですよ。
 でも由美は「家族だから」といって必死に探してるんです。
 ……いやいや、家族と言ったって限度があるでしょう……。というか、「あれだけ酷い人でも家族だから大事にしたいんだね」と思わせるようなエピソードがひとつでもあったら、「まったく、由美はお人よしだなぁ(涙」ってなるかもしれなかったのに、それもない。
 風間の「家族だろうが!」とかも含めて、脚本スタッフは家族に対する幻想を抱きすぎなんじゃないか……と思ってしまいます。家族と言えばなんでも納得するわけではないですよ……?

 そのアイコも行動原理がさっぱりわかんないし、ミホもヤクザに相対して泣きそうになってたのにホステスになったら急にすげー楽しそうにしているし、そもそも桐生、錦山、由美、ミホがなんでそこまで風間から離れたがるのかもわからんし……(「規律、規律ってうるさいんだよね」って言ってはいたけど、そんな子どもの反抗期レベルの恨みだけで、あんな大掛かりな窃盗計画なんて立てるか?)。

 風間の親父がかっこよくないこと、メイン4人の行動に共感できないことは、いずれも1話の冒頭の話なので、もう、しょっぱなのしょっぱなで、僕は躓いちゃったんですよね。話の掴みとして、かなりの痛手。「これ……大丈夫か……?」と思わせるのには十分な減点ポイントでした。

■その結果、話がよくわからない

 これは僕の頭の問題でもあると思うんですけど、ドラマの構成が2005年と1995年を行ったり来たりするものだったのですが、わかりにくかったです……。
 キャラクターの服装や雰囲気、全体の色彩とかで区別しようとはしていたんですけど、いかんせん話に不要な疑問点やノイズが多くて「……なんだっけ?」となりがちでした。
 二つの時系列が並行して進む、って構成そのものが悪かったわけではないと思うんですけど、上記のとおり序盤で「???」となってしまったので、お話に集中しきれなかったような気がします。

 それに「なんなんだ?」「そうだっけ?」というのも多く……。

  • この事件って1995年なんだっけ?2005年?

  • なんで由美は最初ホステスの接客態度がひどかったんだ?

  • 由美が桐生に「堂島の龍になるのは、みんなの夢なんだよ」って言ってたけど、そうだっけ?

  • そういえば冒頭のバイク集団はなんだったんだ?

 ちゃんと見ていればわかったのかもしれないけど、とにかくノイズが多くて頭に入ってこず……。

 感想のコメントで「このシナリオでゲームになっていたら評価されていたハズ」というのがあったけど、確かにゲームのボリュームだったら、例えばサブクエストやちょっとした会話などで、もっと細かいところまで突っ込む余裕があったのかもしれないです。でもドラマだと予算やスケジュールなどの都合から、説明不足の部分が増えてしまったのかもしれないですね。かっこ悪いヤクザの演技も、如くスタジオの手でかっこよくなったでしょうし。

■その他 / まとめ

 あとは細かいところをぽつぽつ書いていきますが……

  • 錦山はなんで桐生を恨んでいるんだ……?あの子がああなった直接的な原因は、桐生じゃないってことが後々分かったでしょ。。。

  • 風間が錦山に「戻って来い」って簡単に言うけど、ヤクザから抜けるのが難しいことは、あなたならわかっているはずでは?

  • ミホは生き生きと仕事していた分、自業自得に見えてしまうので、可哀そう感がかなり薄まってしまっている……。

  • 錦山への最後のダメージ、あれは……どういうこと……?どうして刺さったの?見返したけど意味わからんかったぞ……?

 あと何より大オチ!大オチよ。
 具体的には書きませんけど、1話の時点で察してましたよ!「でしょうね」としか思えない話をそんなドヤ顔でやられても……。「駄作として美しく締まった」と言っても差し支えない終わり方でした……。

 そんな感じで、原作と設定が違う・違わないに関わらず、僕としては、面白いとは言えない、残念な作品ではありました。
 でも演者さんのファイト、例えばラストの錦山の涙が、じわぁ……と滲むシーンは「役者さんってすげぇ!」と感動したし、クライマックスの大乱闘もすごかったし、良いところもありました!
 それだけに……もったいなかったですね……。どうしてあの脚本で、OKを出してしまったのか……。大人って、プロって大変なんだなぁ、と思える作品でした。

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といったところで
今日はここまで。

過去に僕が書いた感想の中でも、
一番の酷評となってしまいましたね……。
でも、見てよかったです。
如くファンとしては、知っておかなくてはいけない作品だと思うし。
これに懲りずに、またゲーム原作の作品を作って欲しいです。
もちろん見ますから!

まだ寝ませんが
また今夜!


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