クリップオンストロボの名人
ずいぶん昔の話ですが、仕事中に、クリップオンストロボの名人に会いに行った話。
メインの用件はすっかり忘れましたが、何だか面白そうな写真の話をするので、もっと聞きたいと言ったら、どうぞってなって、神奈川の海辺の町まで行きました。部屋には名人の写真がいっぱい飾ってありました。
名人は、写真コンテストでしょっちゅう賞をもらっていた方で、よく学生の卒業式に紛れ込んで、変わった集合写真を撮って有名だったようです。そして、その撮り方を発明した人でもあるとのこと。
その名人が言うには、ストロボが大事なんだ、と。ほぅ〜、そうなんですかって話を聞いていると、次のような感じでした。
「内蔵ストロボだと光量が足りないから、これ(多分、クリップオンストロボならなんでもOK)をカメラに付けてるんだけど、これがないと鮮やかにならない。でも光量調整が大事で、ちょっと控えめに使うんだ。」
その頃は、まだそんなにTTLではなくて、「外部調光オート」っていうモードを名人は使ってました。まあ、TTLと同様オートですが、TTLがフルオートというなら、外部調光オートはセミオートって感じです。
オンカメラストロボ(ストロボをカメラに直接取り付けること)で、これほどうまく撮る人は、なかなかいないなあと思うほど、名人の作品はどれも素敵だったのですが、さて、名人の言わんとしたことで大事なことは何だか分かりますか?
答えは、ストロボを使うと「鮮やかになる」ことと「ちょっと控えめに使う」ということです。
ストロボを使うと「鮮やかになる」というのは、ストロボを使うと「人や物の色味を正しく表現できる」ということです。なぜかというと、ストロボは太陽が持っている光の性質に、かなり近い光を出す光源だからなのです。太陽光は様々な波長の光を豊かに持っているのですが、ストロボ光の性質はよく似ているのです。(詳しく話すととても時間がかかるので、とりあえずそういうものだなと思っていただけたら幸いです)
それから、「ちょっと控えめに使う」ということですが、この調整は初めての人は難しいかも知れません。すごく簡単に言うと「ストロボを使っていることが分からないくらい弱めに光らせる。でも使っていない時と比べると、明らかに違いが分かる程度」な感じです。
だいぶ端折って書いてしまいましたが、ニュアンスは伝わるでしょうか?
オンカメラでしか撮れない素敵な写真は、実は結構たくさんあるのです。
これは私が常々、基本と思っていることです。
これからストロボを始める方に参考にしてもらいたいのと、あと普段オフカメラでバリバリ撮っている方にも試していただけると良いかなと思います。