[2021年カレンダー] 8月について
みなさま、ごきげんよう。
2021年カレンダーについて、密かにご紹介しているこの企画。
2021年8月のニシユキテンカレンダーは、金剛薩埵菩薩坐像さま。8月も半ばに差し掛かろうとしていますが、カレンダーに使用した2D仏像顔出し看板の制作や撮影秘話など、ご紹介したいと思います。
■8月のカレンダーは、金剛薩埵菩薩坐像さまになります。
制作したのは、2020年9月の下旬。
9月下旬といえば、ちょうど、秋の行楽シーズンの時期ですね。
とはいえ、2020年春先より新型コロナウイルスの影響により、いまだにコロナ禍の状況が続いてはおりますが、この時期も、少しづつ街は動いていましたが、それでもまだまた用心しながらの毎日でございました。
2013年より仏像の顔出し看板制作が始まり、東寺の立体曼荼羅のほとけさまを全て作り上げる!という目標をたててから、2020年で早7年もの月日が経過しておりました。長い!そして、遅い!
仏像・ほとけさまに意識して興味を持ち始めたのが、天部のほとけさまだったこともあり、この五菩薩に取り掛かるということは、自分の中でもなかなか一筋縄ではいかず、ずっと先送りにしていたほとけさまのひとつでもありました。
「そろそろ向き合わねば。いつまで経っても変わらないぞ!」
そう決心し、菩薩像を制作することにしました。
要は粛々と作るだけのことなのですが、せっかくなので、制作している様子を、SNSで発信しながらとりかかることにしました。
気軽に外出や旅行にも行けないコロナ禍の中、もしかしたら、チラ見ぐらいしてくれる方がいるかもしれない、と、そんな淡い期待を抱きながら、9月下旬の連休中(2〜3日間)に制作することにしました。
■SNSでのネット配信
板ダンボールへ描くまでの下準備から、下書き、色つけ、カッティングと、おおまかに3つの工程で制作していきます。
だいたい、1〜3時間の作業時間と休憩やら家事、その他の用事などを繰り返しながら1日が経過していくわけですが、あまり段取りを意識せずに制作していたので、「これくらいの時間でここまで進めるのね〜」といったことや、ネット中継をしてみて分かったことが幾つかありました。
・制作風景はとにかく地味である
固定カメラで淡々としあげていくので、映像にあまり変化も動きもありません。
アートイベント等で、ライブペインティングをされているほどの派手さは皆無。そして、ほぼ私の後ろ姿という時間もあり、これは見る方が苦行そのものだなと実感したりもしました。
・見てくださる方がいるありがたさ
初日は、ほとんど視聴者0人の回が続きましたが、それでも、淡々と手を動かすことで、「今回はここまでできました。再開は○時におこないます!」という、ただそれだけのことではありましたが、淡々と報告し、制作がひと段落したら、制作過程を見つめて振り返り、今度はこうしてみようと、少しばかりの発見があったりと、色々なことに気づくことがありました。また、第3者の目があるということで、ほんの少しばかり身が引き締まるような感覚もありました。
そして、2日目、3日目とづつけていくうちに、昼間よりも夜の方が、ながら見をして見守ってくださる方もいたり、貴重な時間をさいてネット中継を見ていただけたのは、本当にありがいことだったなと、今でも実感しています。
■いつ頃撮影したもの?
撮影は、2020年の9月末。
岡山県倉敷市下津井にある鷲羽山展望台へ向かいました。
瀬戸内海を一望しながら、穏やかな波際と行き交う船舶の音、日差しや展望台にながれゆくそよ風を感じながら、島々にかかる瀬戸大橋を見渡していると、改めて、自分が住んでいる町や自然の雄大さやありがたさを実感しました。同時に、こうして目に見える場所までこないと、全く意識もせず、のんべんだらりと毎日を送っていたことに気づかされたりもしました。
仕上がったばかりの顔出し看板を片手に、展望台の各所にていそいそと記念撮影をして、展望台を後にしました。
■ふりかえり
来月(9月)で1年が経過しようとしています。
制作していた時期やこの1年の出来事を振り返ると、ただただ、月日だけが経過し、どうにも中途半端な己の姿勢にゾッとしてしまいました。
実は、ものを作っている時が心から一番楽しいと感じているはずなのに、そんなとても大切なことを、嘘みたいに忘れることがたまにあります。どっしりと構えて見据える力がまだまだ未熟なために、目先のことに囚われがちになるのかもしれません。
そんな当たり前のことにふと気がついた、2021年8月のカレンダーでございました。