黒歴史を引きずる
8月25日、ラジオ大阪の番組「四千頭身 都築拓紀のサクラバシ919」を聴いた。
この日のメールテーマは「意味のねぇ評価」で、母親がテレビを見ながら「この人は面白くない」って言ってたとか、自分のこと知らない人に「あなたはこういう人間だ」と言われたとか、「意味ねぇ評価だなぁ」と感じた場面を送るというもの。
私は「意味ねぇ評価だなぁ」と感じる場面が多すぎて、珍しく複数のエピソードを送った。採用してもらったメールがこちら。
覚えてます?プロフィール帳。
今の小学校や中学校の間で流行ってるのかは分からないけど、私(24歳)と同世代の人たちは大体知っているはず。
名前や住所、メールアドレスなどの基本情報から、自分のチャームポイントや長所を書かされる地獄のコーナー、好きなものを羅列するコーナー、渡された相手へのメッセージスペース、そして、メールで話題にあげた「〇〇な人ランキング」のコーナー。
大体、新学期はクラスの女子同士でプロフィール帳を交換して、お互いに書き合う光景が見られた。
すみません、嘘つきました
先ほどの私が送ったメールを読んだ都築さんの反応は、「お前、このランキングに入れなかった側の人間だろ!これは意味あるぞ。面白い人のランキングとか、興味あったもん!」というものだった。(ニュアンスです)
いじってもらえて番組としては盛り上がって嬉しかったが、この反応を聴いた私は「ハッ」となってしまった。
まず、私はプロフィール帳という文化が結構好きだった。そして、裏面にある「○○な人ランキング」は一番見るのが好きな部分だった。だけど、私はプロフィール帳に興味のないフリをし、ランキングなんて意味ないしめんどくさいという顔をしていた。
そのめんどくさいモードを10年くらい引きずって、社会人になった今もこんなメールを送っているのだ。
実は、社会人になった今も、昔のプロフィール帳を残してある。
いま運よく実家にいるので手元にあったものを開くと、40枚もあった。
電話番号とか住所とか、個人情報の塊すぎて捨てられないというのもあるが、かなり面白いコレクションだと思って綺麗に保管している。
例のランキングのところを見てみる。渡す相手の名前をどこかに書いておこうという気遣いもかなりあると思うが、私の名前は割としっかり書いてくれていた。「尊敬する人」「面白い人」「かわいい人」「かっこいい人」が多かった。完全にお世辞だ。
完全にお世辞だと当時から思っていたから、「意味ねぇなぁ」と当時から感じていたのだろう。お世辞とか、仲の良い友達への媚びとかで構成されたランキング。何の意味があるんだ。
意味あるのも知ってる
私はちゃんと、このランキングが意味あることも知っていた。
私は昔から、周りの目を気にするタイプの人間だった。
「こんなことしたら、どう思われるかなぁ」「嫌われないように過ごさないと」と日々、気を巡らせながら生活していた。だけど、その方向性が少し変わっていて、「ちょっと変わってると思われたい」「何も考えてないように見られたい」と思いながら、そう見えるように振る舞ったりしていた。
だから、変わってると思われるような行動(教室のカメムシを全て外に逃がしてあげたり、常に分厚いハリーポッターの本を持ち歩いたり)をしていた。小さいことを気にするように思われたくなかったので、何をされても受け流して、いじられキャラに徹して、気付かないフリをしていた。
こんな私の行動が一番表しているように、学生生活のなかで「周りにどう評価されるか」はQOLの鍵を握る、一番大事な指標だった。だけど、気にしない人でありたかったから、「意味ねぇなぁ」という顔をしていた。
そして、その顔のまま10年が経ち、ラジオにメールを送った。
黒歴史が過ぎる
中学のときのプロフィール帳を見返していると、友達の書いたものを読んで恥ずかしくなってきた。誰かの家に自分の書いたプロフィール帳があるかもしれないと思うと、すべて回収したい気持ちに駆られる。
貴重な自己分析の材料になりそうなので捨てはしないが、誰にも見せないように仕舞い込んでおきたい。
プロフィール帳には、かなりその人の色が出る。使うペンの色や、口調(〇〇だよ~等)、フリースペースの使い方。自分が書いたものは手元にはないが、おそらく私は黒か青の地味なボールペンで、ノートをとるような丁寧な字で、冷めた感じで書いていた。「頼まれたから仕方なく書いています」感が溢れるようなプロフィール帳を返していたように思う。
友達が書いてくれた、「持ち主の第一印象」「持ち主のいまの印象」が、真面目、面白い、優しいの3つで構成されていて、多分当時の私のブランディングは成功していたんだろうなと思った。それでも充分黒歴史だし、一番の問題はその黒歴史をいまも若干引きずって生きているところだ。
意味ない事こそ、すべて
当時、興味ないフリをしながら交換したプロフィール帳を、意味ねぇなぁと眺めていた私。10年後の私は、その意味のない紙切れを眺めながら自分を見つめ直し、こんな長々とnoteを書いている。
私はプロフィール帳という世界一意味のないものを見て、10年前の自分の教室での過ごし方や感じていたことを思い出す。いまの自分を構成する過去の自分を知ることは、すごくむず痒くて恥ずかしくて、だけど面白い。
都築さんが「分かる~!あれ意味ないよね」と返していたら、こんなに考えることもなかっただろうけど、突き放してくれて良かった。
これだからラジオはやめらんない。
私のメールが読まれた部分なんて2時間のうちの数十秒の話にすぎませんが、他の部分もめちゃくちゃ面白かったし、多分来週も、再来週も、その次の週の放送も面白いと思うので、ぜひ聴いてみてください。