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【表現評論】メモリーズオフ イノサンフィーユ コアレビューその26 ライトサイド 寿奈桜ルート7(終)【全作再プレイシリーズ】

●メモオフシリーズ、その他作品、様々なネタバレが含まれます。

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⚫︎約束の日

結局クリスマスイブになっても累君は選べませええええん! 撃てませぇええん! とか言っているので(言ってない)、なぜかノエルと寿奈桜がテニス対決することになります。決着つけるか、みたいな。どゆこと? テニスで勝ったら累君もらっていいってこと? そのりくつはおかしい。で、テニス対決すると言ってラケットやシューズまで持ってきてるのに、服はそのままです。立ち絵描くのケチったな。俺にはわかる。今までもそんなシーンを見てきたので。とにかく勝った方が楠瀬さんを好きに出来ると。いや、そのりくつはおかしい、というのは累君も思っているらしい。そらそうよ。

「だけど……嘉神川さんの方が強いんだろ、元々」
「はい・でも……それでも、ナオちゃんは今、勝負を受けました」
「それとも楠瀬さんは、ナオちゃんに勝ってほしいんですか?」
「だったら、そう言えばいいだけです」
「……違う。フェアじゃないんじゃないかって言ってるんだ」

メモリーズオフ イノサンフィーユ

累君も過去のアホ主人公達レベルの発想なってきているのではないか。お前がはっきりしないからこうなっているんですが。フェアな勝負なんてあーるのかよ。それならじゃんけんにするか? テニスよりよっぽどフェアですが。

俺の言葉に、嘉神川さんは大きなため息を漏らした。
「Tu es un cas désespéré. C'est ça que J'aimais chez toi.」
「……?」
「意気地なしだと、言ったんです」

メモリーズオフ イノサンフィーユ

ノエルお得意のフランス語つぶやき。翻訳は「どうしようもない人。そこが好きなんだけど」くらいの意味か。そこが好きなんだけど、を省略してるのがせこい。しかしいうほどそこが好きになるか? 少なくとも俺は好きじゃない。はよ選べ。加賀師匠じゃないんだから。

けれど……今の彼女の言葉は、もっと長く語っていたように思える。
本当は、俺に何を伝えたかったんだろう……。

メモリーズオフ イノサンフィーユ

本当に伝えたかったことは省略する女。奥ゆかしさと見るか、セコさと見るか。なんにせよ癖のあるヒロインです。

寿奈桜は最初から負けるつもりだったようですが、フルボッコにされてマッチポイントのところで誰も名前を覚えてないRAINシステムが入ります。寿奈桜の選択になってるので、選択はノエルか美咲。これ美咲を選ぶとバッドエンドなんだよね。決断できずに壊れちまった寿奈桜と累を美咲が介護するみたいなエンド。ある意味美咲エンドか。美咲エンドは回避してノエルを選択。

あれ? ノエルを選んだらなんか二人と付き合うハーレムエンドになったんだけど。俺はどこで間違ったんだ。でもいいんじゃない。二人と付き合えば。この二人と付き合えるならもう人生終わってもいいくらいだろ。二度と念能力使えなくてもいいレベル。完。

あ、そうか。これどっちも選んだらダメなのか。サクラ大戦的にどっちも選ばない選択があることに今更気づく男。ということでどっちも選ばずに再開。最後は本気でやって1ゲーム取り返して寿奈桜の負けで終わります。当然ノエルが勝ったからノエルのものですよね。この世は勝った方が偉いんだよ。それが格ゲーのルールでしょうが。いつ格ゲーになったんだ。

「わたしの……勝ちだね」
「……うん」
「ーーそういうわけなので、楠瀬さん。ナオちゃんをお願いしますね」

メモリーズオフ イノサンフィーユ

勝った方が楠瀬さんを好きに出来る、というルールなので、ルール上は問題ないらしい。パッと見、ルックスの暴力でゴリ押しする、いけすかないマイペースヒロインでしたが、最後の最後にいいところを見せてきました。やっぱり持つべきものは心の友です。亨とか。亨とか。詩名ルートの亨ポジションに近いものがある。

「楠瀬さんは、さっきナオちゃんの名前を呼びました。わたしではなく、ナオちゃんを選んだ」
「……そうですよね?」
「……そうだ」
「俺は、寿奈桜ちゃんが好きだ」

メモリーズオフ イノサンフィーユ

他のヒロインの後押しがないと告白すらできなかった史上稀に見えるヘタレ、という事実はとりあえず置いておきましょう。いいんだよ。結果が良ければなんでも。このルートの累君は空気まであるな。寿奈桜が主人公というか。

⚫︎美咲とノエル

ノエルがその場を離れると、少し離れたところで美咲が見守っていました。なんで知ってんねん、というツッコミは置いておく。

「ハンカチ、いる?」
「Cela ne te regarde pas.」

メモリーズオフ イノサンフィーユ

余計なお世話、と言いたいらしい。日本語できちんと言いなさい。

「Quelle personnne insupportable. フランス語、少しは話せるわ」

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美咲からまさかのフランス語が返ってくる。気に食わないヤツ、くらいの意味か。美咲はフランス語が理解できるらしいで、ノエルのこれまでのフランス語つぶやきが全部バレていたということになります。どっちも意地の悪いヒロインですわ。

でもさ〜、みんな見た目で騙されてるけどさ〜、急にフランス語で呟く人間がいたら、なんやこいつとならないか? しかも美咲さん内容わかってて突っ込んでなかったんだから、だいぶ出来た人間かもしれない。

後はいつも通りお互いちゅきちゅき言って終わりです。はい。ここはいつも通り。最後に巫女装束の黒髪寿奈桜が見れますと。巫女姿は立ち絵までバッチリ用意されてます。テニス中は私服だったのに。いやぁ。いい話でしたね。最後の最後で謎にギャル要素をかなぐり捨ててるけど、まあいいや。最後の味変ということでね。いいんじゃないでしょうか。根はギャルじゃないんだし。最終的には寿奈桜とノエルと美咲は仲良くやっているようです。

⚫︎寿奈桜ルート まとめ

イノサンフィーユファンのみんな。すまん。正直このルートは不満ですわ。キャラクターも好きだし、ルートそのものが悪いってほどでもないけど、これ実質ノエルルートじゃない? ノエルルートがノエルAルートだとしたら、こっちはノエルBルートと言ってもいいくらいにはノエルルート。最後の最後まで迷ってチラッと寿奈桜選ぶだけだもんなぁ。もうちょっと寿奈桜に寄せたストーリーにしてくれよという。ワンチャン個別に入ってもノエルが出てたシーンの方が多かったんじゃないのか。それは流石にないか。

内容的には過去のトラウマから何も選べなくなってしまった寿奈桜が、普通の人間でも選びがたい二択に突き当たり、それでも選択をして先に進んでいくという、メモリーズオフらしい物語です。けどさぁ。これ累君何もしなさすぎでは。ヒロインのトラウマを解決して結ばれるのがメモリーズオフの王道なわけですが、寿菜桜がセルフで勝手に解決した感が凄い。累さん見てただけ。主人公がこれでいいのか。もうちょっと累君も関与しつつ悩みを解決してもらいたかったですね。これ僕がいつも言ってるアレですよ。信と同じポジション。いっちょかみでコンサルしてるだけみたいな。やっぱり主人公は身銭を切らないと。あんまり累君のいいところが発揮されないルートでしたね。他のルートに期待。

選べない人間といえばちはやもそうですが、なんだろう。もしかするとあれは寿奈桜ルートのリベンジマッジだったのかもしれない。そんなことを考えつつ寿奈桜ルートを締めたいと思います。詳細なまとめはいつも通り、最後のレビューに譲ります。


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