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【表現評論】メモリーズオフ イノサンフィーユ コアレビューその59 ヘヴィサイド 真相ルート9 【全作再プレイシリーズ】

●メモオフシリーズ、その他作品、様々なネタバレが含まれます。

⚫︎前回の記事

⚫︎謎開示のターン

なぜ瑞羽が改名して名前を伏せていたのか、という作中最大の謎の理由が明かされます。要は父親を瑞羽(琴莉)が刺殺したという噂が広まり、ネット上でも犯人扱いされたので、死んだことにしたのが経緯なんですが、いくらなんでも無理がないか?

「それで……ある人たちが、わたしを守るためという理由でわたしを死んだことにして、葬儀までしたわ」

メモリーズオフ イノサンフィーユ

流石に? 葬儀までしたはないですわ。偽装葬式とか、なんか法律に引っかりそうな気すらする。

「ある人たち……って?」
「……」
……。
「わたしのお祖父さまと……累ちゃんのおじいちゃん」

メモリーズオフ イノサンフィーユ

累ちゃんさんの爺さんは、道警の鑑識で、真方の爺さんはデカい屋敷と人相の悪い部下がいっぱいいる資産家らしい。あの手の人たちですかね。何が言いてえ、とか、どういういことだ? とか言ってそう。ハワイで遊んでそう。警察とその筋の人たちだから仲が良かったのか。というわけなので、あのエリート商社マンのアル中親父は、その筋の息子だったらしい。ちょっと可哀想になってきた。

そして瑞羽は爺さんの娘夫婦の養子になったと。

「お祖父様の娘夫婦、日紫喜家の養子になって……瑞羽という名前はお祖父さまがつけてくださったの」
「小鳥が立派に育って、瑞鳥のように幸せに羽ばたけ……と」

メモリーズオフ イノサンフィーユ

なんか良い話を演出してるけど、「資産家」ですよ。いいのか。こんな良い話っぽく捉えて。4代目の見解を聞きたい。爺さんの娘夫婦ということは、叔母の元にいるということか。立ち位置的には天川家に居候する大輔と同じです。しかしちなつの母親って影も形も出てきませんでしたね。逆に恐ろしくなってきた。実はホラーなのでは。ゆびきりの記憶は、芹澤家の女が一人たりとも出てこない。直樹の母親もちなつの母親も大輔の母親も霞の母親もだーれも出てきません。割と恐ろしい事実。

こっちにきた理由は、日紫喜家に本当の子どもが生まれて、爺さんが亡くなったので、お家騒動が勃発したからのようです。爺さんは瑞羽にも遺産を分けたらしい。そら揉めますわ。普通孫には遺産は行かんでしょ。しかもやらかしまくった息子の子どもだし。周りからはなんと言われてるかわかったもんではない。おまけに「資産家」の資産でお嬢様学校に行ってると考えると、どこか釈然としないものがある。本人に落ち度はないけど。

そしてもう一個重要な事実か開示されます。この人たちが三つ子ではないということです。柚莉と莉一は母親の子ども、瑞羽は父親の子ども、おまけに戸籍上は琴莉ではなく琴「里」。それにしてもどういう理由では再婚したんだろうか。その筋の息子と結婚する人って母親の方も普通ではないのか。割と謎が残る。

⚫︎サヨナラ逆転満塁ホームラン

長々と種明かしをしたところで、感極まって抱き合う二人です。ノエルさーーん、こいつこんなことしてますよ! 好きなんだとか会えて良かったとか言っといてこれですよ!

「累ちゃんとの再会は嬉しい。けれど、思い出させてはいけない。累ちゃんが傷ついてしまうから」
「だから、私が琴莉だと気づかれてはいけない。会ってはいけない……」
「ずっと、会いたかった」
「ずっと、こうして触れたかった」
「ずっと、大好きだったよ……累ちゃん」

メモリーズオフ イノサンフィーユ

いや〜、9回裏2アウト3点差だったのにな。しかもノーツーで後1球で優勝決定だったのに。まさかのど真ん中に入ってノエル投手逆転満塁ホームラン喰らってしまいましたわ。可哀想。昔はあんまり気にしてなかったけど、相当ノエルが不憫なストーリーである。なぜかノエルもくっつくてくるエンドがあった気がするけど、そっちはやらないです。メモリーズオフにハーレムルートはねえんだよ(過激派)。

⚫︎霞と瑞羽

でもさ〜、冷静に考えると、この話、結構ぽっと出だよね。いやね、そりゃ最初から出てきてた人物ではあるんだが、登場機会も少なかったし、そういう気配が全くなかったし。これやってる最中に瑞羽が琴莉だと気付いたやつおるん? ちなみに僕は初見の時はえええぇぇええ! マージか! ってなりました。初見の驚きで全てが覆い隠されてたけど、よくよく考えるとさしたる伏線もなく、急に琴莉とか言い出した感はある。一応あったけどさ。ノエルのデート監視して落ち込んでたりとか。急に累さん泣き出したりとか。ノエルが好きなのか問い詰めたりとか。意外とあったわ。コアレビューでは結構考えてる風を演出してるけど、普通にノベルゲーやる時はなんも考えてないからね。毎回言ってるけど、世界線が戻ったら紅莉栖が死ぬことを覚えてなかったレベルなので。瑞羽が琴莉とか気づくわけないですやん。

そばにいるけど気づかれてはいけないという構図が全作のゆびきりと全く一緒であることは再三言っておりますが、ここまでやってみても、やっぱり霞の方が魂のヒロイン感はある。自己犠牲、積年の思い、ほんの少しのわがまま。どれをとっても霞さんの方が上回っている。

自己犠牲を取ってみても、霞の場合、瑞羽と違って、単に正体がバレなきゃいいとかいうわけではありません。そばにいなきゃいけないのに、大輔のためには嫌われなきゃわれなきゃいけない。そこまでやるかってレベルの徹底っぷりで、しかもその対象は大輔だけではなくちなつも含まれている。

積年の思いをとってみても、瑞羽のここまでの経緯は分かりかねますが、まあ権力者の爺さんのお気に入りの孫だったので、霞のような地獄のような家庭環境だったことは想像し難い。その中で育まれた積年の想いには、質的な差を感じます。

ほんの少しのわがままは、あんまり大差ないですかね。これは単なるスパイスなので。どっちかと言えば霞の方がわがまま感はあるな。だからいいのかもしれない。

まあ比較すること自体おかしいんですけどね。霞は霞で、瑞羽は瑞羽です。それを言っちゃあおしめぇよ。単に僕が考える魂のヒロイン度を推し量ると、霞の方が上だというだけの話です。見た目はどっちも最強なんだよなぁ。メモリーズオフの真ヒロインに相応しい黒髪ロング。魂のヒロインと言えば黒髪ロングです。唯笑は?

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