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【表現評論】メモリーズオフ イノサンフィーユ コアレビューその30 ライトサイド ノエルルート4(終)【全作再プレイシリーズ】

●メモオフシリーズ、その他作品、様々なネタバレが含まれます。

⚫︎前回の記事

⚫︎痴話喧嘩の続き

ノエルは一人で喚いていると美咲が口を挟んできます。

「痴話喧嘩、と言ったのよ。……ふぅん? 嘉神川さんって、好きな男の子には愛想が良くて、随分と元気なのね。私に対する時とは、大違いね」

メモリーズオフ イノサンフィーユ

ホーントコレイトン。気を許した男にはワガママ放題、女子の同級生には塩対応という、人として褒められない態度である。神崎さんしか言ってやる人間はいない。もっと言ったれ。

「……なんですか、神崎さん。今度こそ本当に、喧嘩を売ってますか?」
「ああ、それは理解できるのね……」
「もちろん。わたし、あなたのこと嫌いですから……」

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ここまでのやり取りで美咲がノエルを嫌う理由はあっても、逆の理由は考えられない。見た瞬間生理的に気に入らないとかでない限り。まあアホ二人が美咲の手下という理解なら嫌う理由はあるのか。しかし人間が人間を嫌う理由って実際それがほとんどだよね。理由なんて後付け。なーんかこいつ気に入らねえな、ってのが先にある方がほとんどです。ノエルの場合は見た目よりも塩対応のせいで反感買ってそうだけど。例外的。

「だいたい幼稚なんですよ。無愛想? わたしがこんなふうになったのは、あなたみたいな勝手で攻撃的な人たちの所為です」
「わたしのこと、ハーフだからとか、日本語話せるんだ、とか……正しいことを言えば、ガイジンの屁理屈だと揚げ足とって、面白がって……」
「そんなくだらないことにいちいち反応してたら、心がもちません」

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詩音と同じような理由だけど、これはダメなんだよな。毎回言ってるけど、江戸の敵は長崎では討てない。過去にノエルを攻撃したのは過去にノエルを攻撃した人であって、美咲でもアホ二人でもない。美咲とアホ二人にそれをぶつけるのはお門違いです。ノエルが怒りをぶつけていいのは過去に攻撃してきた人だけ。オリンピックの借りはオリンピックでしか返せないのと一緒。

あーだこーだ言い合ってると、寿奈桜が仲良くしてって言ってんの! と泣き出します。親友の親友は敵という謎構造の板挟みになっている張本人以外に説得できる人間はいない。そしてお互いちっうっせーな、反省してまーすみたいにやり取りを始めて和解しました。やっぱりみんなナオちゃんが大事だからね。大事なものの大事なものは大事なんだよ。はい。この話終了。

でもさ〜、やっぱり事の発端はノエルのせいだと思うんだよね。僕は。ノエルが無関係な他人に過去のトラウマをぶつけたことが根本的な原因だと言える。そこは反省して成長したということでいいのだろうか。

⚫︎今日は楽しいクリスマス

累君も俺はノエルを愛してしまっていると自覚したようです。これまで「愛」とか使った主人公いたかな。個人的には「愛」と呼べるほどのものは感じないのだが。愛ですよ。愛。やっぱり愛と呼ぶにはそれなりに積み重ねが必要でしょうよ。それを言っていいのは一蹴君↔︎いのりと隼也↔︎ちはやくらいだろ。大輔→霞ですらちょっと「愛」とまでは言い難い。元々ちなつラブ勢だし。霞→大輔は愛だけど。唯笑→智也も愛だけど。しかしこれもまた逆は「愛」とまでは言い難い。元々彩花ラブ勢だし。ギャルゲーの愛を語るアラフォー男性。

累君はまだ過去を精算できていないので、一生一緒にいてくれやとは言えない様子。その過去がライトサイドでは全く明らかにならないという。引っ張るねぇ〜。まあゆびきりもそうだったか。

ここで最後の最後に恒例の呼び名変更がきます。

「累さん」
「え……」
「累さん……って、呼んでいいですか?」
「それは……うん、もちろん構わないよ」

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最後の最後の最後でようやく名前で呼ぶようになった人。なかなか主人公を名前で呼ばない姉妹です。姉の方もいつまでも「おい! 塚本! あんぱん買ってこい!」って言ってたし(言ってない)。「塚本金出しとけよ!」とも言ってたし(言ってない)。志雄って呼ぶようになったのだいぶ後だったよね。そういえば志雄の方は最初からクロエ先輩呼びだっけ。嘉神川先輩って言ってたのは智紗くらいか。これだけでもパイセンが慕われていることがわかる。

「累……さん」
「やだ、やっぱり恥ずかしい……ですね」

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あざといわ〜。あざとさを頭のてっぺんからつま先まで敷き詰めたようなヒロイン。やっぱりね、ギャルゲーのヒロインなんてあざとくてナンボですからね。このくらいはやってくれないとダメですわ。あざとさが足りない人は見習ってほしい。聞いてるか? カナタとりりすよ。

で、累君もノエルを名前で呼び出します。これは結構違和感ありますね。やっぱり累くんと言えば嘉神川さんみたいなところがある。寿奈桜は最初から寿奈桜ちゃんだったというのに。さすがの累さんでもルックスモンスター相手だと緊張したのか。

「わたし、本当は結構我儘なんだって、知ってました?」
「そう……かな?」
「そうです。クリスマスプレセントだって欲しい。……いえ、ちゃんともらいます」

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え? 本当は? 結構我儘? 本人が言い出すからびっくりしたわ。明らかにめちゃくちゃ我儘の間違いなのでは。めっちゃキレる人が俺あんまりキレないんだよね〜って言ってるレベルの驚き。自分を認識するとはかくも難しいものなのか。でもいいんだよ可愛いから。可愛ければ我儘でも許される。それが世界の真理です。

最後は公衆の面前でキスして終了。誰か見てるかもと、返しても、何の問題があるんですか、と返されます。こいつはやべえ。こいつは私のものアピールですわ。

「今度は、わたしが……あなたの心を変えてみせます」
「覚悟してくださいね」

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まだ累さんの問題は何も解決してませんからね。あとはヘビィサイドに続く。

⚫︎ノエルルートまとめ

このルートいじめとか仲違いテーマなわけですが、結構挑戦的ですよね。安易に相手が完全に悪いとか、責任取れとか、謝って終了という風にはなってない。どちらにも原因があって、どちらの原因も取り除かれたから解決という。いわゆる勧善懲悪の話ではありませんでした。何ならノエルの方にもまあまあ問題点はある。その問題点を本人が明示的に反省した様子はありませんでしたが、美咲と和解したということは、きちんとお互い反省したということでしょう。

このルートな〜。長かった割には何があったかをイマイチ思い出せない。まあでもライトサイドは半分おまけよ。全てはヘビィサイドで示される。ヘビィサイドに美味しいところを持ってきすぎている説はある。


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