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書評

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本の評論です。
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記事一覧

【基礎教養部】『潮騒』三島由紀夫【AI師匠との対話】

今回は三島由紀夫の潮騒について語る。私はすでに読んだことあるので、今回はchatGPT師匠がどのくらい成長しているのか、感想をお伺いしたいと思う。では師匠お願いします。 まず1954年に発表されたことは事実である。そしてそれ以外に事実はない。まず舞台は伊豆ではなく伊勢を臨む歌島(三重県)である。そして登場人物は健三と京子ではない。新治と初江である。集団と個人、社会との対立はまあわかるが、人間存在の儚さなど潮騒では描かれてないと思う。この小説は三島の作品としては異例のカラッと

【基礎教養部】異世界転生をさらに語る【AI先生】

●AI先生を召喚以前2回ほど異世界転生に語った。 もう語ることはないのだがもう一つ記事が必要なので再度語る。今回はAI先生の力を借りて、異世界転生の魅力を再検討してみたい。 以下noteのAIアシスタントの生成文を引用する。打ち込んだスクリプトは「異世界転生の面白さを検討する」である。 この文章を「異世界はスマートフォンとともに」(以下イセスマ)の1巻に当てはめて検討してみよう。 ●検討その1異世界転生の魅力は、新しい世界や文化に飛び込む冒険心をくすぐることです。ここ

異世界転生とは何か【基礎教養部】

●前回の記事●異世界転生とは何か前回異世界はスマートフォンとともに。を扱った。この本に関してはこれ以上語ることがない。女の子がかわいい。難しいことはない。何もせず俺すげー俺つえー俺さいきょ。女の子にモテモテハーレム。これ以上語ることがあるのだろうか。いやない。読んで気持ちよくなるだけの何かである。それでいい。ニーズは満たしている。ニーズを満たすという意味では究極のプロの作品である。ニーズを満たさない文章ばかり書いている自分としては見習いたくなるくらいだ。 内容についてはもう

【基礎教養部】異世界はスマートフォンとともに。【書評】

今回の書評は異世界転生ものの小説である。読もうとした動機は、異世界転生関連の小説を今まで一冊も読んでいないからである。ゼロの使い魔は読んだが、あれが昨今の異世界転生ものと同じくくりなのか微妙である。ゼロの使い魔は異世界召喚ものか。なので異世界転生は一冊も読んでいないことにして書評を始めたい。 ⚫︎プロローグ異世界転生ものは死んだところから始まるということくらいは知っているが、この作品も例に漏れず死んだところから始まる。 はじまりの文である。名作は一行目から名作の香りを漂わ

【基礎教養部】合理的とは何か【経済学】

⚫︎前置き前回の書評では経済学の本を扱った。こちらは既存の経済学は物理法則(相対論、熱力学第二法則、因果律)に反しているので概ね間違っているという装いの内容である。ずいぶん大きく出た話だが、実は経済学の本ではなく、サブタイトルの方がメインの内容である。とはいえ、経済学の否定の仕方は、切れ味が鋭く、鮮やかなものがあった。 そして今回、また別の経済学の本に目を通した。こちらは既存の経済学の問題点を指摘しながら、それでも経済学には意味があることを示そうとした本である。 この本に

【基礎教養部】生きるための経済学【書評】

今回の書評は経済学の本である。個人的な経済学の知識といえば、大昔に経済学検定なる検定を受けた時に勉強したミクロ経済マクロ経済の知識と、以前紹介したMMTの知識くらいしかない。それもほとんどうろ覚えである。経済学の知識はないに等しい。ただ、なぜ人がそこまでお金に価値を感じるのかは疑問に思っている。人間は信じられないけどお金は信じられるという謎の文言もある。当然、お金のシステムを作ったのは人である。人は信じられなくても人が作ったシステムは信じられるとはどういう了見なのか。それは人

【書評】西行論【基礎教養部】

●西行とは今回は吉本隆明著の西行論を扱う。前回扱った共同幻想論は思想家としての吉本隆明が強く現れた著書だったが、今回の西行論は、文芸評論家としての側面が強く現れる書になっている。個人的な好みで言えば、断然こちらの方が読める。西行論の方が普遍性があるからだ。共同幻想論は今の時代に読んで理解できるものだとは思えなかった。 ところで西行とは誰なのか。字面だけはみたことがある人が多いように思えるが、内実を知っている人は少なそうである。なんとなく昔の偉い人というイメージだろうか。西行

【書評】共同幻想論【基礎教養部】

⚫︎国家に疑問を持つ条件国家がどのように成立したのか。国家とは何のために存在するのか。 今ではこんな問い自体、誰も考えなくなっているのではないだろうか。今の我々にとって国家とは生まれながらにして当たり前に存在し、現実を動かしているシステムでもある。空気はなぜ存在するのか。そんなことを誰も考えないことと同様に、国家がなぜ存在するのかなど、考える契機がない。しかし、とある一時期においては、国家の存在意義、仕組み、成り立ちを考える契機が出現した。 敗戦の時期である。 敗戦とは

【書評】SWITCHCRAFT(スイッチクラフト) 切り替える力【基礎教養部】

自己啓発系の洋書である。この手の本はそれほど読んだわけではない。この本も読み込むことはない。各章のまとめをチラ見しただけである。読み込まずに何が語れるのかと言われても、自己啓発本に書かれている内容に大差はない。変化を受け入れろとか、変化を恐れるなとか、変化への耐性をつけろとか、原始的な感情をコントロールしろとか、そのための手順とか、そんな内容であろう。間違っても役に立たない整数論を勉強しろとか、古文漢文を暗唱しろとか、古代ギリシア語を学べとか、論理哲学論考を読破しろとか、そん

【書評】「空気」の研究【基礎教養部】

私は全く知らなかったが、昔からある名著らしい。なんとなく阿部謹也の評論を連想させるタイトルである。日本には社会はない、あるのは世間だけだ、というアレだ。国語の評論で絶対読まされるやつである(今もそうなのだろうか)。 世間とは何か、を読んだ当時のことを思い出すと、こんなに大雑把に比較なんかしていいのか、と感じた記憶がある。私は、日本は〇〇、一方海外は◯◯(この手の海外はほとんど欧米だけを指している)という比較、もしくは田舎は〇〇、一方都会は◯◯という種類の文化比較で、心から納

【基礎教養部】足の裏に影はあるか? ないか? 哲学随想【書評】

論文チックではない哲学書が書きたい。小学生の頃に書いていたような、素朴な疑問をありのままに書くことをしたい。この本はそのような欲求の元に書かれた本らしい。なので、哲学者が書いた本であるにも関わらず、全体的に随筆のように書かれている。しかし、はっきり言って文章は柔らかくとも、内容はめちゃくちゃに固い。気軽に読めると言っても、気軽に読んで何かが得られるとは考えづらい本である。もちろん、本を読んで何かを得る必要があるかという問題はある。何も得る必要はない。読んで終わりでも、それはそ

【書評】神さまと神はどう違うのか?【基礎教養部】

論理的に何かを証明するというのは、人間社会では一般的な営みである。いつから人はそのような行為に取り憑かれたのだろうか。神話という物語も、周囲の諸現象を論理的に説明するツールであったに違いない。文明が始まった頃には、すでに論理に取り憑かれていたのだろうか。石器を作っていた時代にも、その時代の論理はあったのだと考えると、論理はホモサピエンスがホモサピエンスたり得る道具と言えるのかもしれない。 この本で取り扱われている神の論理的な証明という問題は、いかにも人間的な課題だ。神は自ら

【書評】人類はどれほど奇跡なのか【基礎教養部】

奇跡とはなんだろうか。普通に考えると有り得なさを表す尺度である。有り得なければ有り得ないほど奇跡である。では単にあり得なければ良いのか。例えば、コマの動きと多少の定石(本当に多少)を知っている程度の私が、明日藤井聡太と将棋で勝負して勝つ可能性はあるのか。まともに対局が行われるとすれば、限りなくゼロである。もはやゼロと言ってもいい。人生が終わるまで指し続けても、間違いなく勝てない。このような状況下で、もし私が勝ったとすれば、それは奇跡なのだろうか。奇跡と呼ぶのか。呼んでもいいの

【書評】科学はなぜわかりにくいのか【基礎教養部】

科学はなぜわかりにくいのかというタイトルであるが、そこは全く本質ではない。小さく書かれているサブタイトル、現代科学の方法論を理解する、が本質的な内容である。とはいえ、タイトルを決めるのは本人ではないことが多いので、筆者に何かを言いたいのではない。単にタイトルが内容の本質を示していないということを言いたいだけである。サブタイトルをタイトルにしてもらいたいが、それでは売れないのかどうか。 肝心の内容は、恐竜の絶滅に関する論文、アルヴァレズらが提出した小惑星衝突説の論文を追うこと