人生相談の読み方。
「世の中のほとんどの人間は不細工です」
これは、日経新聞の人生相談「なやみのとびら」 で回答した大石静さんの言葉。
「学歴もなく外見もきれいではなく、お金も仕事もない」と悩む39歳の女性に対する回答です。
「39歳でどんな仕事があるのか」という弱音に対しては、自らの経験を基に背中を押す、愛のある心強いメッセージが綴られています。
私がテレビドラマの脚本家としてデビューしたのは35歳の後半です。あなたとさほど変わりません。それまでは何をやってもパッとせず腐っていました。ですから、あなたの今の気分が理解できないわけでもないのです。しかし、愚痴っているだけの人間に、変革の神は微笑みません。行動しましょう! 必死で立ち向かえば、人生は必ず変わると私は確信します。
これを読んで以来、毎週「なやみのとびら」をチェックするようになり、大石静ファンにもなりました。
下記サイトでも読むことができます。
「なやみのとびら」は、脚本家の大石静さんや中園ミホさんなど、数名の著名人が順番で答えています。毎週土曜日、別刷りに掲載されます。
人生相談の面白さは、回答の中に回答者の人生に対する考え方が散りばめられているところ。仕事の面白さや不条理、恋愛の楽しさや苦しみ、生死などに対する各者の考えが垣間見られる。エッセイを読む感覚に近いかも。
無駄にカッコつけない「本物の大人」のリアルな言葉に、私は励まされたり共感したり、気付きを得たりしています。
質問は、家族や夫婦、同僚とのコミュニケーションの悩みから、「話がまとまらない」とか「老け顔すぎる」といった個人的なものまで、実にさまざま。年代も10代から80代まで幅広い。
6月27日は石田衣良さんが「毎夕、死について考えるのは年代特有なのか」という中学生の質問に回答していました。
その回答の最後もグっときた。
「世渡り上手でフォロワーやいいねをたくさんもらうキラキラの生き方もいいでしょう。けれど、ぼくは心の隅で一生難問を考え続ける君みたいな人と友達になりたいし、一緒に仕事したいと思っているよ。そういう人だって世の中決して少なくないからね」
なんでも平均点とれる器用な人より、ひとつのことを突き詰めていたり、偏愛思考だったり、ちょっとめんどくさくて不器用な人の方が人間味があって私も好き。
でも、自分のことを自分で「変人ってよく言われます」とか「天然なんです」とか「不思議ちゃん」とかいう人は苦手です。
ちなみに、朝日新聞の人生相談「悩みのるつぼ」も、土曜日の別刷りに掲載されています。回答者が毎回異なるのも、日経新聞と同様です。私は、美輪明宏さんの回が特に好き。スカっとしたり勇気付けられたりしています。
先日は、「定年して家にいる夫が退職してからほとんど家から出てくれないので困っています」という妻の悩みに対して、「だったら最初から結婚しなければいい」「離婚か別居しないとありがたみが分からない」とぶった切ってました。いいなぁ。美輪さん。大好き。