英語が聞き取れないのはなぜ?日本語と英語の音の違い①~モーラ対音節~
「リスニングが苦手」という人は、特に英語学習の開始が遅かった学習者に多いような気がします。
文字にして見れば容易に理解できる文章でも、音声だと聞き取れず理解できないのはなぜなのでしょうか。
また、どうすれば英語の聞き取りが上手になるのでしょうか。
日本語と英語で違う音の捉え方
日本人にとって英語が聞き取りづらい理由の一つとして、「音の捉え方の違い」が挙げられます。
日本語の音の「まとまり」
日本人は、日本語を話すとき一文字一文字を同じくらいの長さ、同じくらいの強さで発音します。
「からし」は3つの音に区切られ、「ゆきだるま」は5つの音に区切られると直感的に感じます。
日本人にとっては当たり前の感覚ですが、日本語の一文字一文字に与えられる音の長さの単位はモーラと呼ばれ、他の言語を話す人にとっては全く当たり前ではないのです。
英語の音のまとまり
では、英語を話す人は、どのように音のまとまりを捉えているのでしょうか。
英語では、日本語のように一文字一文字を同じ長さで捉えるのではなく、一つの母音を中心とした子音と母音の組み合わせを単位として音の長さを捉え、これを音節と呼びます。
と言われてもよくわからないと思うので例を挙げてみます。
‘dog’という単語は、oという母音を中心に、dとgが前後についています。このような、(子音)+母音+(子音)というまとまりが一つの音節として認識されます。
つまり、‘dog’は1音節の単語になります。
‘Saturday’では最初のa、真ん中のu、後ろのaを中心にSat、ur、dayという3つの音節となります。
日本語の音の捉え方とは大きく異なりますよね。
極端な例を出してみると‘strength’という単語は、日本人の感覚だと「ス・ト・レ・ン・グ・ス」という6モーラとして捉えられるに対し、英語ではeを中心にしたたった1音節の単語として捉えられるのです。
英語話者にとって‘the’も‘strength’も同じ1音節というのですから驚きです。
このように、音のまとまりが全く違う英語を日本語と同じ感覚で聞こうとしてしまえば、上手く聞き取れないことも当然のように感じます。
音節を意識した学習が効果的
リスニングが苦手という方は、音節という音のまとまりを意識してみてはいかがでしょうか。
単語を覚える時も、つづりだけを覚えたり、カタカナに変換して覚えたりするのではなく、音節を意識して覚えると、書けるだけでなく聞けるようにもなると思います。
言語習得は幼い子どもの方が有利
言語習得は小さい子どもの方が有利とよく言われますが、その要因はこのような音のまとまりの違いにもあるのではないかと思っています。
日本語に慣れて音をモーラに区切るのが当たり前になっている大人より、音節というまとまりをすんなり受け入れられる子どもの方が英語を理解しやすいような気がします。
特に、ひらがなを覚えると、ひらがな一文字がモーラに対応しているので、モーラで聞き取る意識も強くなると考えられます。
その点、ひらがなの読み方を知らない幼児の方が、英語の音を柔軟に理解する能力が高いのではないかなんて考えたりします。
ということで、日本語と英語の音のまとまりの違いについて書いてみました。
次回は、同じく日本語と英語の音の違いの重要なポイントである、「リズムの違い」について書こうと思います。
そちらの記事もお楽しみに!