幼稚園児・保育園児の英語学習のポイント
幼児期は英語学習の黄金期
学校での英語学習の早期化に合わせ、子どもが幼児のうちから英語学習を始めるご家庭は増えています。
幼児期は言語習得の黄金期とも言われますが、どんな学習方法でも効果があるというわけではありません。
幼児期の英語学習は幼児期の特性に合わせて、重点を置くポイントをしっかり意識しないと、無駄になってしまう可能性があります。
幼児期の英語学習のポイント
それでは、重点を置くポイントとは何なのでしょう。
英語学習では、「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能が大切だと言われますが、そのうちの「聞く」能力をしっかり身に付けることと、「読む」「話す」能力の土台を作ることです。
規則の学習は幼児には向かない
多くの人にとって、英語学習というと文法の規則を覚えて英文を日本語に訳す練習をすることというイメージがあるのではないでしょうか。
中学校から始まっていたこれまでの学校英語では、このような学習方法が主流でした。このような学習方法は、日本語を考える土台として、英語に特有の一般的なルールを覚えるにはとても効率が良いですが、当然この方法は幼児にとって有効ではありません。
なぜなら、幼児は文字を読むことに慣れていないので英文を日本語に訳すことはできませんし、名詞や動詞、現在形と過去形といった抽象的な文法事項を理解するのも困難です。
幼児が得意な能力を使って学習する
では、どうすれば良いのでしょうか。
英文や文法を理解することを諦めるわけではありません。幼児の得意な能力を使ってこれらを学習すれば良いのです。
幼児の得意な能力とは、文脈から言葉の意味を類推する能力です。そもそも幼児は日本語の理解すら十分ではなく、日々未知の単語や言い回しに出会っています。幼児はそうした言葉の意味を丁寧に説明されて覚えるのではなく、それがどんな場面でどのように使われているかという文脈から意味を感じ取るのです。
このように、日常的に知らない言葉の使い方を吸収している幼児は、その言葉が英語であっても同じように意味を類推して理解することができるようになるのです。
そのために、とにかくたくさんの英語を「聞く」ことが重要になるのです。
豊富な文脈の中でたくさんの英語を聞くことによって、英語ではどんな単語が使われているのか、どんなルールがあるのかを感覚的に身に付けていくことができます。
ここで注意したいのが、子どもには難しいだろうからと、聞かせるのは英語の文ではなく単語ばかりにしなくとも良いということです。
単語ばかりを聞かせていれば、当然単語を覚えることはできますが、それを会話の中でどう活用するかは身に付きません。
そうではなく、もちろん特に覚えて欲しい部分にアクセントは付けますが、実際に会話で使われるような文をたくさん聞かせることで、英語対日本語を1対1で理解するのではなく、英語をどう使うかを自然に覚えることに繋がります。
幼児は音の違いに敏感
加えて、幼児期は発音の聞き分けや言い分けが最も身に付きやすい時期でもあります。たくさんの英語を聞いて英語ではどんな音が使われているのかを知り、真似して口に出すことで日本語にはない発音を身に付けることが大事です。
よく、英語はコミュニケーションのツールであり、ネイティブのような発音をするよりも伝えることが大事だという意見を耳にします。本当にその通りだとは思いますが、ネイティブのような発音を身に付けられるのは幼児期だけですので、どうせならネイティブの英語をたくさん聞いて発音を完璧にしてしまうのも一つの手かもしれません。
「読む」ための準備も欠かさずに
最後に、幼児期の英語は「聞く」ことが大事ですが、「読む」練習をまったくしなくても良いというわけではありません。文字を読めるようになれば学習効率が上がりますし、文字が読めないままだと学校英語が始まった時に苦労するかもしれません。
まずは、英語に対応するアルファベットというものがあると何となく認識させることから始め、徐々に文字と音の結びつき方、すなわちフォニックスを学習し、「読む」学習の準備をすることもとても大切になります。
子どもに合った英語学習を!
幼児期の英語学習は上手く行った時の効果は高い一方、その方法はなかなか難しいです。子どもにとって良い学習になるように、方法を検討してみましょう。