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神の視点と虫の視点?英語と日本語の視点の違い
どうして英語は難しい?
英語を自然に話すのって難しいですよね。
どうしても日本語の文を基にして英語へ変換しようとしてしまうので、意味が通じなかったり、不自然な文になってしまうことがあります。
英語と日本語では構造が違うのですが、それを文法書で学ぼうと思ってもなかなか実践に応用することができません。
今回は、文法などは置いておいて、英語と日本語の違いを大まかにイメージしてみたいと思います。
日本語と英語では視点が異なる
キーワードとなるのは「視点」です。
英語と日本語では、文を作るときの視点が異なるという考え方があります。
日本語教育の豊富な経験を持つ言語学者、金谷武洋氏は、英語話者の視点と日本語話者の視点を「神の視点」と「虫の視点」と表現します。
「神の視点」とは、上空から人間の世界を見下ろすようなイメージです。
この視点では、文が表す事象全体が見えているので、“誰が”、“何を”、“〇〇した”というように、主語、対象、動作がすべて表現されます。
一方で、「虫の視点」とは、地上にとどまり、自分自身を客観視することはありません。
そのため、主語が表現されなかったり、目上の人に使う敬語が発達していたりします。
日本語と英語ではイメージする景色が違う
金谷氏は、『日本語に主語はいらない』という本の中で、川端康成の『雪国』の冒頭部分を使って説明しています。
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」
皆さんはこの文を読んでどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。
多くの日本人はきっと、汽車の中から窓の外を眺め、真っ暗なトンネルから雪景色に視界が変わっていく瞬間を思い浮かべると思います。
この文は、次のように英訳されます。
「The train came out of the long tunnel into the snow country.」
日本語の文と違い、主語が明記される構造になっています。
この文を読んだ英語話者に、イメージする情景を絵に描いてもらうと、驚くべき結果になります。
日本語話者のイメージと異なり、多くの英語話者は上空から汽車がトンネルを出てくる構図を描くというのです。
このように、英語話者と日本語話者では、世界を捉える視点が異なります。
これが、日本人が英語に苦戦する一つの理由といえるでしょう。
違う視点を身に着けるには実践が必須
こうした英語の視点は、文法書を読むだけでは身につかず、実際に英語を使って慣れることが大切です。
英語を話すときのイメージの仕方や感覚は、小さな子供の頃の方が身に付きやすいと言われています。
そして、日本語の視点、英語の視点の両方を身に着けると、“マルチタスクが得意になる”、“年を取ってからも認知機能が低下しにくい”などのメリットがあると言われています。
オールイングリッシュの環境で、「神の視点」を体験してみてはいかがでしょうか。