作品「路上」
路上
秋の終わり
庭の大きな櫟(くぬぎ)は
ようやくすべての葉を手放した
日曜の朝
すっかり身軽になった木々の下で
道に積もった落ち葉を
竹箒で集めていると
見慣れない木の実が
ぽつりぽつり
落ちていることに気づいた
一粒
拾い上げ眺めてみると
青い真珠のようだった
ふと
それを天にかざすと
木の実の色が
休日のやさしい空の色と
同じであることに気づいた
空の青
と
木の実の青
その違いは
何もないように思えた
そう
ここでは路上にも
青空が広がっている
小さな空が
点々と広がっている
『歩きながらはじまること』(七月堂)
『朝のはじまり』(BOOLORE)