「西宮流 (にしのみやスタイル)」とは: 実はけっこうすごいのに正直儲かってない地域ウェブメディア
「儲からない地域情報ウェブメディアがマネタイズ目指すマガジン」の初回投稿です。まずはそのウェブメディアがどういうやつなのか、という話をします。
アイキャッチ画像は借用ですが、ちょっと甲山っぽかったので。
このマガジンをはじめた理由とねらい
このマガジンは、儲からないウェブメディアを改善するために、やってみたことや得た知識などを投稿していくために作ったマガジンです。
ウェブメディア運営のヒントがほしい方に、いくばくかお役に立てれば、と思っています。
また、元々西宮流のことは知っていて、裏側を覗いてみたい方にも少しはおもしろいかもしれません。ただし、ローカルメディアのあり方とは、とか経営目線の話が中心になると思うので、一般の方にはなんのこっちゃらな話もあると思います。
基本は無料マガジンですが、あまりおおっぴらにしたくない話は有料記事にするつもりです。
noteという場所を選んだのは、内容自体が本体サイトに書くのにあまりふさわしいとはいえないから、また、普段の西宮流読者の方々とは違った分野の皆さんにリーチできれば面白そう、という考えからです。
西宮流とは
西宮流と書いて「にしのみやスタイル」と読みます。
兵庫県西宮市の地域情報ウェブメディアです。西宮の文化や歴史、街かど小ネタ、市民の皆さんの活動、イベント案内など、さまざまな西宮の情報をお届けしています。
開設は2007年。西宮の地域ウェブメディアは他にもっと知名度の高いところがいくつかあるけど、でもたぶん一番老舗なのが西宮流だと思います (ちゃんとしたデータがないので断言できないが)。
ツカミとしてよくお話しするのが、西宮流の名前がある映画&アニメのエンドロールに載ったことです。映画「阪急電車」と、涼宮ハルヒシリーズのアニメ「長門有希ちゃんの消失」です。どちらも西宮が舞台 (長門有希ちゃんは「西宮っぽい街」だけど) で有名ですね。
また西宮流は、西宮市の情報発信施設「クリエートにしのみや」の管理役もしています。甲子園球場の真ん前の商業施設「ららぽーと甲子園」の中にあり、たくさんの西宮のイベントチラシとかまちライブラリーを設置しているちょっとした部屋、です。
まあこんな感じで、長らくいろんな活動をしてきた西宮流ですが、ウェブメディアとしては正直、ほとんど儲かっていません。
どないかせんなんならんね、という状況です。
登場人物の紹介
ここで、西宮流を取り巻く構成員をざっくり紹介します。実名は出るとこには出てるんですが、わかりやすく肩書きで説明してみます。
編集長 (ほとんどの記事を書いてきた、いわば西宮流の「コア」)
先代社長 (別会社なので正確には「先代」ではないのだが)
私 (新会社の代表)
そのほかに従業員として
先代社長の右腕
色々できるイラストレーター
がいます。
あと、おそらくこのマガジンには出てこなさそうですが
事務所の店番をしてくれるバイトの皆さん
西宮クリエイターズリストのクリエイターさんたち
も、西宮流の運営に協力してくださっています (いつもありがとうございます)。
発祥は西宮のおばちゃんたち
西宮流が生まれたのは2007年、西宮市のプロポーザル事業がきっかけです。
「西宮市の地元情報サイトを作ろう」という構想に、先代社長が立ち上げたウェブ制作会社・EUCサポート社を中心とする企業組合が受注。編集長は先代社長と協力して西宮流の初期の形を作り、今に至るまでほとんどの記事を執筆してきました。
初期の頃は「地域ポータルサイト」って自称していました。市民が参加して執筆するレンタルブログサービスのようなことなどもやっていましたが、紆余曲折あって組合企業が撤退、今のような単独のウェブメディアの形になりました。
編集長も先代社長も、当初から「内容の薄い記事でPV稼ぐ」「ちょっと情報載せるだけで結構な掲載料を取る」とかの商売上手な手法にはアンチな気持ちが強かったのかな。どちらかというと街角小ネタ、歴史、神社仏閣、季節のことといった、市民目線でのネタを中心にやってきました。
「私」が引き継いだ経緯
この記事を書いている「私」は、元々は西宮に住むフリーランサーで、西宮流からウェブサイト制作などの仕事を受注する立場でした。そのうち、西宮流のウェブサイト改修や、記事作成やSEOなどのアドバイスもするようになっていきました。
あるとき、編集長が「自分の年齢を考えると、西宮流はそのうち閉じようと思ってる」と言いました (編集長は、私の親と同い年です)。
ええ。そんな。もったいないやん。
儲かってないとはいえ、ここまでつづいたウェブメディアをなくすのはしのびない。
ということでいろいろあって (つってもこの間数年)、新しく会社を立ち上げ、西宮流の運営を引き継ぐことにしたのです。それで2023年に生まれたのが合同会社西宮流です。先代社長・編集長・私が出資して、私が代表社員になりました。
これまで、西宮流は先代社長が代表を務めるEUCサポート社を筆頭とする「組合」が運営していました。
それを、明確に企業による運営に変えることによって、ちゃんと儲けられる体制づくりがしやすくなるんじゃないか、と思ったんです。
西宮流はすごいんです
ところで、そんな儲かってないウェブメディアのどこが「もったいない」のか? よくそんなの引き継ぐ気になったな? という疑問をお持ちの方がいそうです。
西宮流は、意外とすごいんです。
西宮流は、一部の人から強烈に愛されています。それは、涼宮ハルヒファンです。
西宮市が公式に「涼宮ハルヒの聖地」と認定される前から、西宮流はハルヒファンの集うイベントを企画・開催してきました。「クリエートにしのみや」には度々ハルヒファンが訪れますし、ファンならご存知「聖地の時計塔復活」にも編集長が関わっていたりします。
また、ハルヒファン以外にも、編集長と先代社長がこれまでの活動の中で紡いできた、西宮の企業、西宮の市民団体、西宮市役所の人などなど……とのネットワークも、とても強力です。
西宮神社の開門神事・福男選びの取材にも、15年ほど毎年行っています。たった数名の取材チームで、大手新聞社やテレビ局のクルーに混じって取材しています。
いろんな活動を積んできた結果、「西宮のことは西宮流の人に聞いたら大体知ってるんじゃないか」と思われているふしがあり、それで、映画やアニメのロケハンのお話が来るようになったのだと思います。冒頭に紹介したように映画「阪急電車」、アニメ「長門有希ちゃんの消失」のエンドロールに名前が載ったというのは、ロケハンのお手伝いをした結果です。
意外とすごいでしょ?
そんな、ウェブの論理からはちょっと離れたところで人に愛されてきた西宮流は、古くて新しい、貴重な存在に思えたんです。西宮という現実の街に根を生やして、そこからウェブ空間へ茎を伸ばしているみたいで。
まあ、花が咲いてないわけですが、ちゃんとお手入れすればもっと咲くのでは? と思えるものがあるんです。
西宮流が抱える問題
ということでいまどんな問題が見えているか? を書こうと思いましたが、思ってたより長くなってきたので、次の記事に譲ります。
このマガジンでは、儲かってない地域情報ウェブメディアを改善すべく、学んだことや試したことなどをいろいろお届けしていきます。ウェブメディア運営のヒントが必要な方、西宮流の裏側を覗いてみたい方、ぜひマガジンをフォローしてください。応援よろしくお願いします!