自虐
※自虐を対話にしたエッセーですが割と考えていることの核だと思う。
お布団に丸まって自分を罵倒して勝手に落ち込むなどといった無益な活動をしたので、その様子をお届けします。脚色・中途半端なスノビズム、ペダン、衒学・支離滅裂などが含まれています。これは一種のWriting to healです。
あるたーえご「お前の世界観は幼稚だ。ここでの幼稚の意味は、ある程度の年齢になると身に着けているだろうと多くの人間が想定している様々な信念や規範を持ってないという意味だ。そして実は俺はその事は問題だとは思っていない。無数に存在する世界観の一つをお前が生きているだけという話だからな。それに対してあるべき理想像を持ち出して講釈を垂れるのは野暮だと俺も思っている。そもそも異なる世界観を比較できるような統一的な尺度が存在しているのかというのは俺たちが棚上げしている問題だ。とりあえずはそうした尺度を措定せずに話を進めることは同意している。そこまでは問題ないんだ。様々な尺度に対して「何よりその尺度は根拠づけられていない!」などと宣って、アイデンティティの崩壊ギリギリまで信念を相対化しているような態度はむしろ評価している。それでも、異なる世界観を生きる他人に対して否応なしに偉大さや敬意を感じざるを得ない気持ちが湧き上がることがあるのをお前は認める。彼我を比較する尺度を措定していないにも関わらずだ。そうした彼の偉大さが何処に根拠を持つのかと尋ねたとき「その人がその信念を貫くために払っている勇気やコストだ」とお前は答えた。ここが問題だ。お前は自分の信念を貫くために何もしていない。その意味でお前は全く偉大さのかけらもない。そもそも何かを信じていたり、貫こうとする信念があるのか。」
わたぴ「そもそも何かを信じているのかって質問については、多分何も信じていないよ。厳密に述べなおすと、時々刻々と変化する私の世界観の内部で私的に意味と価値が付与される対象は存在しているけども、そうした意味付けが時間や場所や心境などの状況に依らない普遍性を有している事に関しては信じていないよ。本質的なのは自分のことを信じていないこと。未来の自分が同じ価値観で生きていることを前提とした行動がとれないこと。なんかどうでもいいの一言で全て投げ出したくなる欲求が常にあること。不誠実でラクをする態度だと思うけど無根拠な信仰が欲しいとは思ってるよ!
次に貫こうとする信念だけど、今言ったような客観的だったり静的な真理性の不在を語ること。無数に存在する世界観に対して、それを受け入れている人間の多寡が存在するだけで、それらを比較する尺度の不在を叫ぶこと。だから一番嫌いな主張は「理性的な人間は一つの信念を共有する」といった世界観の規格化を推し進めるような主張だよ!
そうした信念を貫くために何をしてるかってインターネット上で女子中学生を自称した振舞いをして、フツーの人が確かだと思っている常識的な世界観が揺らぐことを祈ったり、似たような人間とかワンチャンでも親近感を感じてくれること祈ったりするなどのコストの低いことしかやってないよクソッタレ!知ってんだよざーこ!無理やり肯定的な意味づけをこねくり出しただけだよばーか!」
あるたーえご「知ってた。だってお前も俺だし。というかお前のその芯の無さとか自信の無さって現実認識のバフが切れてるってことだよな?人間には何かしら特権が付与されていて、世界には秩序が存在していて、人生には意味に満ちた出来事があふれているみたいな考えを無邪気に信じられる世界観もってないってことだろ。お前、常日頃から自分に言ってるよな「お前の人生には何も起こらない。最悪の事態ですら何でもない」とかさぁ。あと自分のこと虫だと思ってるよな。なんの尊厳も与えられず、何かの気まぐれで不合理な目に合いうることとか、小蠅が湧いてくるぐらい無意味かつ無目的に生まれ落ちてきた事などを受け入れて生きているよな。」
わたぴ「そうだよ!それでも無意味も無価値も全て所与とした上で、虚無の上を歩くための私的な物語を、価値体系を築き上げることが本質だと思ってるのも知ってるでしょ!でもしんどいんだ。何から手を付けていいのか分からない。扱う問題が大きすぎてその前で途方に暮れるしかできない。どうしても根拠が欲しくなる。考え進めるための足場が何かわからない。基礎づけ探究ゲームを続けて答えの無い問題をうだうだ考えていたくなる。こうして悩んでいるふりをして揺蕩っているのが問題に取り組んでいるようで、ただ楽をしていることにすぎないのも知ってるよ。でもどうしようもないの!どうしたらいいのかわからないの!」
あるたーえご「あーそういうとこだよ多分。無駄に根拠とか理由付けを求める辺りがさぁ。そんなのゲームのキャラ選択の初期能力値ぐらいの重要度しか無いと思うよ。本質的なのってキャラの成長後のステータスでしょ。とりあえずフィーリングでキャラを選んだ後にどう成長させていくかを悩むべきだよ。つまりは、何かに踏み込むための根拠や理由付けを探し続けるのじゃなくて、特定の信念に踏み込むと決心した上でどうやってその方向で上手くやっていくかを考えるべきだよ。」
わたぴ「うぐぅ。頭ではわかってるんだ。というかそう思うよ。だってあなたもワタシだからね。だから今からわたしが言いたい事もわかってくれるでしょ。何か行動に踏み切るための活力が無いんだ。虚無ってヘラってのーみそが死んでいた時期が長すぎた。セロトニン炊きあがりました報告が脳から降ってこない。あれだよ、ある主張が正しく聞こえる場合にその正しさはどこに根拠を持っているかって昔考えていたでしょ?それに対して今の私の回答って「その主張が正しく思える世界観をどれだけ長く維持してきたのか」だよね。つまり今のわたしの状態は虚無ってヘラってみたいな世界観をずっと維持してきたので、いろんな物事が虚無ってへらって見える状態なんだ。そんななかで何か精力的に活動しようって思える?無理でしょ。まずは世界や自分に対する基本的な信頼を取り戻す必要があるんだ。ただし全て虚構だと思っている状態でだよ。すべて茶番だと思っていながら、信じている振り、演技を続けることだよ。そんな欺瞞に満ちたことを正気のままで出来ると思う?」
あるたーえご「あーまぁわかるぜ。考えたらそんなこと無理そうなのは同意するぜ。その上で救いを提供できるとすれば「お前が正しいと思えること」と「現実を支配している原理原則」なんて基本的に一致してないぜ。試行回数を増やしてふらふら色んなことをやっていれば、何かあるかもしれないだろみたいな適当なことをいっておく。そのトライするぶんのコストや責任を誰が負うのかは知らんが。まぁお前だろうけど。」
わたぴ「分かるけど、踏み出す勇気と自信がないヘタレであることが問題の本質かと思うんだよね。ところでこの話にオチはあるの?」
あるたーえご「無いよそんなもの。お前も知っての通り、怠惰な人間の結論はいつだって同じだよ。つまりは現状維持と保留だ。この対話だってそうだよ。」
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