耳に鳴るうた
小さくなって丸くなって 踊ろうよスカラベのダンス
ひとりぼっちにひとりぼっちを 重ねて 二つ重ねて
ースカラベロック 作詞:原マスミ
ここ数日、ふと気づくとこのうたが耳の奥で鳴っている。
すべてがしるしなのだという考え方を、千尋さんの書かれるものに教わった。それで、首をかしげて考えてみる。軽いあたまを右にたおす。わからない。左にたおす。やっぱり、ぴんとこない。
スカラベロックといえば、ざしきわらし。ざしきわらしは、サブタイトル。近頃めっきり表舞台に姿をあらわすことのすくなくなった、吉本ばななさんの最新のご著書だ。
そこでリードに使われていたのが、このうただった。
ふだんより早く家を出て、遅く帰る日がつづいている。猫は、起きてから1時間と帰ってから1時間に、とくにそばにいろと怒る。
多頭崩壊出身、そこで目が潰れた。推定7歳。
触れなければ、そこにいるかがわからない。こわい、さみしい。だから、怒る。
タイミングによっては、こちらも怒る。未熟者で申し訳ない。未熟者同士、存分に怒ってお互いのタイミングで仲直りをしあっている。おそらく猫は、飼い主もまた猫と思っている。前脚がすべすべしていて、決まった時間に出ていって、なにやら自分の脳みそでははかりきれない音を累々と発する、猫。
おれがゆるしてやらなきゃな、と思ってるかどうかまでは、わからない。でもたぶん、ゆるされている。
ひとりぼっちとひとりぼっちで、ただ寄り添っていたい。
猫の本音なのかもしれないと、思う。
猫でなければ、もしかしたら、あの子。
すこし前に仕事場に合流した若者は、どうやらほんとに若者で、受け答えがさっぱりしている。イエスかノーか、でどちらかちゃんと選べる彼は、淡々と皮肉を口にしたりする。一回り年かさのおばちゃんは、よきかなよきかなと目を細めて眺めながら、余計な心配に心を痛める。
共通にわるくち言われる上司から、事前にいろいろと伝えられていた。その全部を、僻目によるものと思わざるをえない。だって、いい子だもの。
もしも、もしもだけれど、ひとりぼっちだと思っているなら、そうじゃないよと伝えたい。いきなりよく知らないおばちゃんにそんなこと言われても困るだろうから、ただ見守って、働きやすい環境を整えることに力をそそぎたい。
踊りは、舞いとは違って、縦方向の運動を指すと大学時代に教わった。
いずれにしても、生命の躍動を意味する。どうかそのままで、と思う。
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