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おもろい街、服部に行こか

 庶民的で昔ながらの下町というイメージやけど、最近ちょっと気になる街、大阪・豊中市にある服部を紹介します。服部天神宮を中心に古くからにぎわってきましたが、ここ十数年は高齢化の波に洗われ昔の賑わいを知る人からは「元気がなくなった」と言われるように。日本の縮図かもしれません。そんな服部の街ですが、ここにきて新しい動きがあちこちに出てきて「おもろい街」に変わろうとしているようです。

駅前がにぎわい広場に変身中

服部天神駅の東側は今、工事中

 梅田から阪急電車に乗って10分と少し、服部天神の駅を降ります。踏切を渡って東へ行くと、いきなり広い空間に。まだ工事が続いていますが、イベントが開ける広場としても活用できるロータリーができつつあります。ロータリーの周辺は無電柱化も進められ、服部の新たな賑わいの核となりそうです。「足の神さん」で有名な服部天神宮の新しいお祭り「足祭り」の主要会場になる計画もあるとか。

えべっさん、5年ぶり宝恵籠

駅からすぐの服部天神宮の鳥居。実は裏参道です

 その天神さんは広場から南へ1分も歩かないところに鎮座。毎年1月9~11日は「豊中えびす」が開かれます。「服部が一番にぎわう」と古くからの住民が言う「えべっさん」。今年2025年は5年ぶりに「宝恵籠(ほえかご)」が復活し、宝塚歌劇団の女優さんが乗って街を練り歩きます。「豊中えびす」(古くは「服部えびす」と呼ばれていました)は「福娘」発祥のお祭りというのは知る人ぞ知る話。今年もたくさんの応募者から選び抜かれた「福娘」が参拝者に福を授けてくれます。

新しいエンタメ、背景変えるセルフ写真館

雑居ビルの2階にある「セルホ」

 天神さんの境内を抜け反対側の鳥居(こちらが本来の表参道)を出て今度は北に向かうと、大通りに出る手前に「自撮りスタジオ『セルホ』」という看板が。雑居ビルの2階に昨年12月にできたばかりのセルフ写真館です。スタジオが新しいだけでなく、背景をコンピュータ上で合成した写真を自分自身で撮れるという新技術が売り物やとか。中を覗いてみると、壁一面がグリーン。カメラを真ん中に大型ディスプレー2台と2基の照明装置があり、いかにもスタジオという感じです。

 スタッフさんに操作方法を教えてもらって、背景を自分で選んでグリーンのステージに上がります。ディスプレーで合成された画像を見ながら、遠隔操作で写真を撮るのですが、右左の感覚が意外と難しい。スタッフさんによると「鏡を見慣れているので、初めは写真の画像に脳が混乱します」とのこと。感覚をつかめると、あとは背景に合わせてポーズをとったり、備え付けのグリーンの布で覆った脚立に寝ころび空を飛んだり、コスプレ衣装に身を包んで王様になったりといろいろ遊べました。

こんな写真も撮れるとか(セルホさん提供の写真、モデル4人が重ね撮り)

 筆者は15分で22枚の写真を撮ったのですが、多い人は40~50枚くらい撮るそうです。筆者の写真をお出ししたいのですが、顔ばれは避けたいし何といっても恥ずかしいのでスタッフさんに頼んでモデルさんが撮った写真をいただきました。複数でやるとこんな写真が撮れるんですね。撮った写真を次々と背景として何枚も重ねると、こういう写真が撮れるそうです。今度、挑戦してみたい。「お友だちと一緒に来て、カラオケを歌う感覚で写真を撮ってもらうと、いっそう楽しいですよ」とはスタッフさんの弁。なるほど。

 撮った写真はすべてメールを介してギガファイル便で受け取りました。15分撮影で前後合計30分の時間がかかります。料金は税込4000円ですが、4人なら1人1000円という計算になり、ぐっとお得感が出ますね。

A5ランクの和牛、お得感満載のランチ

A5ランクの黒毛和牛を出す「焼肉 桜」

 「セルホ」の入っているビルを出ると向かいにあるのは「焼肉 桜」。もう10年以上ものれんを掛けている定評のある焼肉屋さんですが、これまで夜だけの営業でした。昨年3月から、ランチでも営業を始めたんです。そしてこのランチがなんともお得感あふれるものだということを知る人はまだ少数派のようです。

サシがいいあんばいに入った肉を使う、お得感あふれる「おまかせランチ」

 A5ランクの黒毛和牛だけを使ったお肉を北海道の定まった牧場からのみ仕入れ、コストを下げる努力をされています。夜が人気なのもそんな努力が実を結んでいると思われます。しかし何といってもA5ランク。少々お高いのは仕方がありません。ただランチは、「ほとんど利益がありません」と店主さんが言うだけあって、100gの「おまかせランチ」は異なる部位が2~3種5枚入って1580円(税別)。しかもキムチとナムルの3種セットに端肉入りスープ、野菜サラダ、ご飯が付いてですからお得感半端ではないです。口に入れるととろけるような肉もさすがですが、特にキムチとナムルの盛り合わせは、昼なのについビールに手が出るうまさ。困ったものです。このほかガッツリ派には上塩タン&上ハラミ150gのランチも2100円で用意されており、服部のランチ市場に現れた台風の目といったところでしょうか。

煮干しラーメンの進化系、絶品です

駅チカなのに隠れ家的な「うしお」

 服部のランチ市場はこのところ個性派の参入が続き、活況を呈しています。2022年7月に開店した煮干しラーメン専門店「うしお」はその代表格。服部天神駅を降り踏切の通りを西へ歩き最初の角を北へ曲がった住宅街にある穴場的なラーメン店。看板通り煮干しだしメインです。昆布と合わせたうえに何か秘密がありそうですが、まったく煮干しの雑味がない澄んだ味のスープです(実は筆者、ここのラーメンをいただくまで煮干しラーメンはあまり上品な味と思っておりませんでした。スミマセン)。これに返しが3種類あり、定番の「潮」、塩こうじを使った「純」、しょうゆ味の「刻」と分かれています(各税込900円)。

海を感じさせる定番の「潮」

 いずれも美味いのですが、中でも筆者の好みは「潮」です。煮干しの上品なうまみだけを凝縮し昆布のふくよかなあじわいが包み込んだ逸品。そこにトッピングの海苔が潮の香を運び、海を感じさせるラーメンに仕上がっています。鶏むね肉なのに一切パサつきのないジューシーなチャーシュー(と言っていいのかな?)も、全体の調和を見事に図っています。長めで薄味のメンマのシャキッとした食感は良いアクセントに。

町中華を超えた本格中華も人気

 このほか2018年に開店した「中華 上原」。こちらも駅の西側ですが、踏切通りより一筋南の通りにあります。これまでの町中華とは一線を画した、上品な味で時に行列を作る繁盛ぶり。今や新興勢力とは言えない存在になっています。本格的なふかひれスープや、独特の味わいの麻婆豆腐など人気メニューがたくさんあり、ランチの品ぞろえも日替わりを中心に充実しています。

驚きのコシ、老舗も健在

近く20周年を迎える「山善」

 老舗組も負けてはいません。特に近く20周年を迎えるうどん屋「山善」。こちらも開店当初から行列ができ、マスコミなどにも大きく取り上げられた名店ですが、健在です。何といっても讃岐風うどんのコシの強さは脱帽ものです。筆者が頼んだ生醤油うどん(冷、平日ランチ大盛可、かやくご飯付きで税込750円)が配膳された直後、折あしく電話が鳴り渋々表に出て話したことがありました。10分過ぎて戻ったとき、うどんのまったく伸びを感じさせないエッジが立ったコシに感動さえ覚えました。その後は生醤油うどんのリピーターとなっています。先ほどの「セルホ」「焼肉 桜」の前を通って大通りに出てすぐ東側に国道176号があります。渡ってそのまままっすぐ歩いてすぐのところです。

「キーマカレーうどん」の次は「うどんすき鍋」

今も人気の「キーマカレーうどん」

 服部のうどん店の老舗中の老舗といえば「銭形」。こちらも各種マスコミに取り上げられた名店です。「中華 上原」を少し西へ進んだ並びにあります。讃岐うどんに合うカレーを探り、独自に考案された「キーマカレーうどん」は今も人気メニューです。米寿を迎えたご主人も健在でお店に立たれることもありますが、ほぼ代替わりされているようです。

「うどんすき鍋」を前面に打ち出す老舗「銭形」

 その銭形で、最近ひそやかに人気になっているのが、夜の「うどんすき鍋」(1人前税込4290円)。突き出しも充実し、鍋は魚介類や鶏肉がふんだんにあるうえ、何とうどんが食べ放題とうどん好きにはたまらない設定です。しかもうどんは生醤油でそのままいただくこともできるという感涙もの。これで驚くのはまだ早い。このうどんすき鍋に「ドリンク持込プラン」(税込4895円)というのがあります。最初1人ビールが1本付きますが、ほかは持ち込み自由という、おきて破りの内容。専用冷蔵庫が置かれ、グラスも用意されています。しかも店の目の前には格安の酒量販店「やまや」があります。吞兵衛(のんべえ)にはたまらないコースです。

まだまだおもろい服部の街

 いかがでしょうか。服部の街。このほかにも筆者が紹介したい名店がいろいろありますが、次の機会にしたいと思います。服部、なかなかおもろいですな。

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